自治体から見たワーケーションのメリット・デメリットは?

普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみながら仕事を行う「ワーケーション」。この新しい働き方は、少子高齢化や人口減少に伴い多くの地域課題を抱えており、観光客や関係人口、移住者を増やしたい自治体や、新産業やイノベーションの創出などにより地方創生を推進したい自治体にとって大きな可能性を秘めています。ここでは、自治体から見たワーケーションのメリット・デメリットについて詳しくご紹介していきます。

自治体から見たワーケーションのメリット

自治体から見たワーケーションを実施する主なメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 平日の観光・旅行需要創出
  • 交流人口・関係人口の増加
  • 地域内関連事業の活性化・雇用創出
  • 域外企業との関係構築・投資呼び込み
  • 空き家・遊休施設などの有効活用
  • 移住・定住促進のきっかけづくり

平日の観光・旅行需要創出

ワーケーションは一般的に平日に実施されることが多く、平日の観光需要に課題を抱えている自治体にとっては、観光・旅行需要を拡大できる大きな可能性を秘めています。また、平日は観光客も少ないため、ワーケーションで地域を訪れる人にとっても移動に伴う交通費や宿泊施設の価格も安い、観光スポットなどで混雑に巻き込まれるリスクが少ない、など多くのメリットがあります。その意味で、ワーケーションは受け入れ先となる自治体と個人の双方にとってwin-winの仕組みだと言えます。

交流人口・関係人口の増加

ワーケーションを通じて地域を訪れる人が増えると、自然と地域の交流人口・関係人口が増えていきます。ワーケーションの参加者が自身のSNSなどを通じて地域の魅力を発信するなど自主的に地域のプロモーションをしてくれることも多いですし、それを見た同僚や友人などが新たに地域を訪れてくれることもあります。また、ワーケーションを通じて地域を気に入ってもらえれば、ワーケーションだけではなくプライベートでも家族と一緒に再び地域を訪れてくれる可能性もあります。こうした関係人口づくりを促進するためには、「自然」や「食」といった地域の魅力を体験してもらうだけではなく、実際に地域で暮らす「人」との交流機会を用意し、「人」を目的に再訪してもらえるようなプログラムを用意することが効果的です。

地域内関連事業の活性化・雇用創出

ワーケーションの招致により、宿泊施設や飲食店、小売店などに直接的な経済効果が生まれるだけではなく、ワーケーションを行っている企業と地元企業とがつながり、新たな取引や事業が生まれる可能性もあります。また、ワーケーションの実施企業が地域にサテライトオフィスを開設した場合、賃料収入だけではなく地域における新たな雇用創出を期待することもできます。

域外企業との関係構築・投資呼び込み

ワーケーションを通じて地域外企業との関係構築ができると、人の訪問による経済効果だけではなく、企業が持つナレッジやスキル、資金などの様々なリソースにアクセスできるようになり、場合によっては投資を呼び込むことも可能です。特に地域課題解決型ワーケーションプログラムの場合、域外企業の力を借りながら地域課題の解決に取り組むことができ、企業に対して人材育成機会を提供する見返りとして課題解決に必要なリソースを提供してもらうというwin-winの関係を構築することが可能です。

空き家・遊休施設などの有効活用

ワーケーションの招致を進めるためには、wifi環境や会議スペースなどが充実した宿泊施設や、コワーキングスペースの整備などが鍵となりますが、これらの受け入れ環境整備のために、空き家や廃校などの地域の遊休資産を活用することも可能です。これらの遊休資産を活用すれば、地域の治安・防犯対策などにもつながるだけではなく、新たな収益も期待することができ、一石二鳥となります。

移住・定住促進のきっかけづくり

ワーケーションは、移住・定住を促進するためのきっかけづくりとしても活用することが可能です。実際に一定期間地域で生活してもらうことで、観光で訪れるよりもより深く地域の現状や魅力を知ってもらうことができ、移住後のミスマッチも減らすことができます。移住だけを目的に定めてしまうと趣旨がずれてしまうものの、ワーケーションはその入り口としても大きな可能性を秘めています。

自治体から見たワーケーションのデメリット

自治体から見たワーケーションを実施する主なデメリットとしては、下記が挙げられます。

  • wifiなど環境整備に伴うコスト負担
  • 感染症の蔓延・拡大リスクの増加

wifiなど環境整備に伴うコスト負担

ワーケーションを受け入れるためには、高速かつ安全にインターネットに接続できるwifi環境の整備や、宿泊施設、コワーキングスペースの整備など様々な環境整備を行う必要があり、そのためのコスト負担が伴います。

感染症の蔓延・拡大リスクの増加

ワーケーションに限りませんが、他地域からの訪問者を積極的に受け入れることは、新型コロナウイルス感染症などの蔓延・拡大リスクを伴います。ワーケーション実施時の感染防止対策を徹底することはもちろん、高齢者が多い自治体の場合は、特に地元住民の方々に対する十分な配慮も必要となるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか?ワーケーションは、地方自治体にとって観光政策、空き家対策、移住促進、新産業・イノベーション創出、地方創生・SDGsなど様々な側面にポジティブな影響を生み出すことができる仕組みです。ワーケーションに可能性を感じるという自治体担当者の方は、ぜひ具体的に検討をはじめてみてはいかがでしょうか?

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