「インドに行って本格的なヨガ修行をしたい!」
ヨガやインドに多少興味がある人なら一度はそう考えたことがあるかもしれない。
私もコロナ禍でYoutubeを観ながらヨガを始め、コロナが明けて世界一周旅に出ると決めた時にその考えを持った。そして数ヶ月前、実際に行くことができたのだ。インドに。
ヨガの聖地「リシュケシュ」
インドでヨガ修行をするなら「リシュケシュ」は外せない。
リシュケシュはデリーから北東に車で6時間ほど、ガンジス川の上流にある街だ。ヒマラヤ山脈の麓にあるこの街は、ヒンドゥー教の聖地としても知られている。ここには無数のヨガ道場(アシュラム)が存在し、毎日いたるところでヨガクラスが開催されている。ヨガ修行ができる環境を求めて、世界中から様々な人がこの地を訪れている。
どっぷり浸かるスタイルか、つまみ食いするスタイルか
リシュケシュでヨガ修行をするには、大きく分けて2つの選択肢がある。
1. 一つのアシュラムに泊まり込みで修行をする
2. ホテルに泊まり、複数のアシュラムのヨガクラスに通う
1の場合、食事や朝晩の瞑想などもアシュラムで体験できるので、ヨガ生活にどっぷり浸かりたい人にはおすすめだ。ただ、ヨガのスタイルや講師の質はアシュラムによっても様々なので、「あらかじめ滞在を申し込んでいたが、実際にクラスを受けてみたら自分には合っていなかった」ということも起こりうる。
2の場合は、様々なヨガクラスをつまみ食いのように体験しながら、自分に合った講師を探すことができる。宿泊先や食事場所は自分で決める必要があるが、リシュケシュにはホステルやレストランも無数にあるので困ることはないはずだ。ちなみに、ほとんどのレストランはベジタリアンフードのみを提供している。
リシュケシュ初心者の私は2の選択肢を取った。「タポバンエリア」と呼ばれる少し奥地の穏やかな地域に宿をとり、毎日様々なアシュラムのクラスに参加した。現地の人いわく、タポバンエリアはリシュケシュの中では比較的雰囲気が落ち着いていて、滞在におすすめのエリアだそうだ。
ヨガの種類もさまざま
「ヨガ」と一口に言っても、世界には様々な種類のヨガが存在する。リシュケシュでよく見かける最も基本的な2種類のヨガは以下の2つだ。
アシュタンガヨガ(Ashtanga yoga)
アシュタンガヨガは、古くから伝わるヨガの経典「ヨーガ・スートラ」の中でも言及されるほど歴史のある流派だ。アシュタンガヨガでは、全てのポーズの順番があらかじめ決められている。最初は太陽礼拝、次に立位のポーズ、そして座位のポーズ、逆転のポーズ、フィニッシングなど…教科書のように全てが定められており、それを真似していくのがアシュタンガヨガの特徴だ。
ハタヨガ(Hatha Yoga)
ポーズの順番が全て定められているアシュタンガヨガに対し、ハタヨガでは決められたポーズの順番は存在しない。ポーズそのものを重視し、正しい姿勢をとりながらゆっくりと動きを進めていくのがハタヨガの特徴だ。ポーズを取っては停止して深く呼吸をする…という流れをひたすら繰り返す。
Photo by Sumit Bisht on Unsplash
ヨガ体験1. アシュタンガヨガ
まず初めに参加してみたのはヨガの基本であるアシュタンガヨガのクラス。インド人の知り合いにおすすめされたアシュラムに行ってみることに決めた。
開始時間10分前に到着。広めの会議室ほどのホールには、既に数人の受講者たちがいた。無料貸し出しのヨガマットやクッションを準備して先生を待つ。
時間ちょうどになるとインド人の先生が入室し、クラスが始まった。
先生を見ながら身体を動かし、基本のフローを覚えていく。
「息を吸いながら膝を曲げて手を伸ばし、息を吐きながら地面に手をつけ、脚全体を後ろに引き下げます。次に…」
動きを見ながら真似をして、耳で呼吸のタイミングを聞きながら合わせていく。
あれ、今って息を吸うんだっけ。あれ、さっきまでうつ伏せだったのにみんなもう身体を起こしているぞ。やばい、息を止めてしまってた…。なんだこれ、めちゃくちゃ忙しいぞ…。
動きだけでなく呼吸をするタイミングも決められているので、最初は合わせるのがとても大変だ。でも、何度も同じフローを繰り返すうちに身体が覚えてくる。
「ではその姿勢で呼吸を10回繰り返しましょう。はい、1、2…」
決められたポーズで静止しながら呼吸を繰り返す。これ、日本のヨガの広告で見たことあるポーズだ。何てことない姿勢に見えていたけど、実際に静止してみると結構辛い…腹筋がプルプルして限界だ…このフローをあと5セットもやるのか…。
最初は簡単な動きばかりだったが、回数を重ねるにつれて難しい動きも増えてくる。身体を浮かせてみたり、逆立ちのような姿勢で静止したり。
周りを見ていると、レッスンに通い続けていそうな経験者たちは少しずつ難しいポーズも自分のものにしているようだった。
レッスンの最後には軽く瞑想をして終了。淡白で無駄がなく、でも必要な指導は網羅したレッスンだった。身体の動きは少しキツめ。ワークアウトに近い、筋力や体力をしっかり使うヨガを求めている人にはおすすめできそうだ。私もヨガらしい難しそうなポーズ、できるようになりたいな。
ヨガ体験2. ハタヨガ
同じアシュラムで次はハタヨガに挑戦することに。受講者の数はアシュタンガヨガのクラスよりは少し少なめ。アシュタンガヨガと同じ講師が教室に入ってきて、クラスが開始。
アシュタンガヨガが流れに重きを置くのに対して、ハタヨガでは「ポーズ」が重視される。
「はい、腕を伸ばして同じポーズを取って…このまま10回呼吸をしていきましょう。1、2…」
ポーズ自体はアシュタンガヨガでやったものと同じ。ただ、なかなかキツいポーズのまま何度も静止を繰り返すので、だいぶ辛い。
脇腹と腹筋がプルプルしている…あぁまだあと5回も呼吸をしなきゃいけない…もう筋肉が限界だ…!
「では次は、今教えたポーズを自由に組み合わせて3セットのフローを実践してください」
流れの型がないから、自分で好きに組み合わせてポーズを取って良いのか。アシュタンガヨガと違って、先生の動きに躍起になってついていかなくても良いのはありがたいポイントだ。
でも、なんと言っても身体が辛い!1回のレッスンを受けただけで次の日は全身が筋肉痛になっていた。
ヨガ体験3. エアリアルヨガ
他のアシュラムで出会った仲間におすすめのヨガクラスを尋ねると、複数人が「エアリアルヨガ」を勧めてくれた。どうやらハンモックのような道具を使って、空中に浮きながら行うヨガらしい。体験クラスに挑戦してみることにした。
「ようこそエアリアルヨガクラスへ!ところで君たち、ご飯は食べた?」
クラスの前に。講師の先生から突然質問された。
「えっと…実は遅めの昼食で15分前にパンをいくらか食べました…」
「15分前だって!?それじゃあ食べたものを戻さないように、十分気をつけてね!」
吐かないように気をつけるって、一体何を気をつければいいんだ…。始まる前から緊張が走る。
いざクラスを始めてみると…これもまた思ったよりもキツい!
主に足の平や足首を使って宙に浮く身体を支えるのだが、これが慣れないとかなり痛い。地上でヨガをする時よりも体幹をかなり使う。
「じゃあ手を離してぶら下がってみよう!」
講師の先生は初心者に気を遣ってくれているのか、少々トリッキーなポーズをたくさん勧めてくれる。しかし、連日の修行続きで筋肉痛に苦しむ身体にはだいぶ辛いレッスンだった。
エアリアルヨガは、身体を支えるためのハンモックのような布が丈夫に設置されている場所でないと体験できない。
他のヨガとは違い、Youtubeやオンラインレッスンで家で気軽にできるものではないからこそ、興味がある人はぜひリシュケシュで体験してみることをおすすめする。
以上が私がヨガの聖地「リシュケシュ」で体験したヨガクラスの内容だ。
ヨガ初心者であっても、プロ講師を目指すベテランの人であっても受け入れてくれるのがリシュケシュの魅力。
また、リシュケシュではただのワークアウトとしてのヨガではなく、瞑想なども含めた伝統的で体系的なヨガが学べる。Youtubeではなかなか味わうことのできない経験だ。
1度リシュケシュを旅した私でも、また必ず戻って来たいと思える居心地の良い場所だった。
インド行きを検討している皆さんはぜひリシュケシュをリストに入れてみてほしいと思う。
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本記事ライターは、世界中のローカルなヒトと体験に浸る世界一周旅中。
パートナーと運営するYoutubeアカウントも是非。
>>プラネットピーポージャーニー🌍世界一周ローカル体験&人間観察の旅
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Ray
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