「地熱」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
地球の中心部は、5,000~6,000度もの温度があると考えられており、地球は中からたえず暖められている。このような地球内部の熱を「地熱」と言う。特に火山の周辺は高温な地熱地帯が発達しており、この熱は発電をはじめ暖房、施設園芸、浴用などさまざまな利用ができる。
日本は世界有数の火山国のため、利用にあたる諸課題はありつつも、利用可能な地熱エネルギーが豊富にあるとされている。(※1)
そんな「地熱」の日本発祥の地ともいえるのが大分県だ。地熱利用のための噴気孔掘削が日本で初めて成功したのが大分県別府市なのだという(※2)。
今回は地熱発祥の地、大分県にある鉄輪温泉に2015年にオープンした「地熱」「温泉熱」を体感できる施設「地熱観光ラボ 縁間」を紹介したい。
「地熱観光ラボ 縁間」で提供されるサービスは、すべてが地球の奥底から届いた地熱エネルギーの恵みによるもの。鉄輪(かんなわ)温泉は別府の中でも最も多く源泉が集中する地区で、その大地から湧き上がる温泉熱を使って、施設では地獄蒸し体験、竹細工、温泉染め体験、そして足湯や温泉が楽しめる。
地獄蒸し体験は、別府の鉄輪地区で江戸時代から続く伝統の蒸し上げ方法。温泉噴気のかまどで、新鮮な魚介類や野菜をはじめ、ピザや麺類などバリエーション豊かな食材で“地獄蒸し”を体験できる。中でも、地獄釜で蒸した「地熱ぷりん」は観光客に人気。温泉の噴気で蒸しあげるため、独特な濃厚さが美味しさのひみつだ。
「温泉で竹細工?」と思う人も多いかもしれないが、縁間では“ヴィンテージ竹細工”といって温泉の蒸気で竹を加工し、湯煎や染色に温泉熱を利用して作品をつくることができる。大分県の竹細工の歴史は古く、室町時代に行商用の籠をつくって売り出したのが最初と言われている。現在でも大分県では全国でも唯一、竹細工の訓練校があるなど竹細工がとても盛んだ。
温泉の質で色が変わる温泉染めは、歴史は古いが新しい染体験だ。江戸時代、大分は鶴崎地方で木綿の栽培が始まると「豊後綿」や「三浦木綿」と呼ばれるようになり、その後、全国的に温泉染めが有名になったと言われている。豊後綿は当時は徳川家に献上するほど貴重なものだったが、明治時代になると豊後絞りの名は姿を消し、「別府絞り」が県内の絞りとして受け継がれた。
施設では他にも、最大100名収容可能な足湯や貸切風呂の縁間の湯、温泉を実際に飲める飲泉場などの施設がある。また「湯雨竹(ゆめたけ)」といって、100℃の熱湯が数秒で47℃に変化する竹枝を使った設備を見ることもできる。これは、温泉を加水せずに冷ますことで、源泉100%かつ効能をそのままに温泉の湯船や飲泉に使うことができるもの。シンプルな構造でありながら画期的なシステムだ。
「地熱観光ラボ 縁間」では、こうしたさまざまな姿形を変える地球の息吹を、食や工芸体験を通して楽しみながら知ることができる。ぜひ地熱・温泉熱がもつパワーを感じに、別府八湯のひとつである鉄輪温泉へ足を運んでみてはいかがだろう。
地熱観光ラボ 縁間
・HP https://enma-ch.com/
・住所 大分県別府市鉄輪字風呂本228−1
・電話番号 0977-75-9592
・営業時間 10:00〜22:00(※19時以降店内の状況により早く閉店する場合があります)
(※1)経済産業省 資源エネルギー庁|地熱のページ
(※2)日本地熱学会|地熱とは
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明田川蘭
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