雲の上を泳ぐ。水の中を漂う。多様な植物に包まれる。光、⾵、⽔、土、草木といった自然の要素を、建築とテクノロジーの両面から拡張することで、自然環境へより深く没入することができるアートヴィラ「ONEBIENT神通狭(ワンビエント じんずうきょう)」が2022年秋、富山県富山市にオープンする。
設計は建築家の浜田晶則と、アーティストの穴井佑樹が共同で担当。建築とアートと自然が融合した、没入感のある空間を、富山を皮切りに滋賀など日本各地に展開していく。第一弾となる「ONEBIENT神通狭」では、富山県の環境特性である、多湿・本州一の多様な植生・名水に着目し、それぞれの自然現象を3棟のアートヴィラで表現する。
建物内のエネルギーは、太陽光発電や薪ボイラーを活用することで、電力供給に頼らない完全オフグリッドを目指し、環境負荷の低減を試みる。また、施設運営の自動化を可能にする独自の統合制御システムや、その場に溶け込み人が無意識的に活用することができるカームテクノロジーによる無人サービスを導入することで、非接触対応といった安心・安全性への配慮と運営の省人化なども試みていく予定だ。
・雲庭 -kumoniwa-
霧を人工的に発生させるシステムを用い、空間一体がまるで “雲海”に包まれる幻想的な客室。風や雨を受けて”雲”が揺らぐことで、自然の移ろいが空間の表情を変える。感覚が浮遊するように感じ、雲の上を泳ぐような体験ができる。
・宿森 -yadomori-
多様な植物の生態系に包まれる、温室のような客室。ETFE膜(高性能フッ素樹脂フィルム)を建築全体の壁面に採用した国内初の宿泊施設。通風・空調や採光をテクノロジーで自動制御することで、内部の環境や生態系を安定させる。野性的な自然環境と快適な室内環境を両立した、グランピングとは異なる新しい宿泊体験を味わえる。
・川吟 -kawautai-
空間一体が岩で覆われた客室。室内では、川の波紋が絶えず揺らぎ、ほのかな光が差す川底で過ごしているような感覚になる。人の出入りを認識し、エントランスでは水の雫が静かに光り、水と共に過ごす時間が流れる。
自然を楽しむだけでなく、自然に溶け込むような体験ができる「ONEBIENT神通狭」。一般的なアウトドアとはまた違った環境で、自然との共生を考える、有意義な時間を過ごすことが出来そうだ。
【参照サイト】ONEBIENT公式サイト
高橋 真理
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