ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社は6月4日、2021年度版の「サステイナブル・トラベル」に関する調査結果を発表した。これにより、旅行先の環境やコミュニティなどに配慮したサステイナブルな旅行への考えや、パートナー施設によるサステイナブルな取り組みの状況がわかった。
本調査では、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、ライフスタイルの見直しが加速するなか、サステイナビリティに対する意識が変化していることがわかった。なかでも日本の旅行者の51%はすでにリサイクルに取り組み、42%がフードロスの削減に努めていると回答しており、日常の中でのサステイナブルな活動が徐々に浸透していることがわかる。
その意識は旅行に対しても同様で、日本の旅行者の82%が「旅行において、サステイナビリティが非常に重要だ」、42%は「新型コロナウイルス感染症の影響で、よりサステイナブルな旅行を望むようになった」と回答した。再び安全で自由に旅行が楽しめる日が来たときには、より環境に配慮したサステイナブルな旅行への需要が高まることが予想される。
さらに旅先でのサステイナブルな取り組みについて、日本の旅行者の71%が「ゴミの量を減らしたい」「エネルギー消費量を減らしたい」と回答。日常でも行えるサステイナブルな取り組みを旅先でも継続的に行いたいとする声が半分以上を占めた。また、現地のコミュニティへの配慮を重視する日本の旅行者も多く、人気の観光スポットを避け旅行客の集中を防ぎたい、旅行によって生まれる利益を広く分散させて還元したいといったように、地球環境だけでなく、地域の文化や経済の持続可能性に対しても配慮する意識が高いことがうかがえる。
その一方で、世界の旅行者の33%が「現地のコミュニティをサポートするためのアクティビティに参加した」と回答したのに対し、日本の旅行者は14%に留まった。さらに宿泊施設のサステイナブルな取り組みについても、世界の旅行者の53%が「滞在先にサステイナブルな取り組みがないと不満に思う」と回答したのに対し、日本の旅行者はその半分以下の22%だった。
また、サステイナブルな宿泊施設での滞在を希望する旅行者の数も、世界と比べると日本では低い傾向がみられた。この背景には、日本の旅行者の45%が「2021年現在ではサステイナブルな旅行の選択肢が十分でない」と感じていることからも、宿泊施設による取り組みや訴求、旅行者がサステイナブルな宿泊施設を探す仕組みが不十分であることがうかがえる。
旅行者だけでなく、宿泊施設についても課題は多く、パートナー施設の75%が「サステイナブルな取り組みを実施している」と回答している一方、「取り組みについてユーザーに積極的に伝えている」のは31%に留まった。この結果から、パートナー施設は、旅行者に対してサステイナブルな取り組みに関する情報を十分に発信できていないほか、旅行者が宿泊施設を選択する際にも十分に情報発進ができていないという課題が浮き彫りとなった。
これらの調査結果を受け、同社は、パートナーがよりサステイナブルな施設になるための取り組みをサポートするプログラムを展開していく。ハンドブックや専用コンテンツなどを通じて、ガイダンスや知見、他施設の成功例などを共有することにより、パートナー施設がサステイナビリティをより理解し、施設での取り組みについて発信していくことにつながるよう支援することを目指す。
本調査は、2021年3月と4月、30か国にわたる29,000名以上の旅行者と同社のパートナー施設を対象にオンラインで行われた。
【ウェブサイト】ブッキング・ドットコム、2021年の「サステイナブル・トラベル」に関する調査結果を発表
【ウェブサイト】ブッキング・ドットコム
松岡 のぞみ
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