普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみながら仕事を行う「ワーケーション」は、新たな働き方の選択肢として注目を集めています。ここでは、働く「個人」の視点から見たワーケーションのメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。
個人から見たワーケーションのメリット
個人から見たワーケーションを実施する主なメリットとしては、下記が挙げられます。
- 働き方やキャリアの選択肢の増加
- ストレス軽減・リフレッシュ効果
- モチベーションの向上
- 創造性・生産性の向上
- 地域や人との新たなつながり
- 地域への貢献
- 移住・定住先の検討に活用可能
働き方やキャリアの選択肢の増加
ワーケーションが可能な企業で働く場合、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせたより柔軟な働き方を実現でき、キャリアの選択肢を増やすこともできます。例えば、都市と地方の二拠点生活を試してみる、自宅近くのサテライトオフィスを活用することで通勤時間を大幅に削減し、子育てをしながら仕事を続ける、といった事例が挙げられます。
ストレス軽減・リフレッシュ効果
ワーケーションにより普段とは異なる地域や場所を訪れ、豊かな自然に触れる、おいしい料理を食べる、観光やアクティビティを楽しむ、地域の人々と交流する、などの非日常体験をすることで、日頃の業務により抱えたストレスを発散・軽減し、リフレッシュすることができます。
モチベーションの向上
ワーケーションの滞在先で普段とは異なる環境に囲まれて仕事に取り組むことで、やる気やモチベーションを高めることもできます。また、ワーケーションによりリフレッシュすることで、ワーケーションの滞在時だけではなく日常における業務のモチベーション維持・向上にもつながります。
創造性・生産性の向上
オフィスを離れて豊かな自然や綺麗な空気の中で仕事やミーティングをすることで、よいアイデアが閃いたり、集中して仕事ができたりと創造性・生産性の向上を期待することができます。また、同僚や上司と一緒にワーケーションに行き、お互いに普段とは異なる一面を知り合うことでチームとしての関係性の質が向上すれば、個人だけではなく集団としての創造性・生産性向上にもつながります。
地域や人との新たなつながり
ワーケーションを通じて、滞在する地域に暮らす方々とのつながりをつくることもできます。地元の方々との出会いが新たな仕事や事業につながる可能性もありますし、プライベートにおいても人生を変える出会いとなる可能性もあります。新たな土地で新たな人と出会う機会があるという点も、ワーケーションの大きな魅力の一つです。
地域への貢献
ワーケーション滞在中に地域の宿泊施設に宿泊したり、地元の飲食店で食事をしたり、観光スポットを巡ったりするだけでも地域経済に貢献することができます。特に地方部では観光収入が休日に偏っている自治体が多いため、ワーケーションにより平日の観光需要を喚起することは大きなインパクトをもたらします。また、消費者として地域に貢献だけではなく、地域課題の解決に取り組んだり、ボランティアに参加したりするなどして、まちづくりの担い手として地域に貢献することもできます。
移住・定住先の検討に活用可能
将来的に移住や二拠点居住などを検討している方は、ワーケーションを通じてお試し移住をすることも可能です。ただ観光客として訪れるだけではなく、実際に一定期間のあいだ生活者として生活することで初めて見えてくる地域の魅力や課題もあります。ワーケーションは、お試し移住の手段としてもおすすめです。
デメリット
個人から見たワーケーションを実施する主なデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 交通費・宿泊費(個人負担の場合)
- 移動時間がかかる(場所による)
- 通信環境が不十分(場所による)
- 仕事に集中できない
- セキュリティ面に不安がある
- 可能な職種・仕事内容が限られる
- バケーション(休暇)ではない
- 緊急対応ができない
- 日中の自由な行動が難しい
交通費・宿泊費(個人負担の場合)
個人が自分の意思であくまで休暇をメインとして実施する「福利厚生型ワーケーション」や個人として「地域課題解決型ワーケーション」プログラムに参加する場合、交通費や宿泊費は基本的に個人負担となるため、コスト面が制約となります。
移動時間がかかる(場所による)
ワーケーションの滞在先が自宅から離れている場合、移動時間がかかる点もネックとなります。ワーケーション実施時の移動時間を勤怠管理上どのように扱うかについても企業によって対応が異なるため、事前にしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
通信環境が不十分(場所による)
ワーケーションの滞在先となる宿泊施設やオフィススペースに、ウェブ会議などもスムーズに実施できる十分な通信環境が確保されているとは限りません。Wifi設備があったとしても、通信速度に問題があるケースもよくあります。滞在先で高速かつ安定した通信環境が必要となる場合、事前に宿泊施設などにしっかりと確認しておくことをおすすめします。
仕事に集中できない
ワーケーションにより、普段とは異なる環境で仕事に集中できるという声もあれば、目の前に魅力たっぷりの自然や観光スポットが広がっていたり、周囲の人々が仕事ではなくレジャーモードになっていたりする環境ではなかなか仕事に集中できないという人もいます。また、ワーケーション先のホテルの部屋が狭すぎて、閉塞感を感じて仕事ができないというケースもあります。自分がどのような環境であれば集中して仕事ができるのかを考えたうえで、適切な滞在先と宿泊施設を選ぶように心がけましょう。
セキュリティ面に不安がある
ワーケーション滞在中は、宿泊施設やワーキングスペースのwifiのセキュリティ設定が脆弱だったり、オープンスペースでの会話やミーティングが必要だったりと、セキュリティ面でリスクがあるケースもあります。セキュリティ面に不安があるという方は、自ら通信端末を持っていく、個室でミーティングができる施設を選択する、秘匿情報を含む書類などは持っていかないなど、事前に対策しておく必要があります。
可能な職種・仕事内容が限られる
ワーケーションを実施できるのは、現状だと場所に捉われず作業ができるデザイナー、クリエイター、エンジニア、企画・事務職、経営者・フリーランスといった一定の職種・仕事内容に就いている方々に限定されており、オフィスや店舗勤務が必要な職種の場合、ワーケーションを実施することは難しいのが現状です。
バケーション(休暇)ではない
ワーケーションは「バケーション(休暇)」ではなく、滞在先で一定時間仕事をすることを前提としています。人によっては、「せっかく観光地に来たのに仕事をするのはもったいない」「なぜここまで来て都心部でもできる仕事をしなければいけないのだろう」などと感じ、かえってモチベーションが下がってしまったり、虚無感に襲われたりする人もいます。こうした感情を覚える方は、仕事と休暇はしっかりと切り離し、バケーションを楽しむスタイルにするのがおすすめです。
緊急対応ができない
ワーケーションの滞在期間中に万が一仕事でトラブルが発生した場合、リモートでの対応となり、トラブルが発生している現地で緊急対応をすることは難しいため、ワーケーションを実施する際は、緊急トラブルが発生した場合はどのように対応するのか、事前に同僚や上司などと話し合い、スムーズに対応できる体制をつくっておくことが重要となります。
日中の自由な行動が難しい
地域課題解決型ワーケーションや合宿型ワーケーションの場合、予め一日のスケジュールが主催者によって決められており、テレワークができる時間帯などが制限されるケースもあります。日中に柔軟な業務対応が求められる場合、事前にワーケーションプログラムのスケジュールをしっかりと確認し、必要に応じて同僚や上司などにスケジュールを共有しておくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?個人の視点から見て、ワーケーションには様々なメリットもある一方で、克服するべき課題もあることがお分かりいただけるのではないかと思います。ワーケーションを実施してみたいという方は、ぜひ課題を理解し、事前に十分な対策をしたうえで充実したワーケーションをお過ごしください。
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