“みんな”に気軽にお出かけを楽しめる休日を!「ユニバーサルツーリズム」を広めるプロジェクトが始動

家族や友人とおいしいものを食べに出かけたり、自然の織りなす絶景を見に足を延ばしたり、新しい世界を体験するのは楽しいもの。でも、もし自分が身体を自由に動かせなかったら?家族や友人が車椅子を使うことになったら?

そんなときに拠り所となるコミュニティを作るためのプロジェクトが始動。何歳でも、障がいがあっても、みんなが気軽に出かけられる「情報」を共有し、いろいろな「仲間」と繋がる「MinQ(みんきゅ〜)」がクラウドファンディングを実施している。

車椅子ユーザーとしての想い

プロジェクトマネージャーを務めるのは車椅子でヒッチハイクしながら全国を旅した寺田ユースケさん(以下ユースケさん)。生まれつき脳性麻痺があるユースケさんは、自分の障がいを「個性」と捉え、車椅子ユーザーでありながら積極的に社会と関わり、多くの人々に勇気を与える活動をしている。

足をひきずることが気になり青春時代はネガティブな気持ちで過ごしていたユースケさん。20歳のときに車椅子に出会ったことで人生が一変、前向きに生きられるようになったそう。ユースケさんにとって車椅子はたくさんのことをできるようにしてくれる「魔法の乗り物」、童話「シンデレラ」でシンデレラを舞踏会まで連れて行くかぼちゃの馬車のようとインタビューで話している。

もっとおもしろい世界を観たいと思ったユースケさんは、日本全国で車椅子を押してもらいながら旅をする「HELPUSHプロジェクト」を開始。2017年からの3年間かけて47都道府県すべてを巡る旅を成し遂げた。

車椅子ユーザーの家族として見えてきた課題

この旅にカメラマンとして同行したのがユースケさんの妻、真弓さん。真弓さんはYouTubeチャンネル「寺田家TV」で車椅子での旅を紹介するようになり、現在は多様性や福祉をテーマにした動画を発信している。真弓さんは活動を通じて「遊び」や「おでかけ」を楽しむのが難しい人たちがたくさんいることに気がついたと言う。

「MinQ(みんきゅ〜)」プロジェクトの立ち上げ

真弓さんはユースケさんと共にみんなが気軽に外出できる社会を目指して2024年に「MinQ(みんきゅ〜)」プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトでは、いろいろな立場の人たちと一緒に問題を話し合い、情報をシェアし、課題を解決することを目指している。

多くの国で高齢者や障がい者への差別を禁止する法律が制定され、日本でも「障がい者差別解消法」が制定された。公共機関や民間事業者は以前よりも障がいがある人への配慮を求められる。MinQでは具体的にどのように配慮したらいいのかを当事者、事業者が一緒に考え解決できるよう繋がりを作る。

事故や病気、高齢になることで、いつ誰が外出をためらう状況になるかわからない。自分や家族、友人にとっても「外出が楽しめる社会」を作ることは実は他人事ではない。こうした問題を「身近なこと」として考え、話し合う場を作りたいという想いも込められている。

具体的な活動内容

1. 情報を集めて整理

SNSやWebメディアで障がいがある人が困っていることや先進的な取り組みをしている施設を紹介する。

2. 横の繋がり・連携・仲間作り

おでかけを楽しむためのコミュニティを作り、今まで接点がなかった人たちを繋ぐ。障がいがある人や、施設を運営する人、技術開発者などが集まりお互いに理解を深め、問題解決に繋がる場を作る。

3. 情報を発信して社会を動かす

集まった情報をもとにカンファレンスやシンポジウムを開いたり、みんなで課題を解決するプロジェクトを展開したりする。

会員特典・クラウドファンディングのリターン

MinQプロジェクトに共感した施設との提携も進んでいる。長野県のキャンプ場 信州大芝高原や京都府の宿泊施設 水屋敷では割引特典があり、岐阜県のキャンプ場 ひるがの高原BASEでは特別イベントが計画されている。

提携予定施設

長野県南箕輪村 信州大芝高原

岐阜県ひるがの ひるがの高原BASE

京都府京丹後 ぬかとゆげ

京都府京丹後 水屋敷

クラウドファンディングはコミュニティを一緒に立ち上げる初期メンバーとして参加できる権利や、ユニバーサルツーリズムをテーマにした絵本、「寺田家TV」による動画制作など多彩なリターンが用意されている。

おわりに

日本には障がいがある人や高齢者のために活動している施設や観光地がたくさんある。そのような場所は誰かが強い想いを持って進めていると真弓さんは言う。MinQプロジェクトは想いと工夫で誰もが不安なく外出できる社会を目指す。興味がある方はぜひクラウドファンディングをチェックしてはいかがだろうか。

【参照サイト】CAMPFIRE | 外出に不安を感じるすべての人が、気軽におでかけ・旅行ができる社会を創りたい!
【参照サイト】寺田ユースケ@寺田家
【参照サイト】PRTIMES | 絵本から始まるユニバーサルツーリズム
【参照サイト】CAMPFIRE | 【日本初!<車イス押してくれませんか?>日本全国 車イスヒッチハイクの旅】
【参照サイト】介護ポストセブン | 寺田ユースケさんが歩んだ10年「僕にとって車いすはシンデレラのカボチャの馬車」

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大学卒業後メーカーに就職、管理・企画職及び海外駐在経験後、ライター活動開始。会社員の傍ら国内及び海外旅行を満喫し、ひとり旅で訪れたバリ島ウブドで自然の中で過ごす心地良さを知る。キャンパーバンでのNZ南島周遊は大きな思い出。タイニーハウスでの小さく豊かな暮らしを実現すべく邁進中。