“めぐる”。自然が“めぐる”。
風にザワザワとそよぐ木々の葉。決して枯れることなく、折れることなく逞しく地に根づく。この豊かな森がいつまでもつづくように。太陽の光、雨、雪解け水、四季の気温差、そして動植物たち。これらがひとつとして乱れることなく、バランスよく保てますように。
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そんな自然が“めぐる”大切さを教えてくれる取り組みが、宮城県は女川町の離島・出島(いずしま)にて行われている。2024年12月19日、本州と出島を結ぶ出島大橋の開通に合わせてプレオープンする、自然循環型サウナ「JUURI SAUNA」(ユーリサウナ)だ。
JUURI SAUNAは、単なるサウナ施設にとどまらない。森林資源の有効活用、地域の伝統文化の再発見、そして持続可能な観光モデルの構築を目指す複合的なプロジェクトだ。2025年春には宿泊施設も開業し、本オープンを予定している。
循環を生み、自然に寄りそう島サウナ
出島は東日本大震災で被災し、人口が約500人から92人にまで減少した。40年以上の構想を経て架かる橋により、女川駅から車で約15分でアクセス可能になる。仙台駅からも車で約1時間と好立地だ。
JUURI SAUNAは、島の自然環境を活かした運営を特徴とする。放置林の間伐材を建材やストーブの薪として使用し、森の循環を促す。間伐により太陽光が下層植生まで届き、成長を促進。薪を燃やした後の灰を森に撒くことで土壌改善を図り、枯れた沢の再生も目指す。
伝統的な大型サウナストーブを導入
サウナ設備の目玉は、フィンランド製の伝統的サウナストーブ「Aitokiuas-95」だ。高さ146cm、直径95cm、約500kgのサウナストーンを搭載可能な大型蓄熱式ストーブで、本場フィンランドのスモークサウナのような柔らかい蒸気浴を再現する。
水風呂には宮城県内で使用されていた醤油樽を再利用。島の地下水を使用し、自然との一体感を演出する。サウナ前には海が見えるデッキを設置し、森林浴をしながらの外気浴も楽しめる。
こだわりの「サ飯」にも注目
サウナ後の食事、通称「サ飯」にもこだわる。自家製タコスやポークカルニータス、出島近海で獲れたタコを使用したタコ飯など、メキシコ料理を中心としたメニューを提供予定だ。
サウナを通じて地域再生も
株式会社JUURI代表取締役の鹿又陸氏は、「出島の自然環境を活かしながら、サウナを通じて森の循環を生み出す取り組みに挑戦します。島の魅力を最大限に引き出し、持続可能な観光と地域活性化の新しいモデルを創造したい」とコメントしている。
鹿又氏は東日本大震災後、被災地支援や地域活性化に携わってきた経歴を持つ。出島の豊かな自然と、震災からの復興過程に着目し、サウナを通じた新たな地域再生の可能性を見出したという。
なお、JUURI SAUNAは運営費の支援を募るクラウドファンディングを、2024年11月30日よりCAMPFIREにて実施している。目標金額は300万円だ。
2025年春には、2024年8月に廃業した島唯一の宿泊施設「民宿いずしま」を改装し、新たな宿泊施設を開業する予定だ。
自然に寄り添うサウナと地域に根づく民宿で、心あたたまる休息の時を過ごしてはいかがだろう。
【参照サイト】宮城県女川町の離島・出島の自然循環型サウナ「JUURI」、本土と結ぶ橋が開通する12月19日開業 フィンランドのスモークサウナを再現し、島の間伐材を活用|PRTIMES
【参照サイト】震災で人口90人に減った離島に自然循環型サウナをつくる|CAMPFIRE
【関連ページ】水と草木につつまれた「循環型サウナ村」が岐阜の秘境に誕生。人も、地域も、自然もととのう旅を
【関連ページ】人も森も地球も「ととのう」サウナ。豊田の森から生まれた純国産バレルサウナで脱炭素社会を目指す
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