自宅やコワーキングスペース、カフェなどでの「リモートワーク」
オフィス勤務とリモートワークの併用という「ハイブリッドワーク」
毎日オフィスにいる必要性から解放された今、私たちはWi-Fi環境とデスク環境さえあればどこでも働ける。そして、コロナ以前に比べれば多くの人々が「どこにでも暮らせる」選択肢を持てるようになりつつある。
世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームのAirbnbは、2022年1月18日、こうしたライフスタイルの変化に伴い最近のAirbnbにおける宿泊傾向について、次のように発表した。
- 2021年第3四半期の予約総宿泊数のうち、5泊に1泊は28日以上の滞在(長期滞在)のための宿泊だった
- 2021年第3四半期に予約された宿泊の半数近くが7日以上の滞在で、2019年の44%から増加した
- 2020年9月から1年間、述べ10万人以上のゲストが90日以上の滞在を予約した
いずれも滞在日数の期間が長い。このような変化が意味するものは何か?
「どこにでも暮らせる」という生活の多拠点化により、旅行そのものの既存概念が変わろうとしているのだろうか。
2022年の旅行トレンド予測
続いて、Airbnbは今年2022年の旅行トレンドをこう予測している。
1. 旅行先が、より多くの幅広い地域に広がる
コロナ禍のパンデミックの間でも、世界中10万もの町と都市でAirbnbの予約があった。そのうち、6,000もの場所が”初めて”Airbnbの予約が入った場所だったという。米国では2021年第3四半期、ゲストが米国内の地方部に滞在するために予約した国内宿泊数が、2019年第3四半期に比べて85%増加した。
これらの変化からも、人々の旅先がこれまでのような特定の有名な観光地だけではなく、有名なところもそうでない場所も含む何千もの町や都市に幅広くなっていくことが予測できる。
2. 海外移住、長期滞在、デジタルノマドの動きが加速
世界的に見るとAirbnbでは、2019年夏から2021年夏にかけて、家族での長期滞在の宿泊数が75%に増加。また、Airbnbの長期滞在予約者のうち、ノマド的なライフスタイルを送るために滞在を利用する人の割合は、世界全体で2020年から2021年にかけて9%から12%に増加した。
これらの変化からも、今後は海外に住み始める人が増え、ある人は夏の間ずっと旅行し、ある人は賃貸契約の住まいをやめてデジタルノマドになるといった傾向が予測できる。
3. 各地が行うリモートワーカーをひきつけるための施策による、住む・旅する場所の変化
現在、ビザや税制のルールを変更する国は増えており、38もの国が何らかのデジタルノマドビザを提供しており、さまざまな都市や国で、リモートワーカーをひきつけるためのアピール合戦が繰り広げられている。そして、それによって人々が旅行する場所や住む場所の変化が起きるのではないか。
Airbnbの共同創業者も「どこにでも暮らせる」人に
Airbnbの共同創業者兼CEOであるブライアン・チェスキーは、1月19日、自身のTwitterでAirbnbで生活をすることを発表した。「どこにでも暮らせる」人々の一員となったのだ。米国・アトランタでの滞在から始め、数週間ごとに新しい町や都市の人々の家に転々と滞在しながら、リモートワークをする多くの人々が時折、定期的に同僚との仕事のために勤務地の都市に戻るのと同様に、サンフランシスコに戻ってくる予定だという。チェスキーは、Airbnbで生活することによって、どこにでも暮らせるようになった人々の宿泊経験の設計に役立てる考えだ。
生活の多拠点化により、旅行の概念そのものに変化がおとずれている。これまで短期間の旅行が多かった人も、旅先で仕事をしながら休暇をとるスタイルになり、その期間も1週間から2週間、2週間から1ヶ月と伸び、賃貸で契約している住居をも解約し、1年を通してさまざまな地域や国へ訪れる。そうした地域を転々とする生活が叶おうとしている。いや、もはや実行されている。
2022年「どこにでも暮らせる時代」において、果たして「どこにでも暮らせる」人々はどんな地域を好み、どれくらいの期間滞在を楽しみ、どのくらい世界中を旅するのだろうか?
※リモートワークに関する企業の予期される方針や人々の期待、旅行のトレンド予測、ゲストの旅行に関する行動、旅行需要等は、歴史的事実以外すべては、将来の見通しとなる。Airbnbがこれらが正しいと一切保証するものではない。
【参照サイト】Airbnb News
【関連ページ】Airbnb

明田川蘭

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