「泊まれる文化財を訪れ、日本文化を継承しよう」伝統旅館を描く吉宮晴紀さんのスケッチで ”ときを感じる” 日本のお宿を知る

誰かが話し始めた、旅先での何気ないエピソード。以前に同じ場所を訪れたはずなのに、人から話を聞くとまったく違う印象だった経験はないだろうか?

「あの商店街にそんな定食屋あったんだ…」「あの山、そんな絶景ルートあった?」「あの旅館ってそんな長い歴史ある建物だったの?!」

旅には訪れた人の数だけ違う形があり、その人なりの旅の視点=「旅のメガネ」がある。

今回は、写真や文章だけでは伝わりにくい建築の魅力を多角的に伝えるため、日本全国の伝統建築の断面パースを描き始め、2024年5月に数年に渡って書き溜めた伝統旅館の断面スケッチを35軒分掲載した『ときを感じる お宿図鑑』を出版した吉宮晴紀さんから、おすすめの伝統建築の宿を3つ紹介していただいた。

この記事を通して、旅をしながら空間を描く吉宮さんの「旅のメガネ」をほんの少しの間だけお借りして、日本を代表する3軒の伝統建築旅館の魅力を、本人のコメントと共にのぞいてみよう。

○プロフィール: 吉宮 晴紀(よしみやはるき)

ときやどデータベース共同運営者、企画者。平成11年神戸生まれ、小田原育ち。小さなころから日本中を旅行し、これまで400泊以上を宿で過ごしてきた。両親の影響で伝統建築に興味を持ち、特にじっくりと観察ができる宿泊施設に強い興味を持つ。

自ら宿泊して周る傍ら、数年間描き続けている旅館のスケッチが注目を集め、2024年5月に学芸出版社より、独特の視点で描かれたスケッチで宿建築の価値を再発見するガイドブック『ときを感じる お宿図鑑』を出版。Twitterアカウント「建築学生の呟き」にて発信を続けている。

1. 東京ステーションホテル(東京都千代田区)

大正時代から日本の中心駅として愛され続けてきた赤レンガの駅舎。

これまで震災や戦禍の影響を受けてきたが、平成の大改修で外観は復元され、内装はピカピカに生まれ変わった。

昔と変わらぬデザインの外観に、レトロさを兼ね備えた最新設備。これこそ、まさに「新しいクラシックホテル」と言える素晴らしいホテル。
丸の内側の二つのドームは、改札口や通路、ホテル客室が立体的に組み合わさっている様子が他の宿にはない特徴。

線路と数メートルしか離れていないにもかかわらず館内が静かであることを表現しようと、中央線のホームまで含めた。電車も断面にしてみたのは、イチオシ箇所。

住所 東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号 03-5220-1111
HP https://www.tokyostationhotel.jp/
各種予約サイト

※下記リンク経由で予約した場合、当メディアに紹介手数料が入ります。予約者の方に追加の費用負担は発生致しません。本手数料は、社会を良くするメディア運営を持続的に行うための資金として大切に活用させていただきます。

じゃらん
2. 環翠楼(神奈川県足柄下郡箱根町)

国民的温泉地、箱根の塔ノ沢にある木造建築の旅館。

最上階に3つの大広間を備えた木造3,4階建ての高層建築は、いたるところに高級な木材が使用され、素晴らしい木工技術で仕上げられている。
早川に面した客室はそれぞれ全く異なる意匠で仕上げられており、当時の遊び心が感じ取れる。
全国に多数ある木造建築の旅館のなかでも、断面、平面方向ともにここまで規模の大きな木造建築はとても珍しい。

実は一階廊下だけちょっと狭いことに現地では気づかず、あとから修正したポイント。断面方向の情報は難しい。

住所 神奈川県足柄下郡箱根町塔之沢88
電話番号 0460-85-5511
HP https://www.kansuiro.co.jp/
各種予約サイト

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じゃらん
3. 橋本の香(京都府八幡市)

大阪府と京都府の境目、3つの河川が合流する地点にあった遊郭。

負の記憶として抹消されがちな遊郭だが、ここ橋本にはいくつかの妓楼建築が残されている。
もともと数少ない、泊まれる妓楼建築。さらにその数を減らしている近頃にあって、こちらは最近になって開業した新しい宿。
オーナーは私財をなげうって数軒を取得し、たいへんな努力によって建物が維持されている。
見学も可能だが、せっかくなら宿泊して夜の雰囲気まで楽しみたいところだ。

数か所に入っているステンドグラスは白黒では表せず、着彩の効果がもっとも現れたスケッチ。

住所 京都府八幡市橋本小金川
電話番号 090-8375-8761
公式Instagram https://www.instagram.com/hashimotonokaori/?hl=ja
著書「ときを感じる お宿図鑑」出版にあたっての吉宮さんの想い

先人が築き上げてきた様々な文化や知恵と、一晩という長い時間接することのできる「泊まれる文化財」。文化や歴史をとても身近に感じ取れる場所として、今後も永く受け継がれるべき貴重な財産です。

もっと泊まれる文化財の世界に価値を感じ、魅力を感じて、実際に訪れる人が増えてほしい。そして、自分なりの楽しみ方を見つけてほしい。

そう願って、これまで全国100軒を取材してきた中から35軒を厳選し、ご紹介します。ぜひこの本を片手に、泊まれる文化財を訪れてみてください。一緒に日本文化を継承し、豊かな将来を形作りませんか?

・吉宮さんの著書『ときを感じる お宿図鑑』の購入はこちらから

【参照サイト】ときやど | ときを感じるやどに泊まろう
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