「いつかきっと輪島朝市に行きます」“変わらぬ人情と笑顔が此処にはある”

wajima asaichi

“輪島朝市はお休み。初市は1月4日から。地元の元気なおばあちゃんに会いにきてね。日にちはお間違えのないように。”

特徴的なオレンジ色のテント内で撮影されたエプロン姿のおばあちゃんの写真とともに、石川県輪島市の朝市「輪島朝市」の公式HPに2024年1月3日現在記載されている文章だ。

輪島朝市は石川県能登地域の有名な観光名所であり日本三大朝市の一つとしても知られている。能登地域を訪れる外国人観光客が最も訪れるスポットでもある。(※1)

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Photo by TK Kurikawa on Shutterstock.com

その歴史は長く、元を辿るとはじまりは奈良時代後期もしくは平安時代はじめ頃に遡る。もともと「市」は神社の境内で祭礼の日に行われる物々交換から始まることが多いと言われており、輪島朝市もその頃輪島を含む能登地方にあった神社の祭礼日に生産物を持ち寄って物々交換し合っていたのがはじまりとされている。(※2)

千年を超える歴史のある輪島朝市では新鮮な魚や干物、わかめや岩のりなどの加工海産物や旬の果物や野菜。一個で大満足なおおきなおにぎりや山菜のてんぷらといったお惣菜。お箸や輪島塗などの工芸・民芸品などの200以上の店がずらりと並び、連日多くの観光客で賑わう。

その場所が、一夜にして姿を消してしまった。

2024年1月1日に発生した能登半島地震に伴い「輪島朝市通り」周辺で大規模な火災があった影響だ。テレビ朝日が行った取材に対して、周辺でお店を営んでいた方は “今は避難所に身を寄せているが様子を見に来てなんともいえない気持ちだ。もう立ち直れない” と話をしていたという。(※3)

自然はときに、一瞬にして全てを人間から奪う。今朝まで自分の全てがあった場所が一夜にして無くなったときの行き場のない怒りとも悲しみとも絶望ともいえぬ感情を筆者は想像することしかできない。一日でも早く、一人でも多くの人たちが、心から安らげる場所で寝起きできる日が来ることを心から願っている。

そしてそれと同時に「輪島朝市、能登にいつか行きたい」と強く今思っている。そう思っているということを朝市や能登半島地震における被災地の観光業で働く方々に伝えたくてこの文章を書いている。

輪島朝市のホームページにいくと、「出店者一覧」というページがあり、朝市の出店者の方々に向けたいくつかの質問への回答が見られるようになっている。

平床昌子さんは45年程朝市で働いている。朝は5時半に起きて、息子さんのお弁当を作り朝市の仕事をして午後は昼寝をしたり、休憩している。「朝市で働いて良かったことは?」という質問には、「全国の人達と知り合えること。特にリピーターさんが、『おばちゃん、また来たよ~!』と言って来てくれるのが嬉しいですね」と回答。

今門幸子さんは13年間、朝4時半に起きて朝市で働いてきた。「朝市で働いて良かったことは?」という質問には、「全国の人と話ができることです。自分の店のものはもちろん、朝市のおばちゃんの野菜や魚が全国の食卓にのっているのだと考えると感慨深いです」と答えている。

ホームページのトップには、朝市のテントが立ち並ぶ写真でも、魚やわかめなどの商品の写真でもなく、平床さんや今門さんのように朝市で日々働く方々の顔写真が並ぶ。

輪島朝市の人々

引用元:輪島朝市【公式】

私はここに並ぶ皆さんに会いに行きたい。会ってお金を直接払って物を買って、話をしたい。

旅には力がある。輪島朝市のある能登地域は毎年約770万人程が訪れるが、そのほとんどが金沢市内を拠点にした日帰りでの来訪者だという。(※4)日帰り滞在では、地域に落ちるお金は格段に少なくなる。訪れるならば、サポートしたい地域に泊まるのが一番だ。地域の宿に泊まり、地域のご飯を食べて、地域の人と話す。そうした行動が地域に力を与える。

もちろんまずは救命・救助活動、一人一人の心と生活やインフラの回復が第一優先だ。すぐに商いを始めてほしいとプレッシャーをかけたいわけでは全くもってない。

ただここに輪島朝市に行きたいと、能登地域を訪れたいと思っている人がいるということだけ伝えたかった。筆者の他にも、同じ想いの人はきっと多くいる。その事実が何か少しでも今の時間を過ごしていくための力になればと思っている。

読者の中に筆者と同じ気持ちの人がもしいれば、どんなかたちでも「いつか能登に行く」というメッセージをSNSなどで伝えてみてはどうだろうか。

(※1)国土交通省 北陸信越運輸局/「能登の誘客におけるwithコロナ時代の自然・文化・社会等に加えて地域貢献に高い関心のある観光客の誘客に向けた基礎調査事業
(※2)輪島朝市【公式】輪島市朝市組合/輪島朝市の歴史
(※3)テレ朝news/石川・輪島市 大規模火災“鎮圧”…朝市通りの惨状
(※4)国土交通省 北陸信越運輸局/「能登の誘客におけるwithコロナ時代の自然・文化・社会等に加えて地域貢献に高い関心のある観光客の誘客に向けた基礎調査事業

【参照サイト】輪島朝市【公式】

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飯塚彩子

“いつも”の場所にずっといると“いつも”の大切さを時に忘れてしまう。25年間住み慣れた東京を離れ、シンガポール、インドネシア、中国に住み訪れたことで、住・旅・働・学・遊などで自分の居場所をずらすことの力を知ったLivhub編集部メンバー。企画・編集・執筆などを担当。