絶滅危惧種「ジュゴン」を守ろう。伊良部島の海で生きもの観察の旅へ

ジュゴンは、海の中で優雅に泳ぐ姿から「海の人魚」とも呼ばれる神秘的な生き物だ。体長3m、体重300kgにもなるこの大型の海棲哺乳類は、主に熱帯・亜熱帯の沿岸域に生息し、海草を主食としている。しかし、その数は年々減少しており、絶滅が危惧されている(※)。

ジュゴン調査ツアーの常時開催が決定

そんなジュゴンの生態を間近で観察できる貴重な機会が、沖縄県の伊良部島で提供されることになった。一般社団法人マナティー研究所が実施している「伊良部島の海で生きもの観察!ジュゴン調査ツアー」が、2024年7月から常時開催されることが決定したのだ。

このツアーでは、沖縄の伝統的な木造漁船「サバニ」に乗り、ツアーガイドと共に海の生きものを観察しながら、ジュゴンの生態を調査する体験ができる。参加者は、ジュゴンが「海草を食べたあと」や「うんち」を探すことで、その暮らしを間接的に観測する。

ツアーの所要時間は約1時間で、1回につき最大5名まで参加可能。対象年齢は小学生以上で、1名あたりの参加料金は5,980円(2名様以上の場合)となっている。参加者には、ジュゴン調査ツアー認定書とオリジナルステッカーがプレゼントされる。

鳥羽水族館とのコラボイベントも!

2025年1月4日には、日本で唯一ジュゴンを飼育している三重県の鳥羽水族館で、マナティー研究所主催のイベント「飼育の海牛(飼牛)祭り」が開催された。

このイベントでは、海牛類(ジュゴンやマナティー)の研究者と飼育に携わる専門家が登壇し、飼育員だけが知る裏話やおもしろエピソードが披露された。特筆すべきは、鳥羽水族館のジュゴン「セレナちゃん」の大好物である海草が、上記ジュゴンツアーで観察できる沖縄の海草を養殖したものだという点だ。

海と日本プロジェクトとの連携

ジュゴン調査ツアーを実施しているマナティー研究所は、生きものを大切に思う仲間たちが活動している学術団体だ。マナティーやジュゴンの研究者、学校の先生、海外青年協力隊の経験者など、いろんな分野のメンバーが参加しており、アマゾンやアフリカなど、世界でマナティーの研究や保全をすすめている。

今回のイベントは、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」の一環として実施された。このプロジェクトは、海に関する知識を深め、海洋環境の保護と持続可能な利用を目指すもので、教育活動や地域活性化、環境保護活動を通じて、海の大切さを次世代に伝えることを目的としている。

伊良部島の文化や伝統にも触れられる体験

ジュゴン調査ツアーは、単に観光目的だけでなく、絶滅危惧種の調査に直接関わることで、環境保護の重要性を体感できる。参加者は楽しみながら、海洋生態系の保護に貢献。さらに、地域の伝統的な漁船を利用することで、文化の継承にも一役買っている。

ツアーに参加した方々からは、「ジュゴンの生態を間近で感じられて感動した」「環境保護の重要性を実感できた」といった声が寄せられている。また、「子どもたちの環境教育にも最適」という意見も多く、家族連れにも人気のツアーとなっている。

海の生きものたちの声なき声に耳を傾け、その保護に一役買いたいと考える方々にとって、このツアーは絶好の機会となるはず。美しい沖縄の海で、ジュゴンの不思議な世界を覗いてみてはいかがだろうか。

(※)参照データ:ジュゴン保護対策・目撃情報|沖縄県公式ホームページ

【参照サイト】ジュゴン調査ツアー【 沖縄】常時開催が決定!鳥羽水族館とのコラボイベントも実施|PRTIMES
【参照サイト】ジュゴン調査ツアー|一般社団法人マナティー研究所
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