生きることは、食べること。
食べることは、生きること。
現代社会において、「命の尊さ」を学ぶ機会はなかなか少なく、普段何気なく口にしている肉や魚に命があることを日常的に考えている人は、果たしてどれくらいいるのだろうか。「スーパーで売られている切り身がそのまま川を泳いでいる」と思っている子どもさえ、いるらしい。
狼信仰が古くから根づく奥秩父山塊。その中心にある関東で最も人口が少ない村、丹波山村(たばやまむら)では、今でも狩猟が盛んに行われている。
雲取山・飛龍山・大菩薩嶺など2000mを超える山々に囲まれた深い森と、多摩川源流の清らかな水が流れ、そこで生息する鹿や猪、熊などを捕獲する。そして、美味しく食べるために解体し調理。獲った獲物に敬意を払い、余すことなくいただく。
また、狩猟の村・丹波山村の猟師は、動植物が絶えないよう、常に森の環境を整え人が豊かに暮らせるよう日々行動しているという。
そんな丹波山村にある「狩猟学校」では、この「獲る、食べる、作る(創る)、育てる」という丹波山村猟師の日常を学び、体験できる。カットされた肉や魚が、もともと生きた動物であったという「命の尊さ」を感じ、食と命の結びつきを、野生鳥獣の食肉加工処理を通して知ってもらいたいと開設された。
狩猟学校を運営する株式会社アットホームサポーターズは、害獣である鹿の利活用を進めており、屠畜処理とは違い、捕獲、解体、精肉、販売までの工程を自社内で全て行っている。そのため、「食」と「命」の結びつきを感じやすい環境にある。
狩猟学校ではこの春、企業や団体向けに狩猟で獲た動物が肉となる工程を知り、その肉を美味しく食べることで、食と命の尊さを学ぶ、狩猟食育講座「HUNT EAT」を開催する。
HUNT EATでは、丹波山村の大自然の中に生まれた文化、そして山間地域における自然環境とその問題を知り、その自然の中で育った野生鳥獣を実際に解体し、それを食す工程をしることで「食」と「命」の結びつきを体感できるプログラムだ。
【プログラムの流れ】
9:30~ ジビエ処理場見学
・丹波山村ジビエ肉処理加工施設(タバジビエ)の紹介
10:00~ 罠猟とジビエ
・罠猟法について
・ジビエのための罠猟とは
・止め刺しの重要性と放血
10:30~ 野生鳥獣の解体・精肉作業
12:30~ 昼食
・ジビエを使った料理の提供
・シェフによるジビエ料理の解説
13:30~ ジビエを取り巻く自然環境について
・野生鳥獣被害による森林環境の現状
14:30~ 丹波山村の文化について
・丹波山村の狩猟について
・地域信仰について
15:00~ 質疑応答
15:30 解散
自然が取り巻く環境を知り、森林環境の現状を知り、実際に獲物を捕獲しいただく。命は尊いものであり、敬意を払い食すことで、自分たちは生かされている。
「狩猟学校」では、小中学生に対しての食育の講座、企業におけるSDGs研修プログラム、過疎地における地方創生活動事例の紹介など、様々なニーズに応じたプログラムを実施することができる。
ぜひ、食べることの意味や、命の尊さを学ぶ機会をつくってみてはいかがだろう。
【参照サイト】丹波山村 狩猟学校
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明田川蘭
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