梅雨の不調を乗り切るために、「漢方旅」に出てみよう

kanpo

雨が降るとジメジメ。なんだか憂鬱な気分になる。
朝起きても「今日も雨か、はぁ…。外に出たくないな」

何となく身体が重たい、心が晴れない、そんな気分になる梅雨。

梅雨の不調は「湿邪」が原因?

梅雨は体調不良になりやすい、そう感じる人も多いのでは。低気圧がもたらす頭痛や寒暖差による冷えは、すでに広く知られるところだ。一方で、「毎日のように雨が続くから、気分が滅入って身体もだるいのだろう」と片付けてしまう向きもある。しかし漢方の考え方では、梅雨は十分に体調不良の理由になりうるという。

漢方では、気候の変化を「風(ふう)・暑(しょ)・火(か)・湿(しつ)・燥(そう)・寒(かん)」の6つに分け、これを六気(ろっき)と呼んでいる。いずれも生きていくためには欠かせない要素だが、過剰に影響を受けると病気の原因である「邪気(じゃき)」となってしまう。邪気は気候ごとに「風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)」といい、「六淫(りくいん)」と総称される。

このうちの「湿邪」こそが、梅雨どきの不調の外的要因だ。湿度が高いと身体にも余分な水分が増え、スムーズに排出されず停滞する。そうなると、もっとも影響を受ける臓器が胃腸をはじめとした消化器だ。代表的な症状に、消化不良・胃もたれ・食欲不振・吐き気・下痢などがある。

体調不良に陥ったとき、またはそうならないための予防として行われるのが「養生」だ。養生は文字通り生命を養うことを目指しており、食事・運動・休養が柱となる。湿邪による不調であれば、「冷たい飲みものを避ける」「いつもより多めに歩く」「暑くてもしっかり入浴する」といった養生がセオリーだ。

どれも気軽に実践できるものだが、忙しい日々の中ではついなおざりにしてしまいがち。ならば、養生に没頭する「漢方旅」で、究極の休息を叶えてみるのはどうか。食事や湯治に漢方を取り入れた、3つの宿を紹介する。

1.SOKI ATAMI | 熱海の湯治文化に和漢を融合させた漢方家監修の養生を体験

画像引用:SOKI ATAMI|楽天トラベル

「SOKI ATAMI(そきあたみ)」は、熱海湾を望む高台の宿。湯治文化に和漢を融合させた、この地ならではの養生を体験できる。大浴場には、和漢植物や柑橘類が浮かぶ季節湯が。泉質は弱アルカリ性のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉で、寒暖差やエアコンで冷えた身体を芯から温めてくれる。伝統の蒸気浴を今に受け継いだスチームサウナは、安眠につながると好評だ。客室にも露天風呂または内風呂が付いているので、好きな時間に好きなだけ入浴を楽しめるのもうれしい。

朝食と飲みもののレシピは、漢方家・杉本格朗(かくろう)氏の監修だ。朝食は薬膳で、五行説に基づき甘味・苦味などの「五味」をバランスよく配している。ビュッフェカウンターで、豊富な小鉢や薬膳カレーをプラスするのもおすすめだ。夕食に、薬膳スープの鍋が登場することもあるという。

画像引用:SOKI ATAMI|楽天トラベル

海を一望する最上階の茶寮では、養生茶や薬草酒を堪能できる。茶葉は地元の静岡産、フルーツは敷地内の里庭でとれたもの。里庭ではハーブも育てていて、食事はもちろん自家製の蒸留水にも使われている。室内に漂うハーブの香りは、よりリラックスした気分に導いてくれるはずだ。ときには里庭に出て散策したり、緑を眺めたりすると心身ともにすっきりする。

住所 静岡県熱海市小嵐町4−36
HP https://nikko-kumamoto.co.jp/
各種予約サイト

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2.湯谷温泉 はづ木 | 10種類以上の生薬を用いる漢方薬膳懐石料理や薬用酒を堪能

画像引用:湯谷温泉 はづ木

約1300年前の開湯と伝わる、奥三河の湯谷温泉。宇連川(うれがわ)沿いに建つ「はづ木」は、どこか郷愁を誘う数寄屋造りの宿だ。はづ木では、懐石料理と薬膳を組み合わせた「漢方薬膳懐石料理」を提供している。渓谷を見下ろすロビーでまず用意されるのは、蓮の葉と緑豆をブレンドしたお茶のウェルカムドリンク。養生は、宿に訪れた瞬間から始まる。

はづ木の料理には、紅花(べにばな)・霊芝(れいし)・黄耆(おうぎ)をはじめ10種類以上の生薬が用いられている。本格的な薬膳にも関わらず、味付けは思いのほかマイルド。品数豊富で盛り付けも美しく、色とりどりのメニューが卓上を埋め尽くすかの様子は圧巻だ。別注で楊梅(ようばい)や山査子(さんざし)などの生薬を漬け込んだ薬用酒をオーダーできるので、身体の状態に合わせて選ぶとよいだろう。朝食は、3種の米を配合したかゆがメインの漢方膳。胃腸にやさしく、ほっとするような味わいだ。

画像引用:湯谷温泉 はづ木

はづ木では、断食体験プランも実施している。地域医療機関の監修のもとで行われるため、ファスティングが初めての人も安心だ。スムージー料理研究家が開発した薬膳スムージーやスープを2~3時間おきに摂食するので、耐えがたい空腹に陥ったりもしない。

温泉は源泉かけ流しで、冷えや疲労にアプローチするナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。露天風呂は滞在中何度でも貸切可能だから、人目を気にせずくつろぐのに最適だ。ひのきの香りやせせらぎも、心を癒してくれる。

住所 愛知県新城市豊岡字滝上45-1
HP https://www.hazu.co.jp/hazuki/
各種予約サイト

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3.海辺のスパイスヴィラ coyamaris | 漢方薬剤師のオーナーシェフが営むスパイス宿

海辺のスパイスヴィラ coyamaris画像引用:海辺のスパイスヴィラ coyamaris

「海辺のスパイスヴィラ coyamaris(コーヤマリス)」は、下関市室津のシンボル・甲山をその名に冠した宿だ。coyamarisでは、漢方薬剤師のオーナーシェフがスパイスと薬膳を融合させたメニューを提供している。

夕食は、薬膳しゃぶしゃぶ・スパイスカレー・和洋創作料理の3コース。しゃぶしゃぶは、胃腸の働きをアップさせる生薬を使った漢方スープに具材をくぐらせる。消化器がダメージを受けやすい梅雨の時期に、ぴったりのメニューだ。栄養素を豊富に含んだハナビラタケなどの希少なきのこのほか、地元の魚介や肉、野菜を楽しめる。

海辺のスパイスヴィラ coyamaris 薬膳しゃぶしゃぶ画像引用:海辺のスパイスヴィラ coyamaris

スパイスカレーのコースは、メインのチキンマサラカレーだけでなく前菜やカルパッチョもスパイスを活かした味わいだ。和洋創作コースのローストビーフには、漢方草で育てられた漢方和牛が使われている。漢方和牛の脂は低温で溶けるため、体内にとどまりにくいといわれているのだとか。

「泊まれるスパイス料理店」がキャッチフレーズのcoyamarisだが、「食べられる合宿」として宿泊でのスパイス薬膳マイスター養成講座も開催している。講座は、座学と実技の2タイプ。座学では東洋医学やスパイスの知識を学び、実技はスパイス配合・カレー作りなどの体験が可能だ。得た知識を普段の食事に活用できるのはもちろん、段階に応じて認定証も発行される。

coyamarisの4部屋は、すべてが畳のぬくもりを感じる和室だ。本州最西端からほど近い海辺のロケーションで、徒歩圏内にコンビニもスーパーもない。スパイス料理を食べた後は、波の音を子守歌にひたすら眠る――。帰る頃には、すっかりパワーチャージされていることだろう。

住所 山口県下関市豊浦町室津下352-3
HP https://coyamaris.jp/
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心身ともに疲弊しやすい梅雨どきを、英気を養う期間に変える

梅雨どきの不調には、「湿」を病の原因ととらえる漢方がきっと役に立つはずだ。それが旅であればより集中できるし、気分転換にもなる。心身ともに疲弊しやすいこの季節を、英気を養う期間に変えてみてはいかがだろうか。

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Hiroko ASATO

元保護猫と暮らすライター。好きな野球・サッカーチームの遠征についていって、その街を旅するのが楽しみ。最近は大河ドラマ関連の史跡めぐりと、気軽に行ける地元の銭湯サウナに夢中。