合宿型ワーケーションとは、温泉地やリゾート地など、通常の職場から離れた場所で様々な会議や研修、ワークショップなどを行うワーケーションスタイルのことを指します。チームビルディングや社内のコミュニケーション活性化、新規事業や新商品・サービスのアイデア創出ワークショップ、ITサービスの開発合宿、役員による経営合宿など様々な取り組みがあり、期間も日帰りや1泊2日の短期滞在から1ヶ月程度の長期滞在まで様々です。
また、主催者も一社だけの場合もあれば複数企業による合同合宿などもあり、参加者も数名程度の小規模なものから数十名以上が参加する大規模なものまで様々ですが、いずれも個人によるワーケーションではなく、集団としてワーケーションを実施するという点が特徴となります。一般的に、職場のコミュニケーション改善やサービス開発など、日常の職場を離れて集中的に特定の成果を出したい場合に行われることが多くなっています。
合宿型ワーケーションのメリット
合宿型ワーケーションに取り組むメリットを個人・企業・自治体それぞれの立場から整理すると、下記のようになります。
個人のメリット
- ストレス軽減・リフレッシュ効果
- 創造性・生産性の向上
- 新たな地域との出会い
個人が合宿型ワーケーションに参加するメリットとしては、普段とは異なる環境に行くことで日頃の業務ストレスから解放されてリフレッシュすることができ、結果として創造性や生産性が高まるという点が挙げられます。また、合宿型ワーケーションを通じて自分の知らなかった土地へ行くことで、新たな地域の魅力を発見することもあります。
企業のメリット
- チームビルディングに最適
- 新商品・サービス開発の効率向上
- 地域とつながるきっかけづくり
企業の視点から見ると、合宿型ワーケーションは、部署の異動や、新規社員の加入時など、組織内のチームビルディングが重要となるタイミングにとても適したワーケーションスタイルだと言えます。また、新規事業や商品・サービス開発など、短期集中で効率的にアウトプットを生み出したい場合にもおすすめです。さらに、合宿を通じて地域との関わりが生まれ、そこから新たな事業やサテライトオフィス開設などにつながる可能性もあります。
企業の中には合宿型ワーケーションの様子を自社のウェブサイトやブログ、SNSなどで発信することで、企業ブランディングや採用力向上につなげているケースもあります。ワーケーションの実施により直接的なメリットだけではなく、そうした間接的なメリットも期待できます。
自治体のメリット
- 平日の観光・旅行需要創出
- 交流人口・関係人口の増加
- 域外企業との関係構築・投資呼び込み
合宿型ワーケーションは基本的に平日に開催されるケースが多いため、自治体としては合宿型ワーケーションを積極的に受け入れることで、新たに平日およびその前後の観光・旅行需要を生み出すことができます。また、合宿型ワーケーションは企業内の恒例イベント化するケースも多いため、企業との相性が合えば毎年地域を再訪してくれる可能性もありますし、将来的にはサテライトオフィスの開設につながる可能性もあります。
さらに、合宿型ワーケーションがきっかけで従業員がその地域のファンとなり、仕事だけではなくプライベートでも家族などを連れて再訪したり、最終的には移住したりする可能性もあります。合宿ワーケーションを通じて企業や個人と良好な関係構築をすることは、長期的に地域に大きなメリットをもたらします。
合宿型ワーケーションの課題
合宿型ワーケーションを実施する際の主な課題を個人・企業・自治体それぞれの立場から整理すると、下記のようになります。
個人の課題
- 滞在先を自分で決められない
- 現地での自由な行動は難しい
合宿型ワーケーションは基本的に集団での行動が基本となるため、個人で行くワーケーションとは異なり、決裁者でない限りは滞在先を自分で決めることは難しいですし、滞在先でも食事や観光、宿泊施設などに関する自由な選択や行動が制限されるケースが多くなります。集団行動が苦手という方や、業務時間以外はできる限り社内の人と関わりたくないという人にとってはあまりおすすめできません。
企業の課題
- 交通費や宿泊費の負担
- 費用対効果の測定の難しさ
- 家庭の都合により参加できない社員もいる
合宿型ワーケーションの場合、現地までの交通費や社員の宿泊費なども会社が負担するケースが一般的です。参加人数によっては多額のコストがかかるため、会社としての費用負担の上限や、費用対効果の測定方法などを予め明確にしておく必要があります。また、宿泊を伴う合宿型ワーケーションの場合、育児や介護などが理由でどうしても参加できない社員がでてきてしまい、社員間における不公平感が生まれるリスクもあります。実施時期や時間、滞在先の選定などについて、社員一人一人の都合や要望を最大限に配慮したプログラム運営が求められます。
自治体の課題
- wifiや会議スペースなど環境整備に伴うコスト負担
合宿型ワーケーションを受け入れる自治体にとって一番の課題は、いかに滞在先で仕事がしやすい環境を整えるか、という点にあります。宿泊施設におけるwifi環境はもちろん、合宿型ワーケーションの場合は集団でミーティングや仕事ができる広めの会議室スペースやホワイトボード、プロジェクター設備なども求められるケースも多くあります。
大型の宿泊施設がある地域の場合は大企業をターゲットに、小規模な宿泊施設が点在している地域の場合はスタートアップ企業をターゲットにするなど、宿泊施設の設備や地域の特性に応じたターゲット設定とプロモーションが重要になると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?個人や企業の創造性や生産性向上につながり、自治体としても新たな関係人口づくりのきっかけにもなる合宿型ワーケーションは、今後ますます裾野が広がっていくことが予想されます。様々なタイプの合宿型ワーケーションが各地で行われ、多種多様な地域と企業が結びつくことで、新たなイノベーションや地方創生の成功事例が生まれることを期待したいところです。
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