ワーケーションとSDGs・サステナビリティ経営

目次

  1. ワーケーションとSDGs・サステナビリティ経営
  2. そもそもSDGsとは?
  3. ワーケーションが貢献できるSDGsの目標は?
  4. 3つのP(環境・社会・経済)で考えるワーケーションの価値
  5. SDGsをテーマとする具体的なワーケーションプログラムは?

ワーケーションとSDGs・サステナビリティ経営

普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみながら仕事を行う「ワーケーション」は、企業のSDGs(持続可能な開発目標)実現、サステナビリティ経営、健康経営、ウェルビーイング経営、人的資本経営、ソーシャルイノベーション創出など様々な観点からその可能性が注目されています。

ここでは、ワーケーションがSDGsの目標や主要なサステナビリティ課題とどのように関わっているのか、具体的にどのようなプログラムがあるのかなどについて詳しくご紹介したいと思います。

そもそもSDGsとは?

SDGsは「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」の略で、2015年9月に国連サミットにおいて全会一致で採択された、2030年までの国際目標です。SDGsは17の目標と169のターゲット、232の指標から構成されており、「誰ひとり取り残さない」という理念を掲げています。

SDGsの前身は2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)となりますが、MDGsは開発途上国に焦点を当てているのに対して、SDGsは先進国も含むすべての国にとっての共通目標であり、目標の実現に向けて国際機関や政府だけではなく企業や私たち市民一人一人などあらゆる主体の参加と協働を求めている点が特徴となっています。その意味で、SDGsはワーケーションに参加する個人、ワーケーションを導入する企業や受け入れ先となる事業者、自治体など全ての方に関わるテーマだと言えます。

ワーケーションが貢献できるSDGsの目標は?

ワーケーションは自治体の地方創生や環境・地域課題の解決、企業の事業開発やイノベーション・働き方改革・福利厚生、個人のライフスタイルやワークスタイル、健康やウェルビーイングなど非常に幅広い領域に関わるテーマです。そのため、SDGsに掲げられている17すべての目標と何らかの関係性を持っている、または持たせることができると言えますが、その中でも特に関わりが深いと考えられるテーマをあえて絞り込むと、下記が挙げられます。

  • 目標8:働きがいも、経済成長も
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
  • 目標12:つくる責任、つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさを守ろう
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

ここでは、それぞれの目標とワーケーションの関係性について説明していきます。

目標8:働きがいも、経済成長も

SDGs目標8の「働きがいも、経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目指しています。目標8の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標8-5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
  • 目標8-9:2030 年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

目標8-5にある、「生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事」は、まさにワーケーションが目指すワークスタイル像そのものだと言えます。心身の健康を維持・向上しながら生産性も高めるワーケーションは、個人に「働きがい」をもたらすうえで効果的な取り組みだと言えます。

また、ワーケーションはまさに目標8-9の実現に向けた新しい観光政策だと言えます。ワーケーションの拡大により地域の新たな観光需要を創出し、文化振興や地域産品の販促を促進し、持続可能な観光モデルを構築することができます。

目標11:住み続けられるまちづくりを

SDGs目標11の「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目指しています。目標11の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標11-4:世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
  • 目標11-a:各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。

日本では、世界文化遺産や世界自然遺産を満喫しながらワーケーションができるプログラムやツアーが北海道の知床半島から富山県の国立公園、沖縄の奄美大島まで日本各地で展開されています。ワーケーションを通じて大自然や歴史・文化に触れ、その魅力や重要性を理解できる体験を増やすことは、目標11-4が目指している世界遺産の保護・保全に大きく貢献すると言えます。

また、普段は都市部で働いている人々がワーケーションで郊外や地方の農山漁村を訪れ、地域の人々や自然と関わりを持つことは、目標11-aに掲げられている「経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながり」の構築につながります。

目標12:つくる責任、つかう責任

SDGs目標12の「つくる責任、つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。目標12の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標12-8:2030 年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
  • 目標12-b:雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

普段は都市部で働いている人々がワーケーションで地方部を訪れ、豊かな自然や生産者に触れたり、実際に農業や林業、水産業、ものづくりといった地域の生産活動を体験したり参加したりすることで、自然と目標12-8に掲げられている「持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識」の向上につながっていきます。

また、ワーケーションは、目標12-bの「雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法」を開発し、導入する対象としても活用できます。ワーケーションは持続可能な観光業の新たなスタイルの一つとして大きな可能性を秘めており、今後、ワーケーションがもたらす環境・社会・経済へのインパクトなどもより可視化が進められるようになるでしょう。

目標13:気候変動に具体的な対策を

SDGs目標13の「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目指しています。目標13の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標13-1:すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。
  • 目標13-3:気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

気候変動とワーケーションは一見関係がないように思われがちですが、ワーケーションの実施に向けたサテライトオフィスの開設による拠点分散などは、気候危機による自然災害の増加を想定したBCP対策としても効果が生まれますし、ワーケーションも含めたテレワークの推進により、オフィス通勤の削減に伴うCO2排出削減につなげることもできます。

また、日本ではワーケーションと脱炭素と積極的に結びつける動きも出てきています。例えば神奈川県小田原市では、電気自動車のカーシェアリングサービス「eemo」を利用し、小田原市の『いこいの森 林間オートサイト』で自然に囲まれた屋外ワーケーションを楽しむ「脱炭素ワーケーション」プログラムを展開しています。

他にも、ウィンタースポーツの聖地として知られる長野県白馬村は、地球温暖化により降雪量が減ると地域経済を支える観光収入が大きく減少してしまうため、2019年12月には「気候非常事態宣言」を表明し、現在は雪が降らない夏場の白馬の魅力を知ってもらうと同時に、気候変動に立ち向かうためのサーキュラーエコノミー(循環経済)をテーマとした「GREEN WORK HAKUBA」というワーケーションプログラムを展開しています。

これらの事例以外にも、企業が脱炭素経営の実現に向けて地方自治体のカーボンクレジット購入を通じて地域とつながり、その地域でワーケーションをすることで関係性を強化するなど、脱炭素をテーマに企業と自治体がつながる手段としてもワーケーションは活用することが可能です。

【関連記事】Livhub「脱炭素ワーケーションとは?カーボンニュートラル実現に向けた事例やポイントを解説

目標14:海の豊かさを守ろう

SDGs目標14の「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目指しています。目標14の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標14-1:2025 年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
  • 目標14-b:小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。

海に隣接した沿岸部の自治体や企業が展開しているワーケーションプログラムの中には、海岸のビーチクリーンアクティビティが組み込まれているプログラムが数多くあります。ワーケーションを通じて参加者が海を汚すのではなく、綺麗にして帰っていくという仕組みをつくることで、海洋プラスチックごみをはじめとする海洋汚染や海洋生態系破壊の問題の啓発につなげられるだけではなく、場合によっては問題解決に向けた具体的なソリューションの開発や、回収したプラスチックごみを活用した製品づくりなどに取り組むこともできます。また、ワーケーションプログラムの中に漁業体験や地元産の魚介類の提供などを組み入れることで、地域の漁業関係者に恩恵をもたらすこともできます。

目標15:陸の豊かさを守ろう

SDGs目標15の「陸の豊かさを守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目指しています。目標15の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標15-4:2030 年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

山間部や里山地域のワーケーションプログラムの場合、植林体験や間伐体験など森林の保全や再生に関わることができるプログラムや、森林浴など自然が持つ癒しの力を存分に味わうウェルビーイング向上を目的としたプログラム、萱刈体験やジビエを料理として振舞うなど地域の伝統文化に紐づいた体験を提供しているプログラムなど、自然と関わり、自然の恵みを味わうことができるプログラムが数多くあります。

ワーケーションを通じて参加者が陸域生態系の魅力や価値に気付く機会を提供することで、直接・間接的に生態系の保全・再生に貢献することができます。また、宿泊施設やコワーキングスペースの開設などワーケーション施設の整備を通じて地域の間伐材利用を促進するといった方法もあります。

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目指しています。目標17の中でも特にワーケーションに関わる目標をご紹介します。

  • 目標17-16:すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
  • 目標17-17:さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

ワーケーションは新しいワークスタイルであり、多くの可能性も秘めている一方で、様々な課題も残されています。ワーケーションを多様な働き方、ライフスタイルの選択肢の一つとして定着させ、環境・社会・経済にポジティブな影響をもたらす方法として確立していくためには、政府、地方自治体、地元企業やまちづくり団体、地域住民、観光協会や宿泊施設、旅行会社などの関連事業者、ワーケーション実施企業、個人、教育機関、金融機関など様々なステークホルダーが産官学民の枠を超えて連携し、議論を重ねながら法整備や環境整備、プロモーションを進めていく必要があります。その意味で、目標17の掲げる「パートナーシップ」はとても重要なテーマだと言えるでしょう。

3つのP(環境・社会・経済)で考えるワーケーションの価値

ワーケーションは、サステナビリティの視点からワーケーション実施企業にどのような価値をもたらすのでしょうか?ここでは、分かりやすく環境(Planet)・社会(People)・経済(Profit)という3つの視点から、ワーケーションが持つサステナビリティ価値をご紹介します。

  • 環境的価値(Planet):
    • 従業員の環境意識の向上
    • 環境保全・再生活動への参画
    • テレワーク推進によるCO2削減
  • 社会的価値(People):
    • 従業員のメンタルヘルス・健康・ウェルビーイング向上
    • 多様な働き方の実現によるD&Iの推進
    • 従業員の能力開発・人的資本経営の推進
  • 経済的価値(Profit):
    • 地方創生への貢献
    • サステナビリティ・イノベーション創出
    • BCP対策

環境的価値(Planet):

  • 従業員の環境意識の向上
  • 環境保全・再生活動への参画
  • テレワーク推進によるCO2削減

ワーケーションプログラムを通じて従業員が自然の魅力や生産者、地域の環境課題などに直接触れることで、自然と環境意識が高まり、環境問題がジブンゴト化されていきます。また、プログラム内容によっては直接的に環境保全・再生活動に関わり、環境にポジティブなインパクトをもたらすこともできます。さらに、テレワーク推進という観点では、自宅周辺のサテライトオフィスでのワーケーションを認めることは、通勤に伴うCO2削減につなげることもできます。

社会的価値(People):

  • 従業員のメンタルヘルス・健康・ウェルビーイング向上
  • 多様な働き方の実現によるD&Iの推進
  • 従業員の能力開発・人的資本経営の推進

ワーケーションは、従業員のメンタルヘルスや健康・ウェルビーイング向上にも大きく貢献します。近年では注目されている「健康経営」や「ウェルビーイング経営」を実現する手段の一つとしてもワーケーションは機能します。また、ワーケーションを含むテレワークの推進により、より多様な働き方が促進され、結果としてライフステージやライフプラン、育児や介護、障がいの有無などに関わらず仕事にアクセスできる可能性が高まり、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進につながります。さらに、地域課題解決型ワーケーションなどは従業員の能力開発機会としても効果的であり、人的資本経営を実現するための手段としても活用できます。

経済的価値(Profit):

  • 地方創生への貢献
  • ソーシャルイノベーション創出
  • BCP対策

ワーケーションを通じた観光需要の創出や、サテライトオフィス開設による雇用創出などは、人口流出と少子高齢化による財政課題を抱えている地方自治体の地方創生に大きく貢献します。また、ワーケーションを通じて放置林や海洋ゴミ問題、空き家問題など様々な課題を抱える地域と関わることで、地域のサステナビリティ向上につながる新しいソーシャルイノベーション創出につなげることもできます。さらに、サテライトオフィス開設による拠点分散は、災害時におけるBCP対策としても有効です。

SDGsをテーマとする具体的なワーケーションプログラムは?

上記で説明したように、「ワーケーション」という行為そのものが本質的にSDGsの実現やサステナビリティ推進の視点から大きな可能性を秘めているのですが、近年ではワーケーションプログラム自体にもSDGsやサステナビリティの要素をより積極的に取り入れる動きが活発化しています。SDGsやサステナビリティを意識したワーケーションプログラムの具体的な例としては、下記が挙げられます。

  • サステナブルな移動とモビリティ
  • 豊かな自然に触れる体験
  • 海岸のクリーンアップ体験
  • 森林の間伐・植林体験
  • 農作業の手伝い体験
  • 地域住民との交流
  • 地域の伝統文化・工芸体験
  • サステナブルなワーキングスペース
  • サステナブルな宿泊体験
  • サステナブルな食事

サステナブルな移動とモビリティ

ワーケーションに必ず伴うのが「移動」です。移動には大きく分けてワーケーション実施地までの移動と、ワーケーション実施中の移動が挙げられます。前者については、なるべく自動車ではなく公共交通機関を使用する、飛行機で移動する場合にはカーボンオフセットをするなどの配慮が重要となります。また、ワーケーションプログラム実施中のモビリティについては、EVシェアリングサービスを利用してもらう、地域の自動車販売会社と連携し、EV車の試乗体験を組み合わせて参加者にサステナブルな移動を体験してもらう、電動サイクリングを利用してもらう、などのユニークな事例が出てきています。

豊かな自然に触れる体験

ワーケーション参加者の多くが求めているのが、都会ではなかなか味わうことができない豊かな自然との触れあいです。森林や川辺、海辺など屋外でのワーケーション、キャンプやグランピングと掛け合わせたワーケーション、国立公園でのワーケーションなど、自然を満喫できるワーケーションプログラムの提供が行われています。

海岸のクリーンアップ体験

沿岸部の自治体で実施されるワーケーションプログラムのなかに、海岸のクリーンアップ体験が組み込まれているケースもあります。日本海側や離島などは海洋プラスチックごみの流出・漂着問題を抱えており、ワーケーションを通じて参加者に海洋ゴミ問題のリアルな現状を知ってもらうとともに、ただ学ぶだけではなくクリーンアップ活動を通じて問題解決にも携わってもらうというプログラムが提供されています。

森林の間伐・植林体験

山間部の自治体で実施されるワーケーションプログラムの中に、森林の間伐体験が組み込まれているケースもあります。日本の山間部では、林業の担い手不足などにより放置林の問題が深刻化しています。そこで、ワーケーション参加者に放置林の問題や森林生態系の重要性について知ってもらうだけではなく、人工林の間伐体験や植林などを通じて森林保全・再生に関わってもらうプログラムが提供されています。

農作業の手伝い体験

里山地域で実施されるワーケーションプログラムの中には、地元農家の農作業を手伝える体験が用意されているケースもあります。農作業体験を通じて生産者とつながったり、農作業の大変さを知ったりすることは、普段は消費者として都会で暮らしている参加者にとって大きな行動変容のきっかけとなります。また、農作業は春夏秋冬によって作業が異なるため、ワーケーション参加者が農家と関係人口になることで、定期的に訪れてくれる可能性も高まります。

地域住民との交流

SDGsやサステナビリティをテーマとするワーケーションプログラムに欠かせないのが、ワーケーション参加者と地域住民との交流機会です。地域住民の話を聞く、一緒に作業をする、一緒に食事をする、地域住民の自宅に民泊するなど、様々な交流を通じてお互いの信頼関係を構築することは、参加者を地域の関係人口に変えていく上で非常に重要です。また、ワーケーションを通じて受け入れ側となる地域住民が改めて自身の暮らす地域の魅力に気づいたり、地域住民同士の新たなつながりが生まれたりすることもあります。ワーケーションを通じた交流は、参加者・地域住民それぞれに新たな刺激をもたらします。

地域の伝統文化・工芸体験

地域ならではの伝統文化・工芸体験も、ワーケーションにおいて人気のあるプログラムの一つです。地域の伝統を支える地元の職人から直接話を聞いたり、技術を学んだりする機会はワーケーション参加者にとって大変貴重ですし、伝統文化や技術の継承・発信という観点からも大きな意味があります。藍染体験、陶芸体験、酒蔵めぐり、工房・ファクトリーツアーなど地域の文化や特性を生かしたプログラムが数多くあります。

サステナブルなワーキングスペース

ワーケーションに欠かせないのがワーキングスペースです。地域で働けるコワーキングスペースにサステナビリティの視点を取り入れる事例も増えています。古民家や廃校のリノベーション、地域の間伐材や廃材などを有効利用した建築、再生可能エネルギーの導入、廃棄物削減の取り組みなど様々です。サステナブルな地域のコワーキングスペースの代表例とも言えるのが長野県富士見町にある「富士見町 森のオフィス」です。森のオフィスでは、一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンと連携し、コワーキングスペース・シェアオフィス向けのゼロ・ウェイスト認証を開始するなど、コワーキングスペースをサステナブルな働き方を広げるためのハブとして活用しています。

サステナブルな宿泊体験

ワーキングスペースと同様に、宿泊施設もワーケーションには欠かせません。最近では、サステナビリティを重視した宿泊体験を提供する宿泊施設も増えてきています。コワーキングスペースと同様に、環境に配慮した建築、再生可能エネルギーの導入、プラスチック・アメニティの廃止などを始めとする廃棄物削減の取り組み、地産地消やヴィーガン対応などサステナビリティにこだわった食事の提供、食品ロスのコンポスト、多様性に配慮したサービス対応など、様々な取り組みが行われています。

サステナブルな食事

ワーケーションの楽しみの一つが、その地域ならではの食体験です。地産地消の食材やジビエの提供、ヴィーガンメニューなどは代表例です。また、近年ではその土地ならではの食文化を楽しむ「ガストロノミーツーリズム」も注目を集めており、ガストロノミーとワーケーションを組み合わせる事例なども出てきています。

まとめ

いかがでしょうか?SDG・サステナビリティ経営に取り組んでいる企業の中には、サステナビリティの社内浸透に課題を抱えているケースも多いかもしれません。ワーケーションは、従業員がSDGsやサステナビリティをジブンゴト化し、意識変容・行動変容を起こすきっかけとしても非常に効果的です。ぜひワーケーションを有効活用してみてはいかがでしょうか?

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