シェアリングエコノミー協会、シェアリングシティ認定制度開始。岩手県釜石市、富山県南砺市など15自治体を認定

シェアリングシティ認定

一般社団法人シェアリングエコノミー協会は11月8日、シェアリングエコノミーで地域行政課題を解決する自治体を認定する「シェアリングシティ」認定制度を開始し、新たに15自治体を認定したことを公表した。

「シェアリングシティ」認定制度は、シェアリングエコノミーサービスを活用し、地域課題解決に取り組む地域を認定することにより、シェアリングシティのベストプラクティス(最も効率のよい手法)となるような事例の実現・創出を目指す取り組みだ。認定を受けた自治体は協会のHPやお知らせ、協会ロゴや認定マークを利用できるほか、会員向けメルマガ掲載や、MEET UPでのPR枠が用意される。

認定条件は2つあり、1つ目は協会会員企業のシェアサービスを2つ以上導入していること。2つ目は導入したシェアサービスの普及促進に向けた自治体主導による広報PRの実行だ。

現在認定を受けている自治体は、秋田県湯沢市、石川県加賀市、岩手県釜石市、鹿児島県奄美市、埼玉県横瀬町、佐賀県多久市、滋賀県大津市、静岡県浜松市、千葉県千葉市、富山県南砺市、長崎県島原市、長野県川上村、福井県鯖江市、北海道天塩町、宮崎県日南市の全15自治体である。

中でも、2019年に開催予定のラグビーワールドカップの会場の1つになることが決まっている岩手県釜石市は、国内で初めてAirbnbと連携した自治体だ。農林水産省が「グリーン・ツーリズム」の一環として推進する「農家民泊」を活用し、2016年10月に「観光促進に関する覚書」を締結した。農家民泊を推進する体制構築や英語版ガイドブックの作成、非常用宿泊施設の提供にホストコミュニティを活用する災害対応プログラムの策定などについて協働している。

山間地の過疎化が著しい富山県南砺市もAirbnbを活用している。市独自に空店舗対策、起業家支援の補助制度を設け、空家のゲストハウス改修や、合掌造りや木彫刻などの歴史文化体験プログラムに活用し、Airbnbを通じて、外国人観光客の誘客につなげている。

全く異なる角度からシェアリングエコノミーサービスを活用しているのは、福井県鯖江市だ。成熟産業である「ものづくりのまち」であるため常に新たなイノベーションにチャレンジし続ける必要があるという背景があり、今回はFAAVOやMakuakeなどクラウドファンディングを活用したものづくりへの取り組みや、TABICAやスペースマーケットを活用した観光誘致を行う点から、認定を受けた。現在、楽天LIFULL STAYと連携し人材育成・雇用創出を目指すサテライトオフィスの開設と、空き家を利用した民泊施設のモデルケース開発にも取り組んでいる(関連記事:LIFULL、楽天LIFULL STAY、福井県鯖江市、鯖江商工会議所「空き家の利活用を通じた地域活性化連携協定」締結)。

シェアリングエコノミーを活用した取り組みは、人口減少や財政難などの課題を公共サービスだけに頼らず、市民ひとりひとりがシェアしあうことで解決につなげていくものであり、それぞれ自治体の特色に沿ったシェアが行われていることが特徴だ。政府は新成長戦略「未来投資戦略2017」の中で29年度内に30地域のシェアリングエコノミーを活用した自治体の創出を目標に掲げている。

(Livhubニュース編集部 平井 真理)

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