一般社団法人新経済連盟は12月3日、「観光立国復活へ向けた緊急提言」を国土交通省と観光庁に提出した。
現在、観光業は厳しい状況だ。2019年には3,188万人の外国人観光客が来日するなど、日本は観光立国の地位を確立しつつあった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外国人観光客は9割減、日本人観光客は7割減に陥った。そのため、早急にアフターコロナを見据え、ニューノーマル時代の観光モデルを確立する必要がある。
そうしたなか提言された内容は、国内観光産業の復活、地方創生の加速、そして将来的なインバウンド回復に向けた環境整備を推進するといった観点によるものだ。
まず第一に「旅行需要の平準化」。主に、平日の需要や長期滞在によるワーケーションの推進、小中学校の休日分散化や遠隔授業の推進、GO TOキャンペーンの期間延長と平日利用の促進を掲げた。旅行は土日や祝日に集中しがちだが、ワーケーションを推進することで、平日利用が増え、これまで行けなかったような離島や僻地の活性化にもつながる。
次に「感染フリーな受け入れ体制の整備」。具体的には、対面接客店舗における感染対策設備導入支援や ホテルフロントにおける非対面チェックインの徹底、キャッシュレス決済の普及促進、車両移動の増加への対応と渋滞緩和などだ。
ほかにも、ソーシャルディスタンスを確保するために、施設の改修や改築にあたり、建築基準法を規制緩和すること、公共交通機関の混雑状況の把握や公共交通機関が不便な地域での移動に便利な「MaaS」の利用促進などの策がある。いずれも人の流れが分散化され、旅行や地方移住を加速させる動きにつながる。
そして、将来的な策として掲げる「インバウンド回復に向けた環境整備」。主に、空港の受け入れ体制整備支援、空港事業者の競争力強化支援、医療機関のサポート強化、観光施設における多言語環境の整備が挙げられる。また、外国人観光客に需要のあるeスポーツやヘリコプター、食を通じたコンテンツを充実させる策も提言された。
いかに感染を抑えつつ日本人の国内旅行、外国人観光客の受け入れをするかが肝要となる。日本は、2020年8月に実施した日本政策投資銀行「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」において、コロナ終息後に旅行したい国ランキングで、アジア居住者で1位、欧米豪居住者でも2位という結果が出ている。また、日本人の衛生面における配慮や清潔さには高い評価があり、ウイルス対策全般に対する外国人からの期待も高い。
このようにGO TOキャンペーンなどの需要喚起と感染対策を並行し、世界に先駆けて観光産業の復活を狙う方針を掲げた。
【ウェブページ】観光立国復活へ向けた緊急提言
(Livhubニュース編集部)

明田川蘭

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