東京の下町、品川。古い長屋が立ち並ぶ通りを歩いていると、ふと目に留まる小さな看板。「Bamba Hotel Tokyo」。ここが、かつて「東京で一番小さなホテル」として話題を呼んだ宿だ。築80年の長屋をリノベーションし、1日1組限定の一棟貸しホテルとして2014年に誕生。10年の時を経た今も、変わらぬ魅力で旅人を迎え入れている。
“東京で一番小さなホテル”「Bamba Hotel Tokyo」

南品川の新馬場駅から徒歩1分という好立地にある「Bamba Hotel Tokyo」。1日1組限定・最大5名ほどまで宿泊可能な一棟貸しホテルだ。2024年12月13日に開業10周年を迎えた。
Bamba Hotel Tokyoは、宿場JAPANの2軒目の宿泊施設として誕生した。代表の玉井(渡邊)崇志さんは、通りすがりに「入居者募集中」の貼り紙を見つけたことがきっかけで、この物件に目をつけたという。

当時、Airbnbの潮流が米国で始まっており、渡邊さんはサンフランシスコやポートランドなどの都市を視察していた。そんな中、既存のゲストハウス利用者のライフステージの変化に着目。「家族や友人で気兼ねなく泊まれるVIPルームのような場を作って、そこに街のサービスを集めればおもしろいかも?」という着想から、この小規模ホテルの構想が生まれた。
2階建ての長屋の1軒をリノベーションした当ホテルは、開業当時、東京で一番小さいホテル(※東京都内で旅館業法の営業許可を取得した宿泊施設の中で最小規模)だった。
DIYで宿が完成するまでのストーリー
築約80年、長年空き家だった物件は老朽化が進んでいた。しかし、宿場JAPANはこの建物の持つストーリーを受け継ぐことを決意。近隣でDIYアドバイザーを務める玉井香織さんの協力を得て、自分たちでリノベーションを行うことにした。

驚いたことに、改修作業を見ていた近隣住民が自らDIYに協力を申し出てくれた。結果的に、地域の人々と一緒に宿をつくるプロジェクトのような形になった。江戸時代には宿場町の馬の停車場として賑わっていたこの地域に、かつての活気を取り戻したいという思いが、宿づくりを通じて少しずつ形になっていった。

下町ならではの地域に根ざした体験
「地域融合型ゲストハウス」をコンセプトに掲げている、宿場JAPAN。Bamba Hotel Tokyoも、宿泊体験がローカルを知ることにつながる仕掛けを大切にしている。宿泊すると、近隣店舗との共同開発によるデリバリーサービスや、地元に精通したコンシェルジュによるおもてなしなど、この宿ならではのサービスを受けることができる。

宿の周辺には、江戸時代から続く寺社仏閣や昔ながらの商店街が点在する。宿泊者は、外履きスリッパを借りて気軽に街歩きを楽しめる。また、数々の浮世絵にも描かれた江戸風情漂う屋形船の乗船体験をはじめ、東海道五十三次の初宿である「品川宿」にあるお寺での座禅体験など、地域の歴史や文化を深く知るツアーにも参加可能だ。
画像引用:体験 | SHUKUBA HOTEL|宿場ホテル 公式HP
10周年を記念して
10周年を記念し、スタッフのアイデアから生まれた手ぬぐいを制作。今後、施設に関わるイベントなどで活用される予定だ。
また、ホテルの10年の歴史を振り返るフォトブックや、宿泊者へのおもてなしの品を開発中。これらの企画を通じて、Bamba Hotel Tokyoの魅力をさらに発信していく。

Bamba Hotel Tokyoは、地域に根ざしたサステナブルな宿泊体験を提供し続けている。今後も、旅人と地域、そして従業員を含めたすべての関係者にとって幸せとなる事業を展開していく予定だ。小さな宿から始まった取り組みが、持続可能な観光の新たなモデルとなる可能性を秘めている。
【参照サイト】祝10周年!築80年の長屋を再生し「東京の最小ホテル」として始まった「Bamba Hotel Tokyo」、次の10年へ|PRTIMES
【参照サイト】体験 | SHUKUBA HOTEL|宿場ホテル 公式HP
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