空港に着くまで行き先が分からない!? アメリカ発わくわくドキドキなサプライズ・トリップ専門会社「Pack Up + Go」

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自分の知らない未知の世界との遭遇には、ワクワク感がある。旅とは、そもそも未知なる道をゆくもの……。

しかし、情報社会を生きる現代の私たちの旅行は、Instagramや検索エンジンで調べに調べ尽くして、現地に着く前にすでに行った気になるほどに計画を緻密に立てて「いざ」と答え合わせをしにいくようなものになっている感も否めない。

さらに、行き先を決めて、宿を決めて、移動手段を決めて、食事場所を決めて、体験を決めて、荷物を準備して…。と、計画は楽しくもある一方で、信じられないほどの労力もかかる。

そんな現状に応えるかのようにアメリカで発祥した旅行会社が、「サプライズ・トリップ」を専門とする「Pack Up + Go」。あえて和訳すると「荷造りして、行こう」といった意味だ。

手順は簡単。まず「空路」「陸路」「アウトドア陸路」といった旅行のタイプを選択。旅行前のアンケートで興味や旅行履歴に関する簡単な質問に答える。予算を決めれば、あとは旅程が近づいたら荷物をまとめるだけで旅の準備は完了。旅行会社が旅行者の代わりに旅の計画を行い、宿や夕飯の予約などを完了してくれる。

旅の日程が近づくとポストに「当日まで開けないで!」という注意書きとともに「Surprise Envelope(サプライズ封筒)」が届く。

「何を持っていけばいいか困りそう・・」そんな心配も無用。旅の1週間前になると、旅先での天気予報とおすすめの持ち物情報が共有されるので、それをもとにパッキングすればよい。完全にサプライズにするためにそのメールも開かずにおきたい気もするが…荷物が増えるとスーツケースも飛行機も重くなるので、このくらいの情報はあってもいいかもしれない。

旅行会社がこれまでに手配してきた旅の目的地は300箇所以上。旅先で困ったことがあれば、24時間・365日、トラベラーサポートがついている。

自ら旅先を決めることには、旅先での既視感を増やすことに加え、自らの関心の外に出られないという観点もある。

面白がったり助け合ったり認識し合ったりできる存在を増やしていくためにも、自分が心地よいと感じるコンフォートゾーンから出る体験は現代において非常に大切だ。Livhubが以前取材を行った英国サステナブルトラベルの専門家も「サステナブルに旅するうえでの3つの重要なヒント」の一つとして「コンフォートゾーンから抜け出す体験を求める」といったポイントを挙げていた。

しかし、自分自身で、自らが心地よいと感じられる枠の外に踏み出すのは非常に難しい行動だ。だからこそ、こうして偶然性を他者につくり出してもらうという体験は稀有であり重要なのだ。

また自ら決めることの大切さもある一方で、レストランでいう「お任せメニュー」のように他人に判断を全面的に委ねるなかにある面白さもあるはずだ。

お店の大将は旬の素材を、お客さんに一番喜んでもらえるようにと思って調理をする。そして、客は何が出てくるのかわくわくドキドキしながら、お皿が運ばれてくるのをテーブルで待ち焦がれる。お客さんが喜んで食べる顔を見て、次回来たらもっと喜んでもらおうと大将はさらに案を練る。説明がないからこそ、人と人との信頼関係がそこには生まれるように思う。

旅でもレストランでも、定番メニューを消費するのでなく、道なき道を選んだり選んでもらったりする体験をわくわくドキドキしてみるのもいいかもしれない。

【参照サイト】Let us plan your getaway. The catch? Your destination is a surprise.
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拓馬

昔からつい遠くに趣いてしまう癖があり、気がついたら海外でノマド(遊牧民)に。インターネットという大自然の恩恵に浴し、世の中を斜に眺めながらの独り言。リアルの大地とデジタルという名の大空のはざまにさすらい、いまだ見ぬ世界への旅路を今日もゆく。