Airbnb Japanと長野県辰野町は9月16日、辰野町への関係人口の創出の推進、移住定住、企業誘致の促進などの目的で、パートナーシップを締結した。
今回のパートナーシップ締結には3つの目的がある。1点目は、 前述の辰野町の関係人口創出、移住定住促進及び企業誘致に関するプロジェクトの推進。2点目は、空き家・古民家等を有効活用することを通じた地域経済への貢献。3点目は、観光コンテンツのオンライン化と情報発信の強化である。
1点目に関しては、辰野町が行っている共創型ワーケーション「たつのWORKTRIP」と共同で、辰野町外の方に辰野町のAirbnbの宿に宿泊のうえ、仕事や学業や観光などをしてもらい、暮らすように旅する機会を提供する等の具体施策を行う。宿泊費等には一部補助金が支援される。
2点目については、辰野町内に宿泊施設を開業のうえ、Airbnbに登録し、暮らすように旅する機会を提供する事業を行う事業者を宿泊施設開業支援金を提供することで、予算の範囲内で支援する等の施策を行う。
また3点目は、辰野町とAirbnbが連携し、地域内の宿泊施設のオンライン化促進やホス
ティング開始前の個別相談会・勉強会の実施などを行う予定だ。
長野県辰野町は8年前から移住政策に取り組み始めた。政策に取り組む中で、「県外から人が来るのは、制度がいいからではなく、心と心の交流が現地で生まれた結果なのだ」ということに気づいたという。その気づきから無理に移住政策等を進めるのではなく、 1人1人に合った提案をするようになった辰野町は、結果として移住だけでなく多拠点生活先等としても近年注目されはじめ、地域に能動的に関わろうと、人が集まる地域になってきている。
そうした辰野町と「暮らすように旅する」といったコンセプトで、Live Anywhere(好きなところで暮らし、仕事をする)な新しいライフスタイルをサポートするAirbnbが相互連携を行うことで、これからの新しく多様なライフスタイルのあり方を提案すると共に、より魅力溢れるまちづくりが進められることが期待される。
本締結の記者発表の後半では、辰野町に関わる人々のトークセッションが行われた。その中で、辰野町で「古民家ゆいまーる」という宿のAirbnbホストをされている矢ヶ崎 浩一郎さんがこうお話されていた。
「Airbnbのゲストの方々は、観光ではなく『人と出会う』ことを目的に来られる方がとても多いなと思います。実際にですね、私どものところに、ふらっと旅をしにきたお客さんに、地域の人をつないだら、そのつないだ人に会いに再び辰野町を訪ねてきて、足繁く辰野町に通うようになって。結果、その方達は、空き家バンクを使って移住を決め、ここで暮らし始めて、古着屋やパン屋、オーガニックカフェをはじめたんですね。これってとても面白いなあという風に思っています。」
訪れた宿泊先が地域との関わりを持ちにくいホテルであったならば、こういったことはおそらく起きなかっただろう。Airbnbのホストという存在は、訪れる人と地域を結ぶ架け橋となり、地域内外の境目をゆるやかにしながら、地域にとっても自分らしい生き方を探っている人々にとっても非常に重要な存在となっていることを改めて実感した。今回の提携を機に、今後辰野町でどういった関わりが生まれてくるのか、楽しみである。
【参照サイト】Airbnb
【参照サイト】長野県辰野町
【参照サイト】たつのWORKTRIP
【参照サイト】古民家ゆいまーる
飯塚彩子
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