ワシントンDCに拠点を置く、アメリカのホテル業界団体アメリカン・ホテル&ロッジング協会(AHLA)が連邦政府州にロビー活動を行い、Airbnbとそのホストに対して、より厳しい規制を設けるように働きかけていることが分かった。ニューヨーク・タイムズ紙が同団体の計画概要を示した文書を入手、全文を公開して話題を呼んでいる。
AHLAの構成メンバーにはマリオット、ヒルトン、ハイアットといった大手ホテルが名を連ねており、Airbnbのホストが物件をリスティングする前に自治体に登録することを義務付けるサンフランシスコ、ニューヨーク等の都市の法規制にも影響を与えたとされる。ニューヨーク州は法規に違反するホストへの罰金制度を導入した。
AHLAはAirbnbの出現により主要都市の住宅用不動産の価格が上昇していることが不公平だという一部の意見にも同調しており、住宅価格上昇の原因としてAirbnbが昨年アメリカ連邦取引委員会の調査の標的にされたことを大きな成果と位置付けている。一方で、旅行シーズンや大きなイベント時に、Airbnbがホテル料金の高騰を抑えることに影響しているともいわれる。
同団体はホストの数を減らすように働きかけ、Airbnbが既存のホテルと比較すると安全性に難があることを強調し、どうにかしてAirbnbを厳しい立場に追いやろうとしている。AHLAの持つ大きな懸念は、Airbnbが実質的にホテル分野の事業を行っているにもかかわらず、ホテル税やホテル業界のルールに従っていないことだという。
AHLAは主要マーケットのサンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン、マイアミ、ワシントンDCで集中的に活動を展開する考えだ。AHLAのトロイ・フラナガンは、「Airbnbが家族経営や小規模事業が収益をあげるのを支援しているという神話を崩壊させることを目指している。」と強烈な対抗意識を露わにしている。
既存のホテルがAirbnbを毛嫌いしていることは周知の事実だが、今回公開された文書からは、ホテル業界がいかにAirbnbを脅威と捉え、徹底的な対抗策を打とうとしているかが良く分かる。
一方のAirbnb自体は州政府や各自治体と協調路線を歩んでおり、先日もアメリカ250以上の自治体で税回収を行うと公表したばかりで、今後もTripや航空券予約など宿泊以外の領域もカバーした総合的な旅行プラットフォームへと進化を遂げていく計画だ。
ホテルとAirbnbをめぐる戦いが、最終的に世界の旅行市場の勢力地図をどのように塗り替えるのか、引き続き目が離せない。
【参照サイト】Inside the Hotel Industry’s Plan to Combat Airbnb
【参照サイト】The Hotel Industry’s Plans to Combat Airbnb
(Livhubニュース編集部)


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