チェンマイの隠れ宿、自然と調和した「Leafy Greens Chiangmai 」のマッシュルームハウスに泊まる

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タイ・チェンマイの市内からそう遠くない郊外に見つけた、一風変わった宿泊施設「Leafy Greens Chiangmain」。チェンマイのニマンヘミンにある高級感あふれる巨大ショッピングモールより、タクシーで10分もからない場所にありながら、まるで別世界へ足を踏み入れたような気分になる場所だ。

宿は「宿泊者が自然と調和した暮らしをおくれるように」と運営されており、マインドや魂をリフレッシュすることを目的に訪れる人が多いという。もともとは、家族や友人をもてなすために建てた施設を、今では広くAirbnbの予約プラットフォームを通して開放している。

今回はそんな「Leafy Greens Chiangmain(以下、Leafy Greens)」に宿泊し、ホストのNattanittさんとNantanutさんにも話を聞くことができた。

オーガニックな宿泊体験を

LeafyLeafy Greensは、今のところAirbnbでしか予約を受けつけていない、ごく限られた人しかたどり着けない穴場の宿。サイトの概要には、自然に配慮したオーガニックな運営をしていると記載されている。なによりマッシュルームハウスに宿泊できることに、好奇心がくすぐられた。

向かえてくれたホスト、NattanittさんとNantanutさんは実は二代目。親世代が建てたユニークな施設が、誰にも使われず放置されているのを見てもったいないと感じ、7年ほど前からゲストの受け入れをスタートしたという。二人とも本業は別にあるため、宿泊者が全員会えるわけではないが、筆者訪問時に迎えてくれたお二人はとても気さくで、話しているとこちらまで笑顔になるほど温かく、安心感を覚えた。

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Nattanittさん(左)とNantanutさん(右)

Leafy Greensは、「Lotus Dome(ロータスドーム)」と「Snail Dome(スネイルドーム)」という大きな2つのドームはじめ、今回滞在したマッシュルームハウス、2部屋がつながったピーナツハウス、キッチンやワークスペースと称したスペースなどで構成されている。

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手前はロータスドーム、奥にスネイルドームが

ガーデンにはオーガニックの菜園もあり、グアバやジャックフルーツなどいかにも南国、といったフルーツや野菜がすくすくと育っている。「あの木はゲストが植えていったものだよ」とNattanittさんは笑う。

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タイでよく見かける植物も多い

また「虫などもたくさん出る」と、チェックイン時にはあらかじめ注意書きが渡される。「虫も植物も人もすべてがなるべく自然な形で共存できるように」という方針のある施設なので、こうした案内も納得だ。蚊も多いが、敷地内にはいたるところで蝶が舞っていて美しい。

Nattanittさんは「もちろん蝶の幼虫も多いよ、それはそれは多いよ」とニコニコしている。人が美しいと思うものもそうでないものも、ここでは何のフィルターもなく、まっさらな目で見られるような気がする。

瞑想用に作られたドームから始まる

LeafyLeafy Greensは、敷地内にある「Lotus Dome(ロータスドーム)」から始まった。この建物は瞑想用に作られ、ヴィパッサナー瞑想などのコース用に使われていたそうだ。余計なものが削ぎ落とされたドームは、今ではどの宿泊客でも利用できるよう解放されている。

ロータスドームに靴を脱いで足を踏み入れると、クレイ(土)の触感が足に気持ちよく、空気もどこかひんやりとしている。そして天井が高いこともあいまって、とにかく空間が広く感じる。今は頻繁には使われていないため少し閑散とした感じもあるが、どこまでも静まり返っていて、目を閉じて深呼吸をするだけでも気持ちが落ち着いてくるような場所だった。

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丸みを帯びた可愛いフォルムのスネイルドーム

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あの人気アニメを彷彿させる世界観

また隣にはかつて瞑想コースの受講生用に建てられた「Snail Dome(スネイルドーム)」があり、今では大人数の宿泊に対応した部屋として機能している。たまたまここに滞在していた大家族に招待され、なかを見せてもらうことができたのだが、室内は吹き抜けの2階建てで小さな窓がたくさんあり、そこから差し込む光で室内はとても明るかった。

徳島県上勝町にインスピレーションを受けて

Leafy敷地内には共有のキッチンと、その横にごみの分別コーナーがある。ビンやアルミだけでなく、なんとコンポスト用のボックスも用意されており、食べた野菜のヘタや卵の殻などをそこに入れておくと、あとで敷地内のコンポストに移してくれる。

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共有のキッチンとごみ回収所

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ゲスト用の分別スペース

またキッチンの棟から、庭を挟んで向かい建つクレイの建物。こちらはリサイクルボックスらしく、キッチンで満タンになり次第こちらにまとめられる。「カミカツ(上勝町のこと)にインスピレーションを受けてね」と言われ、まさかここで日本の町の名前が出てくるとは思わず驚いた。
タイではごみの分別、リサイクルはまだそこまで一般的ではないので、日本のゼロウェイストタウン、徳島県上勝町にヒントを得ていると知り少し誇らしい。

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上勝町にインスピレーションを受けたというリサイクル所

タイではリサイクルできる素材は、回収されお金になる仕組みがある。Leafy Greensでもリサイクル業者に回収した資源を販売するのだという。「そのお金をコツコツ集めて、孤児院やお寺などそのときに必要な場所へ寄付するんだ」と教えてくれた。「僕たちの100バーツと、必要な人にとっての100バーツは価値がまったく違う。だから、できるだけ必要としている人たちに届けたい」。

資源の循環から、お金を作り寄付をする。それもLeafy Greensの循環の形のひとつなのだ。

マッシュルームハウスが集う一角

Leafyゲートを入り、右手すぐにある看板の案内に沿って、マッシュルームハウスが集うマッシュルームビレッジへ。まるで、おとぎ話の世界に紛れ込んだのかと思うほど現実離れした雰囲気があり、子どもに戻ったようにワクワクする。

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このサインを頼りに進もう

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今夜のお宿は「M5」

マッシュルームのなかはまるで秘密基地

Leafy扉を開けると、エントランススペース。シンク、冷蔵庫など、生活に必要なものがまとまっている。その奥に、クネクネした廊下が奥まで続いていて、入り口から奥までは見えない。ペインティングされたクレイの壁もまた、現実離れした雰囲気を醸し、まるで秘密基地のようだ。
奥に向かう途中にあるバスルーム。湯船はないものの、トイレとシャワーのあいだにクレイの壁で仕切られていて、落ち着いてシャワーが浴びられる。

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タイルが可愛いバスルーム

一階の突き当りがリビングになっていて、そのまま眠れそうな快適なソファが。小さいながらも窓があり、風と光を通してくれる。

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長く過ごすスペース

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スイッチを押す際、目に入るすずめのイラスト

階段を上って2階へあがると寝室がある。小さい窓はいくつかあるが、少し薄暗い。少し暑いがエアコンもしっかり効くので、快適な睡眠がとれる。

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落ち着いた雰囲気

夜と朝の異なる表情

Leafyひっそりと静まり返る夜、朝日がオーガニックガーデンを隅々まで照らす朝。Leafy Gardenで過ごす一日は刻々と表情を変える様子も楽しんで欲しい。

夜は市内から少し離れ、暗いからこそ星空が美しく見える。庭に出て空を見上げてみよう。また部屋のなかから突然鳴き声が聞こえ、見てみると可愛い訪問客が窓枠に乗っていたのは予期せぬサプライズだった。

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深夜の訪問者。いったいどこから入ってきたの?

朝は早く起きて、ロータスドームで瞑想に挑戦してみてはどうだろう。もちろんその後は、朝日に照らされて輝くガーデンの散策も忘れずに。

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朝の光はとてもパワフル

平飼い卵とオーガニックの野菜のおすそ分け

Leafy運がよければフリー(無料)の食材が手に入ることも。滞在した日には卵と野菜のおすそわけが冷蔵庫にあった。「自由に使ってね」と英語で表記がある。長期での滞在だと、キッチンを使って料理してみるのもいい。

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この日は卵と野菜が入っていた

施設に滞在しながら運営を手伝っているホストの親族と会うことができた。このおすそわけを持ってきてくれた張本人だ。「ランプーン県にオーガニックファームを持っていて、タイミングが合えばそこで採れた卵や野菜を持ってくるの!」。
まるで日本の田舎に来たような、初対面なのに垣根のないやり取りが心地よかった。

旅先の宿泊先は間違いなく、旅を左右するカギとなる。

今回、この宿に出合ったのはたまたまだった。数えきれないほどの宿泊施設があるチェンマイで、公式サイトもなく、ホテルの予約サイトにも登録されていないLeafy Greensにたどり着いた確率を想う。

こうした隠れ家的宿に泊まる時は、周辺の観光スポットを忙しなく回るよりも、じっくりと施設のなかで自分と向き合う時間をとるほうが、有意義な過ごし方だろうなと感じた。Leafy Greensに限らず、次の旅では自然のなかにある宿まで、自分のマインドや魂をリフレッシュしに出かけてみてはどうだろうか。

【公式Facebook】Leafy Greens
【Airbnb 予約ページ】チェンマイの緑豊かな緑:マッシュルームM5

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mia

旅するように暮らす自然派ライター|バックパックに暮らしの全てを詰め込み世界一周。4年に渡る旅の後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。移動の多い人生で、気付けばゆるめのミニマリストになっていました。ライターとして旅行誌や情報誌、WEBマガジンで執筆。経験をもとに、旅をちょっぴりエコにするヒントをお届けします。