小田急電鉄株式会社は9月7日、2050年に小田急グループのCO2排出量実質「0」の達成に向けて、「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定したと発表した。第一弾の取り組みとして、ロマンスカー・VSEを一定期間「ゼロカーボン ロマンスカー」として運行するとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言へ賛同を表明し、この提言に基づく情報開示を進めていく。
「小田急グループ カーボンニュートラル2050」は、「環境ビジョン」「環境長期目標」「環境戦略」の3つの柱で構成。事業活動を通じたCO2排出量の削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に取り組む行動指針を示している。
1つ目の「環境ビジョン」は、同グループは美しい地球環境とやさしい社会を未来の世代に引き継ぐことを使命とし、事業活動を通じてCO2排出削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に積極的に取り組んでいく。
2つ目の「環境長期目標」では、2050年CO2排出量実質「0」を目指し、その達成に向け2030年CO2排出量△46%(2013年比)を中間目標とする。
3つ目の「環境戦略」では、「脱炭素社会の実現」、「資源循環社会の実現」、「自然保全と活用」の3つを軸に、環境にやさしい公共交通へのシフトや、資源循環社会に向けた地域課題の解決など、計7つのアクションの実行を想定している。
上記達成に向けて、同グループ事業のうち使用エネルギー量の多い鉄道事業では、通勤車両の更新などの省エネ施策を進めるとともに、エネルギーの調達段階において再生可能エネルギーの比率を高めるほか、太陽光などで創発した電力を活用していく。
また、資源循環によるサステナブルな社会の実現を目指した施策の提供と、沿線に存在する自然環境を地域の貴重な資源として、守り続ける保全活動にも注力する姿勢だ。
最初の取り組みとなる「ゼロカーボン ロマンスカー」の運行は、鉄道事業における再生可能エネルギーの活用を推進する取り組みの一環である。運行期間は2021年10月~2022年2月までで、対象車両はロマンスカー・VSE(50000形) の2編成。期間中は、ロマンスカー・VSE2編成の運行に必要な電力相当分について、東京電力エナジーパートナー株式会社の「FIT非化石証書付電力メニュー」を使用し、CO2排出量実質「0」となる電力に置き換えるという。これにより環境にやさしい旅を提案する。
日本を含む124か国と1地域が表明する、2050年カーボンニュートラル実現に向け、国内でも多くの企業が温室効果ガス排出量の削減に向け動きを見せている。このたびの同社の取り組みが、旅客輸送事業において大きなインパクトとなり、公共交通機関を起点とした更なる環境負荷の軽減に繋がっていくことを期待したい。
【ウェブサイト】小田急グループ カーボンニュートラル2050
【ウェブサイト】小田急電鉄
【ウェブサイト】気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
松岡 のぞみ
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