「人と何かが違う」を自分事に。デンマークのインクルーシブ教育先端校が日本で上映会・ワークショップ開催

北欧有数のインクルーシブ教育のモデル校であるエグモント・ホイスコーレンがデンマークから来日する。同校教師のミケール・キアク・イエンセン氏、コーノム 深澤理恵子氏が生徒たちの登山プロジェクトをテーマとした映画『リース遠征隊』の上映と対話会を2023年3月23日(木)に開催する。

インクルーシブ教育とは

「インクルーシブ教育」とは、障害のある人と障害のない人が共に学ぶ仕組みや環境のこと。インクルーシブ教育の目的として「人間の多様性の尊重等の強化」と「障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とする」ことを2008年発効の「障害者権利条約」で挙げている。人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会実現のために重要な取り組みだ。

日本では2022年8月に「障害者権利条約」について、国連・障害者権利委員会による日本政府への審査を実施。教育の分野では、障害のある子たちが、とくにその程度が重い場合に特別支援学校への入学を実質的に要請され、地域の学校には実質的になかなか受け入れてもらえない状況や、教員のスキル不足など、さまざまな問題が残っている。

約4割の学生が障がいを持つ「エグモント・ホイスコーレン」

デンマーク・ユトランド半島にあるフォルケホイスコーレ(北欧独自の17歳以上を対象とした全寮制の学校)の1つ、エグモント・ホイスコーレンでは、約220名の学生のうち約4割は身体・知的・精神に様々な障がいを持っている。国のアシスタントヘルパー制度を用い、クラスメイトでもある障がいのない学生を雇うことで、食事や排泄、買い物や旅行といった日々の暮らしを営んでいる。

デンマークにおける人間にとっての自立とは、障がいの有無に関わらず、人生目標である「よき人生」を実現することが重要な事柄として考えられている。ここでいう自立とは、自分自身の人生を自ら決定し、社会の中で、すべての人がお互いに依存し、頼られながら育まれて行くものとして捉えられている。一人ひとりが異なったユニークで尊厳ある存在であり、それ故に、お互いに尊重することをよしとする風潮だ。対等な関係の社会形成実現にむけた取り組みとなっている。

ワークショップを3月23日(木)に開催

今回、エグモント・ホイスコーレンから約40名の教師・生徒が来日し、ワークショップが開催される。ワークショップでは、脊髄小脳変性症の1つマチャド・ジョセフ病を持つヤコブ・リース(当時22歳)とその仲間7人が北ヨーロッパ最高峰、ノルウェーのガルフピッゲン山を登頂する映画「リース遠征隊について」の上映や、料理教室、夕食交流会を行う。漠然と感じていた「共生社会」を自分事に捉え、気づきを得る機会にしてみてはいかがだろうか。

【開催概要】
・日時:2023年3月23日(木)
17:00〜18:30 【映画鑑賞と対話会】(内映画上映 40分程度)
19:00〜21:00 【夕食交流会】
※映画は日本語字幕付きで対話会は通訳があります。
・会場:国立女性教育会館(埼玉県比企郡嵐山町菅谷728番地)
・詳細、申込先:ドキュメンタリー映画「リース遠征隊」上映会 & 対話ワークショップ

【運営メンバー】


・主催:エグモント・ホイスコーレン
・共催:DSSAプロジェクト (代表 深澤理恵子)
・共催:一般社団法人 こたえのない学校 FOX PROJECT (代表 藤原さと)