幼い頃、我が家にはゴールデンウイークに必ず箱根へ旅行するという習慣があった。
ロープウェイから見下ろす大涌谷のダイナミックな景観や、芦ノ湖のきらめきは今も忘れられない。帰りのロマンスカーで、車内販売にありがちなカチカチの硬いアイスを食べるのも心待ちにしていた。今でも箱根は好きな場所だし、「旅は人生を豊かにしてくれる」という思いもあの頃に培われたような気がする。
習いごと・旅などの経験の有無が、学力やキャリア形成に影響
翻って今、「体験格差」という社会課題がでてきている。体験格差とは、習いごと・旅行といった学校以外での体験機会に、子どもたちの間で差が生まれていることを指す。体験格差を生み出す大きな要因は、やはり貧困である。筆者の家庭も決して裕福ではなかったが、もはや低所得でもなんとか頑張れる時代ではない。貧困に加えてひとり親へのサポート不足、自治体サービスの低下などその背景は複雑だからだ。
「子どもの学力は世帯収入と相関関係がある」というお茶の水女子大学や国立教育政策研究所の研究(※)は、社会に衝撃を与えた。この場合の経済力は、塾通いや教材購入のような教育への直接的な投資にとどまらない。子どもに知的刺激を与える各種体験も、学力に関わっていることがわかっている。
また、大学入学試験では総合型選抜が増加しており、企業が求める人物像もコミュニケーション能力が第一になってきた。これらの選考で重視される「非認知能力」は体験活動で育まれるため、キャリア形成への影響も計り知れない。それはすなわち、大人になってからの経済格差にもつながっていく。
(※)参照:保護者に対する調査の結果と学力等との関係の 専門的な分析に関する調査研究|国立大学法人お茶の水女子大学
企業と大学によるNPO「子どもの体験格差解消プロジェクト」とは
では、体験格差はどうやって解消すればよいのだろうか。本来は行政中心で解決すべき課題ではあるが、今すぐにできることとして考えられるのが支援団体への寄付だ。いくつかのNPO法人が、寄付金をもとに学習支援やスポーツ観戦・コンサート鑑賞などの幅広い体験を子どもたちに提供している。リディラバ・アソビュー・花まる学習会・慶応義塾大学が連携して立ち上げた「子どもの体験格差解消プロジェクト」も、そのうちのひとつだ。
子どもの体験格差解消プロジェクトでは、当事者への調査・研究をベースに体験創出プログラムを作り出している。経済界や自治体とも共働し、過去には世界最大規模の国際芸術祭である「大地の芸術祭」での宿泊体験といったプログラムを開催してきた。今後は2025年3月末までに、のべ1000人の子どもへ体験機会を提供する予定だ。
団体への寄付は、自由な金額・回数で送金できる。銀行振込だけでなくクレジットカード・PayPay決済も受け付けていて、アソビューのポイントを使えるのも便利だ。
サマーキャンプへの招待を目指すクラウドファンディングがスタート
この夏、子どもの体験格差解消プロジェクトではクラウドファンディングを開始した。「READYFOR」にて団体の活動全般をサポートするもので、金額は5000円(別途システム利用料)から。オンライン活動報告会への参加など、リターンのあるコースも用意されている。
記事を読むだけで社会貢献ができる「Livhub」の取り組み
当メディア「Livhub」では、ユニークユーザーひとりにつき0.1円を寄付する取り組み「UU FUND(ユーファンド)」を実施している。UU FUNDは、読者が増えれば増えるほど環境・社会がよりよくなる仕組みを目指してスタートした。2023年、Livhubは本記事にて紹介した「子どもの体験格差解消プロジェクト」に寄付を行った。「良質な旅の機会をより多くの人に開き、旅を通して世界を明るい方に向かわせる」というLivhubの目指す未来に少しでも近づいていくことを願って。
この記事を読んでくださったあなたも、それだけで社会貢献に参加したことになる。感謝をお伝えするとともに、体験格差をはじめとする社会的な課題への理解を深める一助となれば幸いだ。
【参照サイト】子どもの体験格差解消プロジェクト
【参照サイト】人生に残る思い出を。体験格差解消で子どもたちが諦めなくてよい社会へ|READYFOR
【参照サイト】「子どもの体験格差解消プロジェクト」2024サマーキャンプ@越後湯沢に子どもたちを招待したい|アソビュー!
【関連ページ】小さな自分1人だけでも、世界を変えていこう。屋久島のリゾートが始めた学びの場「サステナブルカレッジ」
【関連ページ】子育て家族のための会員制二拠点生活サービス「Co-Sato」。行きつけの田舎を持つ暮らしとは?
Hiroko ASATO
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