東京の林業の魅力を体感する“多摩フォレストツーリズム”

多摩フォレストツーリズム

ニュースや情報番組に登場する東京の風景は、渋谷のスクランブル交差点や歌舞伎町といった煌びやかな場所が中心だ。しかし東京には、島もあれば村もある。筆者が暮らす多摩地区では、畑を目にする機会も多い。

菜の花に似たのらぼう菜は多摩地区が主な生産地で、春を告げる野菜として地元ではおなじみだ。多摩川沿いで広く栽培されている梨は、ぜひ直売所・農家の軒先でもぎたてを購入することをおすすめしたい。梨は鮮度が風味に大きく影響するため、産地直送のメリットを最大限に感じられるはずだ。

多摩地区は森林も豊かで、江戸時代から林業が営まれてきた。従事者数は減少しているものの、東京産の木材を「多摩産材」としてブランド化するなどの振興が図られている。そして2024年10月には、東京都の「あしたの東京プロジェクト」による林業の魅力を体験するツアーの開催も決定した。

都民が東京の魅力を体感!参加型イベント「あしたの東京プロジェクト」

あしたの東京

Image via あしたの東京プロジェクト

あしたの東京プロジェクトは、「都民に地元・東京のいいところを体感してもらう」を目的に始まった参加型のイベントだ。これまでに多摩・島しょ・区部の3エリアで開催され、東京の多彩な魅力を発信してきた。

第1回は、立川市で農業体験を楽しむ「多摩グリーンツーリズム」を実施。巨大なターミナル・立川駅の近隣にあるとはとても思えない農園では、収穫した野菜を使った料理もふるまわれた。第2回の「東京島ネイチャーツーリズム」では、伊豆諸島の神津島へ。星空保護区に認定された美しい夜空を観察したり、島のシンボル・天上山(てんじょうさん)をトレッキングする盛りだくさんの内容が好評を博した。第3回の「HAPPY NEW YEAR TOKYO」は、2023年の大みそかに都庁カウントダウンイベントを実施した。

10月に秋川渓谷一帯で林業ガイドツアーやワークショップを実施

今年度第1回目となる「多摩フォレストツーリズム」は、あきる野市の「秋川渓谷(あきがわけいこく)」一帯で開催される。秋川渓谷の最寄りとなるJR武蔵五日市駅までは、新宿から電車で約60分。アクセスしやすい立地でありながら、驚くほど緑にあふれたエリアだ。

akigawa

Image via あしたの東京プロジェクト

多摩フォレストツーリズムでは、林業ガイドツアーなどを通して林業や地域の魅力を体感することを目指している。温泉施設「瀬音の湯(せおとのゆ)」内の「石舟(いしぶね)ダイニング」では、地元食材を取り入れたランチを提供。瀬音の湯は、建築資材として多摩産材をふんだんに使用している点も見どころだ。

地元の材木店では、普段なかなか見られない貯木場や材木加工の作業を見学できる。ツアーの最後に、多摩産材ワークショップで思い出作りに励めるのもうれしい。

イベントへの参加費は無料。オリジナルマグボトルのプレゼントも

多摩フォレストツーリズムは、2024年10月5日(土)に開催される。都会より少し早く深まる多摩の秋を、存分に感じてみてほしい。30名程度の参加者(抽選)を特設サイトで募っており、2024年9月18日(水)までの申し込みが必要だ。参加費は無料で、オリジナルマグボトルのプレゼントもある。

林業ガイドツアーでは険しい山道を歩くため、手がふさがらないバッグやトレッキングシューズを用意するとよいだろう。傘の使用もできないので、レインコートなどの雨具を持参することが推奨されている。

東京を楽しみつつ、環境や一次産業について考えるきっかけに

多摩フォレストツーリズムは、都市と自然が近接した東京ならではの魅力を体験できるツアーだ。加えて、東京で環境や一次産業を守るという地域課題について知るきっかけにもなる。東京を楽しみ、東京を考えれば、よりこの地へ愛着も増すに違いない。「あしたの東京プロジェクト」では、今後もさまざまなイベントの開催を予定している。

【参照サイト】あしたの東京プロジェクト
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Hiroko ASATO

元保護猫と暮らすライター。好きな野球・サッカーチームの遠征についていって、その街を旅するのが楽しみ。最近は大河ドラマ関連の史跡めぐりと、気軽に行ける地元の銭湯サウナに夢中。