旅先での思い出をより良いものにするにはどうしたらいいだろうか。
旅行で訪れた街を来たときよりも良くして去っていく。
サステナブルツーリズムの一歩先である、再生型観光「リジェネラティブ・ツーリズム」に注目が高まっている。
北海道上川町は、リジェネラティブ・ツーリズムのモデルケースを目指し、「大雪いきもの図鑑プロジェクト2023」を昨年から期間と対象エリアを拡大して実施する。
イベント期間中はいきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」をスマートフォンにダウンロードし、アプリを立ち上げて「クエスト」と呼ばれるゲーム機能を楽しみながら大雪山や上川町に生息する生き物をアプリ上で撮影、収集してもらう。
収集した生き物の生息域や数などのデータから、生き物の最新の生息分布状況を把握、可視化を行う。そして北海道大学 地球環境科学研究院における研究活動にも役立て、大雪山・上川周辺エリアの自然保護、再生に繋げていくリジェネラティブ・ツーリズムだ。
北海道 上川町の自然をアプリを通して守る
北海道上川町は、北海道のほぼ中央にある人口約3,200人の町(※)だ。「大雪山国立公園」の北方部に位置しており、大雪山連峰の自然や北海道第一の河川「石狩川」が流れる自然豊かな環境にある。
しかし、近年は地球温暖化等の影響により、大雪山に植生する高山植物の生息域が徐々に笹原と化してしまい、高山域に限られてきているなど大雪山の生態系に変化してきている。
また、コロナ禍以降でも、登山客や観光客が増加することが予想されている。そのため、登山客や観光客が増えることによって、自然が人間と共再生することを目指すリジェネラティブ・ツーリズムの仕組みの模索を行った。そして実証的に昨年より「大雪いきもの図鑑プロジェクト」をスタートさせた。楽しく学びのある自然体験を提供し、旅の満足度を上げるとともに、環境保全や研究に役に立つデータを集積し、再生型観光のモデルケースとなることを目指している。
【実施内容】
・実施期間:2023年7月1日(土)~10月15日(土)
※「まちクエスト」は7月15日(土)~10月15日(土)
・実施場所:上川町市街地エリア及び大雪山黒岳ロープウェイ、黒岳周辺エリア
・主催:上川町
・協力:株式会社TSIホールディングス、北海道大学 地球環境科学研究院
・参加費用:無料
・参加方法:「Biome」アプリをご自身のスマートフォンでダウンロードして、アプリを起動。
①アプリ内のクエスト「大雪いきもの図鑑プロジェクト」を選択。
②ルールやガイドを参考に指定エリア内で発見した植物、昆虫、動物をアプリで写真撮影し、投稿することでクエストの達成を目指す。
・クエスト:①やまクエスト(層雲峡~7合目エリア、7合目~山頂エリア)
②まちクエスト(上川町中心部及び、大雪 森のガーデンエリア)
楽しく学んで旅先に恩返しを
旅人が訪れた地でただその土地のいいものを吸収するだけでなく、何かその土地のためになるいい事を残していく。そんなやり取りが旅の中で生まれたらもっと素敵な旅の思い出ができるのかもしれない。まずは、気軽にアプリを通してその土地の自然に恩返しをしてみてはいかがだろうか。
高橋 真理
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