旅先でどう過ごすかは、滞在先選びと同様に旅の時間を左右する大きな要素になります。
ガイドブックに載っている観光名所を回ったり、自分でふらふらと歩いてみるのももちろんいいけれど、もっと深くその土地を知るには、その場所に住んでいる人に案内してもらうのが一番。今回は宿のスタッフさんや、地元のガイドさんが案内してくれる「町歩き」ツアーを開催しているゲストハウスやホテルを紹介します。
その土地に住んでいる人と歩くことで、ローカルの人しか知らない場所を教えてもらえたり、途中でご近所さんに遭遇してちょっと立ち話なんてことも起きるかもしれません。自分で歩くより、土地との接点が増えることで、たっぷり旅を堪能できること間違いなし。
1. guest house MARUYA(静岡・熱海)
熱海の日常に溶け込むような体験ができるのが、熱海一古い町、銀座町の商店街に位置するguest house MARUYA(ゲストハウス マルヤ)。まち全体をひとつの宿と見立て、拠点となるMARUYAには寝るための必要最低限のもののみ。徒歩3分で辿り着くビーチで遊んで、宿のそばの温泉施設でお風呂に入り、地元の人御用達の飲食店で地酒を飲みながら夕飯。ローカルでディープな熱海を楽しむにはうってつけの施設です。
さらにMARUYAにはユニークな宿泊オプションがあります。宿の向かいにある老舗の干物屋さんで自ら購入した好みの干物を持ち帰り、MARUYAのグリルで焼いて食べるモーニングや、近所の魚屋さんで魚を調達するところから始める干物作り体験など。町歩きもそのひとつ。MARUYAで働くスタッフが案内してくれる「裏路地まちガイド」に申し込むと、奈良時代からの老舗店や文豪が愛した喫茶店、ガイドブックには載っていない秘密の裏路地案内までしてくれます。いままでと違う熱海を見に、MARUYAに泊まってみては?
住所 | 静岡県熱海市銀座町7-8 1F |
電話番号 | 0557-82-0389 |
HP | https://guesthouse-maruya.jp/ |
ツアー開催日/日時/料金 | 金・土曜/13:45~/1,500円 ※ガイド費、cafe&Bar 1ドリンク代、お菓子代含む |
「熱海さんぽガイドつき宿泊プラン」 | https://guesthouse-maruya.jp/熱海さんぽガイドつき宿泊プラン-〜あなたの知ら/ |
評判・口コミ | じゃらん、楽天トラベル |
2. 長野1166バックパッカーズ(長野・長野)
長野市善光寺から徒歩5分のところに、築90余年の元クリーニング店を改装したゲストハウス、長野1166バックパッカーズがあります。風通しのいいラウンジには旅人やスタッフのみならず、近所の人も立ち寄って寛いでいくことも。周辺には江戸時代創業の老舗店や、同宿と同じように歴史ある建築や古民家をリノベーションしたカフェやギャラリーなどが軒を連ねています。
そんな昔ながらの風情を残した町並みは探索にももってこい。長野1166バックパッカーズでは、好きな場所をひとつでも紹介したいという想いから、宿主自らが案内人を務める朝のまち歩きを開催。宿泊者は参加無料で、寺社仏閣や小さな店舗、町中からも目に留まる山の風景などを案内しながら巡ります。
住所 | 長野県長野市西町1048 |
電話番号 | 026-217-2816 |
HP | https://1166bp.com/ |
ツアー開催日/日時/料金 | 月・水・金曜(事前に確認)/9:00〜11:00/宿泊者無料 |
「まち歩き / GUIDE TOUR」 | https://1166bp.com/area |
評判・口コミ | じゃらん、楽天トラベル |
3. 真鶴出版(神奈川・真鶴)
海に囲まれた漁港のある風光明媚な町、真鶴にある宿、真鶴出版。宿なのに出版?と思った方もいるかもしれませんが、真鶴出版は、真鶴の情報を出版活動などを通じて発信しながら、来てくれた人を宿へ受け入れる「泊まれる出版社」なのです。
「旅と移住の間」をテーマとし、真鶴の暮らしを体験・体感できるようにと、初めての宿泊ゲストには約1〜2時間ほどかけて町を案内する「町歩きツアー」を実施。背戸道(せどみち)と呼ばれる細い路地を巡りながら、小さな商店の店主と話したり、干物を楽しんだり、真鶴に住む人たちの日常を垣間見られるツアーです。町民との出会いも一期一会。移住先を探して、町を試住(試しに住んでみる)しに来るお客さんも多いんだとか。Livhubでは、以前真鶴出版の宿担当、來住友美(きし ともみ)さんにお話を聞きました。そちらの記事もよろしければぜひどうぞ。<消費する旅から創造する旅へ。「泊まれる出版社」こと真鶴出版のもてなしが生む「旅と移住の間」>
住所 | 神奈川県足柄下郡真鶴町岩217 |
電話番号 | なし |
宿泊可能日 | 金〜火曜日 |
HP | https://manapub.com |
ツアー開催日/日時/料金 | 滞在中/1~2時間/無料 |
4. Tipy records inn(神奈川・小田原)
「何かがはじまっちゃう」そんなワクワクしたキャッチコピーとともに迎え入れてくれるのが、小田原にあるゲストハウス、Tipy records inn(ティピー レコーズ イン)。
宿泊時にレコードまたはCDを寄付すると500円割引く制度があるのが有名で、Tipy records innには世界中から訪れた旅人のとっておきの音楽とその1枚にまつわる個人的な物語が集まっています。レコードプレイヤーにレコードを置き、世界中の旅人とつながることのできる宿です。
また、ゲストが小田原のことをもっと好きになることを目指したさまざまな企画を実施。そのひとつが「ティピさんぽ」。チェックイン前の2時間を使って、小田原の町を歩く。ローカルと歩くからこそ、地元の人とバッタリ出くわしてちょっと立ち話なんてことも。世界とつながり、ローカルとつながりに、訪れてみてはいかがでしょうか。
住所 | 神奈川県小田原市栄町 2-4-13 |
電話番号 | 050-3627-9927 |
HP | https://tipyrecordsinn.com/ |
ツアー開催日/日時/料金 | 通年 ※要予約/13:00~15:00/2,500円(ゲストは1,500円) |
「ティピさんぽ」 | https://tipyrecordsinn.com/activity/ |
評判・口コミ | 楽天トラベル |
5. hanare(東京・谷中)
東京・谷中にあるホテル、henareは「まちやど」と呼ばれる形態をとった宿です。単に一つの建物に完結した宿ではなく、まち全体を一つの大きな宿に見立てることで 地域と一体になった宿のことをまちやどと言います。前に紹介した、guest house MARUYAや真鶴出版もまちやどの一つ。
大浴場はまちの銭湯。ホテル自慢のレストランはまちの美味しい飲食店。お土産屋さんは商店街や路地に店を構える雑貨屋さん。文化体験はまちのお稽古教室やお寺で。そんなhanareから、2022年5月で新しいく「ウィークリーSTAY」プランが始まりました。その名も、「旅と暮らしの7日間」。
1週間単位で町に滞在し、1泊、2泊の旅よりも、もう一歩踏み込んだ「まち」に触れ、「であう」「かよう」「くらす」「あじわう」「やすめる」といった楽しみ方が提案されています。プラン予約者は、滞在期間中に1度「まち歩きツアー」に参加することができるのも特徴。
交通機関やランドリー、キッチン施設などを案内してくれる30分のお気軽コースと、基本情報に加えまちのおすすめスポットなども案内してくれる1時間からのたっぷりコース。お好みで選んで、谷中を暮らすように楽しんでみては?
住所 | 東京都台東区谷中 3-10-25 HAGISO |
電話番号 | 03-5834-7301 |
HP | https://hanare.hagiso.jp/ |
旅と暮らしの7日間 | https://hanare.hagiso.jp/news/stay/ |
評判・口コミ | 楽天トラベル |
6. ryugon(新潟・南魚沼)
1969年に創業した老舗旅館「温泉御宿 龍言」をリニューアルし、2019年に新潟の南魚沼、国内有数の豪雪地帯に「雪国を感じる古民家ホテル」として再オープンしたryugon(リュウゴン)。
ここでは長年、雪国で営まれてきた暮らしを垣間見ることができます。木造平屋土蔵造りの建物を移築した温泉で旅の疲れを癒し、全国的に知られる魚沼産コシヒカリ発祥の地で炊き立ての白米と、それに合う地元のお惣菜に舌鼓。風情たっぷりの空間で過ごしたら、用意されたさまざまな体験プランにも参加してみましょう。
まちぶら散歩もそのひとつ。地元在住ガイド小林昌子さんによるツアーと、POP GUIDEアプリを使ったセルフガイドツアーの2つのツアーから選べます。ガイド付きのツアーでは、商店街をぶらりと歩きながら、地域を知り尽くした小林さんが、雪国の暮らしや文化について教えてくれます。そのほかにも古民家の土間で、郷土料理名人のおばあちゃん一緒に雪国の郷土料理をつくる土間クッキング、田んぼの風景が広がる景色の中でゆっくり巡る自転車旅など、地域ならではの魅力的な体験ができます。
雪国では、何に喜び、何に困り、どんな知恵とともに暮らすのか。雪国の暮らしを見ることで、自分の暮らしを見つめ直すきっかけにもなるかもしれません。
住所 | 新潟県南魚沼市坂戸1-6 |
電話番号 | 025-772-3470 |
HP | https://ryugon.co.jp/ |
ツアー開催日/日時/料金 | 月・金曜日/14:00〜15:30/3,300円 |
「まちぶらツアー」 | https://ryugon.co.jp/activity/city-walking-tour/ |
評判・口コミ | じゃらん、楽天トラベル |
7. OMO by 星野リゾート(全国各地)
ラグジュアリーホテルという印象が強い星野リゾートグループですが、よりカジュアルに宿泊を楽しむことができるのが、星野リゾートの都市観光ホテルブランド、OMO(オモ)の施設。現在は北海道は旭川・小樽・すすきの、東京は大塚・赤坂、その他にも横浜や京都、大阪、沖縄など全国に14箇所展開しています。
「旅のテンションを上げ、街を楽しみつくす観光客のためのホテル」と銘打ち、旅先をまるごと楽しめる仕掛けが色々とほどこされていて、どの拠点でも目に留まるのが、大きなご近所マップ。ガイドブックには載っていないリアルな情報が集まっています。
マップを元に自分たちで散策するのもいいですが、OMOホテルではガイド付きツアーが毎日開催されています。街を知り尽くしたガイドの案内で、ちょっとディープな町歩きも興味深いですよね。
住所 | 全国 |
電話番号 | 0570-073-099 (9:30~18:00) |
HP | https://hoshinoresorts.com/ja/brands/omo/ |
ツアー開催日/日時/料金 | 宿による |
番外編. ますきち(愛知・瀬戸)
千年以上もの歴史を持つ「せともの」が、暮らしに根付いた日常を垣間見ることができる瀬戸焼の生産地・瀬戸市。その地に、明治時代の陶工・川本桝吉の歴史ある邸宅を改装した宿ますきちがあります。地元の人も訪れる併設の喫茶では地元の焙煎所より仕入れたコーヒーを味わうことができます。
ますきちではマップやWEBメディア「ほやほや」にて町紹介を行っているので、それらを元に旅行者は町歩きを楽しめます。宿を運営しているご夫婦の奥さんが元ライターということもあり、どのコンテンツも読み応えたっぷり!さらに瀬戸市の魅力を発信すべく出版社を立ち上げるクラウドファンディングを実施するなど、ひとりでも多くの人に瀬戸市を知ってもらい、訪れてもらえるためにと奮闘されています。
ガイド付きツアーも検討中で、来年度には実現するかもしれないとのこと。ユニークな取り組みはもちろん、オーナーの南さんご夫婦に会いに行きたくなるお宿です。
住所 | 愛知県瀬戸市仲切町22 |
電話番号 | 080-4614-5325 |
HP | https://seto-masukichi.com/ |
瀬戸市メディア「ほやほや」 | https://hoyahoya-seto.com/ |
評判・口コミ | 楽天トラベル |
-
宿のスタッフや地元の人が案内してくれる、町歩きガイドツアーを提供している宿を紹介しました。
地元の人から情報をもらい一緒に歩くことで、観光に留まらない、よりディープに土地を味わい尽くす旅になるはず。さらには、その地や人と濃い繋がりが生まれて、第二の故郷のような場所ができるかも?
次の旅のご参考までに。
【関連記事】町が丸ごと宿になる。「まちやど」という、古くて新しい宿の魅力とは | 日本まちやど協会 宮崎 晃吉さんインタビュー
【関連記事】あるくあるく、つながらないで、ただ歩く
mia
最新記事 by mia (全て見る)
- 小さな村の伝統産業を守るためにつくられた、バリ島アメッドのエコホテル - 2024年2月21日
- 海ごみドレスでファッションショー。バリ島の小さな村で遭遇したエコフェスティバル - 2024年2月16日
- インドネシア・バリ島の町「チャングー」で、肌で感じたオーバーツーリズムのこと - 2024年2月5日
- 大都市からの移住夫婦がバリ島ウブドで始めた食堂が、私の居場所になるまで - 2024年1月18日
- これからにつながる輝く“なにか”をもらった。バリ島ウブドのエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」滞在記 - 2023年12月20日