米民泊サイト大手のAirbnbは7月26日、明確かつ公正なホームシェアリング規制の構築に向けた同社とロサンゼルス市との過去2年間に渡る取り組みが大きく前進し、成果を上げたことを公表した。
ロサンゼルス市は今年の4月、自宅の貸出日数を年間最大90日以内とし、合法的に貸し出し可能な部屋もホストが住んでいる住居に限るという規制案を公表していた。この草案を受けて、Airbnbホストらはメールや電話、ソーシャルメディアなどを通じて同市に対して17,000以上の抗議メッセージを送付、6月2日に開催された都市計画委員会の公聴会にも250名以上のホストが集結し、規制緩和を訴えた。
その結果、委員会の規制案は大きく緩和され、6月以降の草案では現在居住している自宅の貸し出しが年間最大180日まで、セカンドハウスや別荘も最大15日まで可能となり、ホストは合法的にセカンドハウスや別荘も貸し出すことが可能になった。
また、Airbnb とロサンゼルス市は6月18日、該当するホストのコミュニティに代わって一時占有税( TOT )をAirbnbに収集し、送金することも合意に達した。
Airbnbホストらの働きかけにより生まれた今回の合意は、Airbnbだけではなくロサンゼルス市にとっても大きな一歩となるものだ。Airbnbは、この規制緩和により同市の税収は大幅に増えるだけではなく、ホストらが税法を遵守する上でも役立つだろうと主張している。
今回の結果を受けて、Airbnbにて南カリフォルニア担当の政策マネジャーを務めるジョンチョイ氏は「Airbnbを利用したホームシェアリングの規則は日々進歩しているが、我々はまだ市との対話を継続していく必要がある。私たちはホストたちのはっきりとした力強いメッセージを聞き、彼らはまだ過度な規則の制限について、懸念しているということを知った。私たちのチームは、このホストたちの不安に対処するために、また規制は公正かつ賢明であることを確認するために、市の機関と常に話し合いをしていきたいと思っている。」と語る。
同氏は、今後の目標として「できるだけ簡単かつ効率的に、短期レンタルの登録プロセスを行うこと」「年間の貸し出し日数上限をさらに増加し、責任あるホストらが最大限柔軟性を持てるようにすること」「ホストのプライバシーを保護しつつ、Airbnbプラットフォームからのホストにふさわしくない人々の排除に向けてロサンゼルス市とデータを共有すること。」「ロサンゼルスの全ての人々がホームシェアリングに参加できるようにすること。」を掲げている。
今後、今回発表された新たな規制案は市委員会へと提出され、今年の夏に最初の検討が行われる。そして今秋には市議会に提出され、市議会が最終案を起草後、市長の署名を持って条例として成立する予定だ。
ジョンチョイ氏は「私たちはこのロサンゼルスで実に素晴らしい発展を起こし始めている。そして、皆さんの継続的な支援と行動で、公正なルールを構築し、数千人にも及ぶ中流階級(一般市民)の人々を助けるべく、ホームシェアリングをするホストたちにとって生活に余裕がでるような、経済的なライフラインになるよう、私たちは市と一緒に動いていきたいと思う。」と語る。
今回のロサンゼルスの動きは、Airbnbホストらの働きかけが法規制にも十分に影響を及ぼしうることを示す好事例だ。今後、市議会での議論をへて最終的にどのような条例が制定されるのか、引き続き注目が集まる。
【参照記事】LA HOME SHARING MAKING STRIDES AFTER PLANNING COMMISSION HEARING
(Livhub 編集部 佐々木 久枝)
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