服を旅先で借りれば、荷物と同時に飛行機のCO2も減らせる。衣類レンタルサービス「NINJA KOTAN(ニンジャコタン)」

重い荷物を抱えるように旅に出ることは当たり前のように思っていた。
もっと身軽に、環境にも優しく旅をしたい。

株式会社EDO KAGURAは、「気候変動イニシアティブ」に参加。同社が運用する衣類レンタルサービス「NINJA KOTAN(ニンジャコタン)」が「地産地消」に続く新概念「地貸地借」により、飛行機のCO2排出量削減に貢献できると判断されたからだ。

NINJA KOTANは飛行機に搭載する受託手荷物を減少させることで、旅行者のカーボンフットプリントを約20%削減することを見込んでいる。また、旅行者が身軽になることで公共交通機関を利用した地方への観光誘致への貢献も期待できる。新たな旅のスタイルの1つとして選択したいサービスだ。

飛行機の環境への影響

旅の移動手段の1つである飛行機は便利ではあるが、環境への影響も一部懸念されている。旅が環境へ与える影響について理解をすることで、旅のスタイルも変化するだろう。

気候変動イニシアティブ

「気候変動イニシアティブ」は脱炭素社会の実現に向け、多様な組織が一堂に会するネットワーク。事務局はCDPジャパン、WWFジャパン、自然エネルギー財団の3組織が中心となって運営されており、CDPは、グローバルな環境課題への取り組みをリードする英国の非政府組織だ。

2023年9月1日現在で、参加団体は総数784団体。その中には大手企業や自治体、研究機関などが含まれており、設立間もない株式会社EDO KAGURAもその一員となっている。

「気候変動イニシアティブ」の主要な目標は、「2050年までの実質的な排出ゼロ」を達成し、「1.5℃目標」の実現に向けた活動を加速することだ。この1.5℃目標は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設定した気温上昇の上限値で、その実現が地球規模での課題となっている。

飛行機の二酸化炭素排出量

旅行業は飛行機のCO2排出量が世界全体の2.0%(9.14億トン、ICAOデータ)に及ぶなど排出量が多い業界の1つになっている。2022年10月に、国際民間航空機関(ICAO)は航空機のCO2排出量を2050年に実質ゼロとする目標を決定。

このため、植物や廃油を原料にした燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」への転換が求められている。しかし、世界のSAF生産量は2020年で年間10万トン程度と年間燃料消費量のわずか0.03%しかなく、日本の航空産業も2030年に航空燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標に留まっている。もちろん、2050年にはSAF生産量は4.45億トンと航空燃料使用量の90%を置き換えることを Air Transport Action Group (ATAG)は目標としており、今後の低コスト化技術の開発が必要だ。なお、ATAGでは今後30年間のSAF開発への投資は最大1.45兆ドルが必要としている。

受託手荷物による二酸化炭素排出量

国土交通省(IATAのデータを使用)によると2019年の世界の航空旅客輸送距離(有償旅客キロ)は8兆6,800億km。従って、全ての旅客が受託手荷物20kgを飛行機に搭載していたとすると、1億451万トンが受託手荷物によるCO2排出量ということになる。これは2019年の世界の温室効果ガス排出量(CO2換算)463億トンに対して0.23%。この排出量はイスラエル(87.1百万トン)、ニュージーランド(83.2百万トン)など世界144カ国の排出量より多い水準だ。

航空業界だけでなく、他のCO2削減策と比較しても受託手荷物の削減による効果は最大級となる(※)。先ほど計算した受託手荷物によるCO2排出量(世界1億451万トン、日本の国際線288万トン)を乗客数(世界45億43百万人、日本の国際線5,196万人)で割るとフライト1人当たりの削減効果は55.4kg、世界全体では23.0kgとなる。この数値は環境省発表の太陽光パネルの設置(3.5kg)、電気自動車利用(1.3kg)など多くのCO2削減策を上回る効果だ。

※預入手荷物(20kg)の二酸化炭素排出量はECTA(The European Clean Trucking Alliance)の「Guidelines for Measuring and Managing CO2 Emission from Freight Transport Operations 」に記載されているデータを使用し計算。計算に使用した飛行機による貨物輸送量(トンキロ)あたり二酸化炭素排出原単位は0.602kgCO2/tkm。また、ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」、国土交通省環境政策課、環境省「ゼロカーボンアクション30」のデータも当プレスリリースで使用したCO2排出量につき、参考とした。

衣類レンタルサービス「NINJA KOTAN」

NINJA KOTANは、旅行者が荷物と言語の壁から解放されることで、バリアフリーとサステナブルな旅行スタイルを実現するサービス。荷物や情報に対する旅行者の不満を解消することはユニバーサルツーリズムや、旅行者層の広がりに繋がる。

NINJA KOTANサービスの使い方

NINJA KOTANの使い方は、旅行前にオンラインサイト「NINJA KOTAN」で、必要な衣服をレンタル注文。チェックイン時には衣服が宿泊施設に届いており、滞在中に利用できる。そして衣服をチェックアウト時に宿泊施設で返却するだけだ。

大きな荷物から開放されることで、空港でのターンテーブルにおける待ち時間短縮やエレベーターを探す必要がなくなることから、乗り換えが簡単になるなど公共交通機関を利用しやすくなるなど身軽で自由な旅行を楽しむことが可能だ。

食の「地産地消」のように、食材がその地域で生産・消費されることで環境への負荷を減少させる考え方がある。それを旅行業界にも応用し、旅行先で必要なアイテムをその場でレンタルする「地貸地借」の考え方をNINJA KOTANサービス通して実現させる。これにより、旅行者は不要な荷物を持ち歩かなくて済み、サステナブルツーリズムが可能となるだろう。

将来の展開

今後、年間3,500人の利用を目指し、サービス拡大を進めていく予定だ。また、平行して、シナジーを期待できる周辺サービスを企画、開発、リリースしていくことを検討中。現在、北海道、鹿児島県の大手ホテルでも導入を検討しており、複数の自治体や大学との連携を通じて地方観光の活性化・カーボンニュートラルへの取り組みに貢献していきたいと考えている。

重いスーツケースの存在により、旅行に行きたくても旅行を諦めていた方々の解消や、旅行業が環境へ与える負荷の解消にもつながる。便利で環境にも優しいサービスをぜひ多くの方に利用していただきたい。

【参照サイト】株式会社EDO KAGURA 公式サイト
【参照サイト】NINJA KOTAN 公式サイト
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