森林が織りなす豊かな景観を体全体で味わいながら、日本の美しい村の未舗装の林道を自転車で駆け抜ける。
そんな体験を満喫できるイベントが、10月27日に長野県中川村にて開催される。一般社団法人国際自転車協会が主催するこのイベントタイトルは「2024グラベルライドラリーシリーズ第3戦 中川村ステージ」。このイベントは、舗装路と未舗装路を組み合わせた道を専用の自転車で駆け抜ける、「グラベルライド」と呼ばれる新しい自転車アクティビティの魅力を存分に味わうことができる機会となる。
グラベルライドとは
グラベルライドは、イタリアにおいて1990年代後半から、ヴィンテージ自転車を使用してアスファルト道路が少なかった1900年初頭のレースシーンを再現するイベントがブームとなったことに端を発している。最近では、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」や「ジロ・デ・イタリア」でもグラベル区間を設定するなど、ヨーロッパで一般的になった。
2010年代半ばには、アメリカの中西部で誕生した、未舗装路や砂利道(グラベルロード)を長距離にわたって走る、通常よりも幅の太いタイヤを履いたロードバイクを使用して行われるこの新しいサイクリングカルチャーが、カンザス州などを中心として急速に人気を集めていった。
まず最初にヨーロッパとアメリカで人気を博したこのグラベルライドのムーブメントは、やがて世界各地に広がっていった。現在では、世界中で様々なグラベルライドイベントが開催されている。
グラベルライドラリーシリーズの概要
このグラベルライドラリーシリーズは、NPO法人「日本で最も美しい村」連合が認定した「日本で最も美しい村」の林道を走るイベントだ。2024年は3ステージで開催され、今回の中川村ステージはその第3戦となる。大鹿村、中川村、川根本町の林道を駆け抜けるこのグラベルライドラリーは、美しい日本の農村を将来に継承するための一つの試みとして、地元の方々の思いを後押しとして開催されている。
このイベントのテーマは「持続可能性の追求」。参加者の数を目標とせず、人口減少が進む地元の方々に極力負担のかからないように、タイムアタック区間の合計タイムにより順位が決まる「ラリー方式」を採用している。
イベントの特徴
・コース:約100km前後(舗装路と砂利道の混合)
・スタート方式:1〜3人のグループで1分ごとの時間差スタート
・競技方式:ゴール順位ではなく、ラリー区間でのポイントで順位を決定
・参加条件:ロードバイクで120km以上走れる体力を有する方
中川村ステージの魅力
長野県中川村は、南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かな地域だ。長野県の南部、伊那谷のほぼ中央で上伊那郡の最南に位置し、昭和33年、古くは「天の中川」と呼ばれた天竜川を挟んで東側の南向村と西側の片桐村が合併してできた村で、天竜川を中心に結束する新しい村として中川村と命名された。村は、蛇行する天竜川を挟んで、竜東南向地区と竜西片桐地区に分かれており、それぞれに特色のある顔をもっている。
この中川村の地形を活かし、参加者たちは起伏に富んだコースを走ることになる。舗装された道路から未舗装の林道まで、変化に富んだ地形が楽しめるのが中川村ステージの特徴だ。
イベントの意義
このイベントは単なる自転車競技にとどまらず、地域活性化と環境保護の一環としても位置づけられている。意義は大きくは以下の二つになる。
1、地域振興への貢献
-
・交流人口の増加
・美しい村の持続可能性向上
・林道の観光資源化
2、環境保護への取り組み
-
・森林の復興
・林道整備の促進
・参加者の環境意識向上
運営から参加者へのメッセージ
このグラベルライドラリーは、アスファルトで舗装された道路では体験できない、新しい体験を参加者に提供する。未舗装の地面を踏むタイヤからハンドルに直に伝わる振動、予期せぬ障害物、野生動物との遭遇など、常に判断を迫られる状況が「自分自身の道を取り戻す体験」となる。
アートディレクターとしてこのグラベルライドラリーの企画・運営に関わるジュリアーノナカニシさんは、以下のように語る。
「このラリーの運営は数人のスタッフと村の有志による手作りなので、より多くの集客を求めることを目的に置いていません。小さな単位で1カ所に負荷をかけず、分散して持続可能的であるように。そして小さなアクションの積み重ねで、自転車アクティビティを楽しみながら長期的な日本のブランディングを実践する仲間をつくっていきたい」
グラベルライドを通じて、日本の美しい村を持続可能にする一員になる
このグラベルライドラリーシリーズは、2025年には5ステージへと開催を増やす計画しており、将来的にはこのイベントを通じて、日本各地でグラベルライドの魅力を発信することを目指している。
自然の中を駆け抜ける爽快感と、自分自身の道を取り戻す喜びを同時に体験できるこのイベントに参加することは、単にグラベルライドラリーの魅力に触れる体験だけではなく、同時に参加者が「日本の最も美しい村」を持続可能にする仲間となることも意味する。
そんな試みに関心がある方は、ぜひ以下のリンクからエントリーをしてみてはいかがだろうか。
「2024グラベルライドラリーシリーズ第3戦 中川村ステージ」申し込みはこちら
【参照サイト】「日本で最も美しい村」連合
【参照サイト】季刊 日本で最も美しい村WEB版
【参照サイト】日本で最も美しい村には大自然の中を縫って繋がる林道がたくさん残されています。そんな最高のグラベルライドを一緒に楽しみませんか。GRRs2023
【関連記事】美しい村を美しいままに。「日本で最も美しい村新聞」編集長 ジュリアーノ・ナカニシさんインタビュー
【関連記事】フランスの小さな美しい村の観光から考える、これからの旅のかたち
いしづか かずと
最新記事 by いしづか かずと (全て見る)
- 11/3(祝)食・農・音楽をテーマにした「HARVEST PARK 2024」開催!今を知り未来を共創する“心の収穫祭” - 2024年10月22日
- “天国に一番近い島”ニューカレドニアで、最近何が起こっていたのかを現地の人に聞いてみたら - 2024年10月19日
- 茨城県大洗町で”もう一つの暮らし”を見つける旅。「二拠点居住」体験ツアーを今秋初開催 - 2024年9月14日
- この秋は中川村で”自分の道”を取り戻す体験を。日本の美しい村を持続可能にする「2024グラベルライドラリーシリーズ」 - 2024年9月6日
- 「泊まれる文化財を訪れ、日本文化を継承しよう」伝統旅館を描く吉宮晴紀さんのスケッチで ”ときを感じる” 日本のお宿を知る - 2024年5月27日