民泊仲介サイト最大手のAirbnbが、発祥の地である米国サンフランシスコで新たな動きを見せている。Airbnbと集合住宅オーナー向けの民泊管理ツールを提供するPillowは11月5日、Airbnbを通じて物件を貸し出したいオーナーやテナントを支援するための新たなパートナーシップを締結したと公表した。
今回の提携により、PillowはAirbnbのFriendly Buildings Programに参加している13,000以上の集合住宅オーナーの推奨パートナーとなる。Friendly Buildings Programとは、物件を保有するオーナーが民泊を許可した場合、同物件に居住しているAirbnbホストがAirbnb上で得た売上の5%から15%をオーナーに還元するというプログラムだ。民泊ホストと物件オーナーが部屋の貸し出しにより得られる収益をシェアすることを目的としている。
今回のパートナーシップに参加し、集合住宅のオーナー向けにプログラムを提供する最初の企業はサンフランシスコの集合住宅最大手のVeritas Investmentsとなり、Veritasは市内の5つのマンションでパイロットプログラムを開始する。
パートナーシップの中身は次の通りだ。家主や集合住宅の管理会社はAirbnb Friendly Buildings Programに参画することができ、全ての居住者の生活の質向上に向けて、ホームシェアリングによる収益の配分割合を設定できる。そして、家主はPillow Residentialに加わり、Pillowが提供する一連のツールを利用できるようになる。Pillowのツールにはテナントがホームシェアリングを開始するための教育コンテンツやホームシェアリングを許可するための賃貸借契約の補足事項作成と締結、リスティングのテンプレートに物件ルールを組み込む機能などが含まれる。さらに、家主はいつでもどの部屋が貸し出されているかが一目で分かるダッシュボードにもアクセス可能だ。
また、Pillowのツールからはテナントも恩恵を受ける。テナントはPillowのツールを利用することで建物へのチェックイン情報から緊急連絡先にいたるまで全てが含まれたモバイルガイドやビルの共有施設についての情報をAirbnbのリスティング作成時に自動的に反映させることができるほか、ゲストのチェックアウト時にはPillowを通じて清掃の依頼も可能だ。
NMHC (National Multifamily Housing Council)の調査によると、25~34歳の半数以上、25歳未満の人の60%以上が物件のシェアリングに関心があり、アパートオーナーやテナントは、ますますホームシェアを受け入れる傾向にあるという。
日本では民泊を禁止するオーナーや管理組合なども多いが、米国ではホームシェアリングにより得られる収益をホストとオーナーがシェアするというモデルを確立することで、実利を重視してむしろ積極的にテナントに対して民泊を推進するオーナーの動きも活発化している。
Airbnbが成長するうえで民泊可能な部屋の在庫数を増やすことは欠かせない要素の一つだ。同社はそのためにますます不動産業界との関係を深め、ホームシェアリングしやすいインフラやシステムの整備を着実に進めている。
【参照サイト】Airbnb, Pillow Residential Partner to Make Home Sharing in Apartments Easier
【参照サイト】Pillow
【参照サイト】Veritas Investments
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