サステナブルな宿が探せる宿泊予約サイトBooking.comに聞いた、環境負荷の低い旅を広める方法

「次の旅では、サステナブルな宿に泊まりたい」

そう思い、検索画面を開いて「サステナブル 宿」と入力したものの、選択肢が少なかったり、取り組みの全体像が見えなかったりして、なかなか「ここ!」と思う宿を見つけられなかったという経験はないだろうか?

「サステナブル」という言葉の多義性と曖昧さも相まって、宿を提供する側は取り組みを進めるのが難しくなり、泊まる側も適切な宿に出会うことそして、「ここ!」と明瞭に判断することの難しさを感じるといったことが起きているのかもしれない。

サステナブルな宿とは?サステナブルな旅とは?という根本的な問いは持ち続けながらも、サステナビリティの領域の中でも特に現在は、少しでも環境負荷を抑えて滞在できる施設に泊まれたらと思う人も少なくないだろう。

そんな人たちに覗いてみて欲しいのが、宿泊予約サイト「Booking.com」。

booking.brand

Booking.comではサステナブルな取り組みをしている宿をフィルターをかけて検索し、予約できる仕組みを2021年末から導入している。

現在OTAと呼ばれるインターネットのみで取引が完結する旅行会社で、プラットフォームを日本で提供する大手において、この検索の仕組みを導入しているのは、Booking.com以外にはない。

今回は、そんなBooking.comでのサステナブルな宿の検索方法をはじめ、1996年にオランダのアムステルダムで設立された世界最大手の宿泊予約サイトである彼らがサステナブルな旅を広めていくために行っている取り組みなどについて、ブッキング・ドットコム・ジャパンのエリアマネージャー 高木浩子さんにお話を伺った。

話者プロフィール: 高木浩子さん

高木浩子さま日本全国の宿泊施設パートナーの新規開拓および販売戦略に従事。2011年に東京のアカウントマネージャーとしてブッキング・ドットコムに入社し、主に中部・甲信越地域の担当営業として、パートナーの新規開拓およびインバウンドビジネスの販売促進に貢献。2012年より拠点を大阪へ移し、関西地方の担当営業となる。現在は日本のシニアリーダーの一員として、日本でのビジネスをけん引している。

目次

Booking.comでのサステナブルな宿の探し方

まず具体的な話の内容にいく前に、Booking.comでのサステナブルな宿の探し方について共有する。

<Step.1>
Booking.com予約サイトで、目的地、日付、宿泊人数を選択して検索
booking予約画面

<Step.2>
検索結果画面の左側に表示のある「絞り込み検索」にて『「サステナブル・トラベル」プログラム登録施設』の項目にチェックをつけると、目的地にある『「サステナブル・トラベル」プログラム登録施設』が表示される
booking予約サイト、サステナブル

<Step.3>
好みの施設を選択し、空室状況下部までスクロールすると『「サステナブル・トラベル」プログラムの宿泊施設』といった項目がでてくるので、項目の右部分にある「詳しく見る」をクリックする
booking予約サステナブル

<Step.4>
施設のサステナビリティに関する詳細な取り組み内容が確認できる(画像は、京都府河原町にあるGOOD NATURE HOTEL KYOTOのもの)
サステナブルな項目

ここまでが大まかな流れ。
もう少し情報が欲しいという人は、施設の口コミでの検索も試してみてほしい。こちらも方法を記載する。

<Step.1>
好みの施設ページにて「宿泊者の体験談」というタブをクリック

<Step.2>
絞り込み検索の「キーワードを選んでクチコミを検索」という箇所に、サステナブル、環境、プラスチックなど特定のキーワードを入れて検索
クチコミ確認方法

<Step.3>
指定したキーワードに関連するクチコミで施設の実際の取り組み状況を確認
サステナビリティクチコミ

将来的には現状準備されている、ロケーション、部屋といったクチコミ検索のカテゴリの部分に「サステナビリティ」カテゴリの設置も検討されていると高木さんが教えてくださった。そちらの実装も楽しみに待ちたい。

サステナブルな宿の選択肢を増やすために

それではここから、Booking.comがサステナブルな旅を広めていくために行っている取り組みや、高木さんの考えるサステナブルな旅について、お話を伺っていこう。

「Booking.comは『To make it easier for everyone to experience the world – すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を』をミッションに掲げている会社です。そのなかでも『サステナビリティ』はミッションの中心となる重要な要素の一つだと考えています。そのため現在、今年は特に力を入れて、人々がサステナブルな旅行を簡単に選択できるようにするために取り組みを強化しています」

「具体的には、Booking.com上でサステナブルな宿泊施設への予約導線を提供することで、旅行業会全体に好循環を生み出していきたいと考えています。後ほど詳細を説明する『サステナブル・トラベル・プログラム』がその中心的な取り組みになります」

「サステナブルな宿の選択肢が多ければ多いほど、より多くの人々がサステナブルな旅行を予約する可能性が高まりますし、宿泊施設は旅行者の需要が高まり有益であると分かれば、施設運営をよりサステナブルにしていこうとするのではないかと思うのです」

Image via Unsplash

このような理由から、Booking.comはサステナブルな旅を推進するために、予約者ではなく宿泊施設側に対してまずは積極的にアプローチを始めた。

彼らがBooking.comのプラットフォームに掲載されている全世界の宿泊施設にアンケートを取ったところ、回答者のうちの82%がサステナブルな旅行を実現するための課題解決に向けて取り組みを行いたいと回答した。一方同時に、何からやったらいいのか分からない、取り組むうえでのインセンティブが不足していると感じる、といった声もあがっていたという。

「Booking.comには、世界中に約280万件の居心地の良いカントリーハウス、ファンキーな都会のアパートメント、エレガントなヴィラからワールドクラスのホテルやリゾートまで掲載されているのですが、日本国内ではその多くが旅館や民宿、民泊といった中小企業の施設が占めています。グローバルチェーン系のホテルは、世界的な機関のサステナビリティに関する認証を受けていたりもするのですが、こうしたエコ認証の取得には、高額な費用がかかることも。なので、中小規模の施設には導入しにくいということもあるかと思います。そうした背景を踏まえ、我々がサステナブルな宿の選択肢を増やすために取り組みを行うのであれば、中小規模の施設でも取り組みやすい内容にするのが重要なのではないかと考え、『サステナブル・トラベル・プログラム』を実装しました」

「『サステナブル・トラベル・プログラム』は、宿泊者からすればサステナブルな宿を検索するための仕組みなのですが、それと同時にサステナブルな取り組みを行っている、ないしは行いたい宿泊施設が、特定の項目に沿ってひとつづつ取り組みを進めたり、取り組んでいる内容を宿泊者に伝えるための仕組みにもなっております」

具体的には、宿泊施設側のみが確認できるプラットフォームの管理画面上に、サステナビリティへの取り組みに関して「はい・いいえ」、もしくは自由記述で回答できる質問項目が並んだページが用意されている。

サステナビリティへの取り組みは、大きく分類して「ごみ、エネルギー、温室効果ガス、水、地域支援、自然保護」の5項目。それぞれの項目の中に、例えば「水」であれば「次のうち、水の使用量を減らすために行っている取り組みはありますか?」といった質問項目があり、タオル交換不要かをゲストが希望可能(はい・いいえ)、毎日の清掃サービス不要をゲストが希望可能(はい・いいえ)といった詳細な質問が続く。

全部で2022年6月現在、32項目あるこれらの質問に答え申告すると、Booking.com独自の基準に基づいてデジタルアセスメントが行われ、基準を満たしていれば、『「サステナブル・トラベル」プログラム』の登録宿泊施設として登録され、基準に満たなかった場合には、登録に向けたアドバイスや資料などをもらうことができるといった仕組みだ。

こうした内容をBooking.comに掲載している宿泊施設は、無料で受けることができる。

サステナブルという言葉と、取り組み内容をつなげていく

Image via Unsplash

「宿泊施設のご担当者様からは、『サステナビリティという言葉は聞いたことあるけど何からやったらいいの?』という声を頂くことが多いです」

「サステナビリティというと大それたことのように聞こえることもありますが、旅館や民宿であったり、昔から取り組まれていることもあると思うんです。大浴場の電気は使ったら消しましょうという案内をしていたりだとか」

「あとは最近でいえば、特にご年配の方々などからの、たくさん食べられないから食事の量を減らしてほしいという要望からライトミールプランを作ってらっしゃる宿もあります。それは食料廃棄を減らすためのサステナブルな取り組みにも当たりますよね」

「サステナビリティという言葉とは繋がっていないけれど、やっていることはサステナブルということは結構あるんですよね。なので、既に取り組まれている項目もあるのではないですか?とご案内して、サステナブルへの取り組みの項目の中でも、取り組みやすそうなものからご案内するようにしています」

ようやく少しずつ移動ができるようになってきた今年からは、実際に各地域を訪れることも検討しているという。

「各地域の宿泊施設様をお招きして、小さなワークショップのようなものができればと考えています。そのうちの一つのトピックとして、『サステナブル・トラベル・プログラム』の周知や登録案内、推奨といったこともしていく予定です。もし該当地域の中に、サステナビリティに関して積極的に取り組まれている施設様がいらっしゃれば、ゲストにお呼びして、実際に取り組んでらっしゃる内容をお話頂く機会も作れればと考えております」

わたしたちは、何のために旅をするのか?

これまでのお話の中で、サステナブルという文脈で上がっていたのは主に環境問題に関する内容であった。しかし、サステナビリティには環境問題以外の側面も多く含まれる。サステナブルな旅を考える際に環境問題以外でトピックとなる項目があるか伺った。

「オーバーツーリズムによって観光地が混雑しすぎてしまい、受け皿の許容範囲を超えてしまっているという問題点は日本に関わらず世界各地の観光地で長年言われ続けている問題ですよね。私もいま京都に住んでいるのですが、インバウンドが来ていた一番のピーク時には四条通りは地元の人が歩けないくらいの混雑具合でした。これからインバウンドが戻ってくるのは本当に喜ばしいことですが、何か今までとは違った対策が必要なのではないかなと個人的にも思案しております」

「また、サステナビリティの概念の一部にも入るかと思うのですが、『ウェルネス』にも注目しています。弊社で一部ユーザーに対して実施したアンケートの中でも、これからの旅に休息やリラクゼーションを求めたいという声も多くあがっており、一人一人のウェルネスにつながる旅といった提案もしていきたいなと考えております」

「海外に行ったら分刻みで観光地を周り、お土産をたくさん買って、写真を撮ってというのが一昔前の旅行のイメージだったように思いますが、恐らくもうそういう時代じゃないのかなと感じています。『何のために旅をするのか』というところから考えること自体が、サステナビリティなのではないかなと思いますし、旅に行って感じたこと、体験したことを持って帰ってきて、自分自身の価値観や感覚を見つめ直し、またその後の人生につなげていくということもサステナブルトラベルのひとつなのではないかなと私は思っています」

完璧にサステナブルな宿、完璧にサステナブルな旅に今すぐに出会うのは難しいかもしれない。それでも、問題に取り組もうとアクションしている人たちは居る。ならばそういう人たちを応援したいと筆者は思う。

Booking.comに掲載している一つ一つの宿の取り組みが、巡り巡って旅業界全体に変化を起こし、自然と環境負荷を抑えた宿に出会える割合が増えていくことを祈って、次の旅の宿を選択してみよう。

“Enjoy the Change”

最後に、もしよければBooking.comの従業員が作成したこの動画を見てみて欲しい。
彼らがどれだけ旅を愛しているかを、きっと心の底から感じられるはず。

【参照サイト】Booking.com
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飯塚彩子

“いつも”の場所にずっといると”いつも”の大切さを時に忘れてしまう。25年間住み慣れた東京を離れ、シンガポール、インドネシア、中国に住み訪れたことで、住・旅・働・学・遊などで自分の居場所をずらすことの力を知ったLivhub編集部メンバー。企画・編集・執筆などを担当。