“金沢の雨まで、旅の魅力に” を掲げるホテル「雨庵 金沢」、世界的なデザインアワードで金賞を受賞

「旅は晴れがいい」多くの人がそう思うであろう。しかし、雨は雨の良さがある。雨の日だからこそ、賑わう観光地が空いていたり、思いもよらないサービスを受けられたり。雨の雫が文化的情景を美しく映し出してくれることだってある。

古くから「弁当忘れても、傘忘れるな」と言われてきた街、金沢。それを逆手にとったコンセプトを持つ、素敵な宿がある。その名も「雨庵 金沢」。金沢の雨までも旅の魅力になる、そんな願いを込めて誕生したホテルだ。

金沢は、特別名勝・兼六園を代表として、金沢城跡や辰巳用水などの歴史資産や、伝統工芸が有名だ。今もなお、町屋やお茶屋遊びなど、古い文化や町並みが色濃く残る。雨の日には、「城下町金沢」の石畳が雨の雫で艶やかに輝き、兼六園の木々はより深々と緑を増す。

天気の良い日はもちろん良いけど、雨の日にも旅の魅力はたくさん詰まっている。「雨庵 金沢」では、雨が多い街であるからこそ、このホテルでしか鑑賞ができない体験やサービスを味わえる。

館内のラウンジでは、茶道が盛んな土地として知られる金沢のお茶を愉しめ、著名な作家の“雨”にまつわるアートを鑑賞できる。また、日本の伝統文化である、志野流香道の若宗匠が監修した特別な香りのおもてなしも体感できる。この香りは、金沢という土地の記憶を、香りの中に閉じ込めることを目的に、白檀とよばれる香木をベースに、桂皮・龍脳などの伝統的な和の香料や、キャロン・ペパーミントなど現代的な香料を計12種類調合して作られた。

館内のラウンジ「ハレの間」

著名作家の“雨”にまつわるアート

他にも、金箔、九谷焼、加賀友禅など古くからさまざまな工芸が盛んな金沢で、伝統工芸を体験することも可能だ。今も多くの工房やお店が残っており、雨の日には、室内でじっくり工芸の世界に浸れる。

この度、「雨庵 金沢」は、中国「C-IDEA Design Award」のプロフェッショナル・カンパニー部門に置いて“金賞”を受賞した。このアワードは、世界で毎年開催される審査制のデザインコンペティションで、コミュニケーション・デザイン、インダストリアル・デザイン、建築、インテリアなどの幅広いカテゴリーにおいて、先見性のある才能を評価される。今年は、世界51カ国から2072点の応募があった。

その権威ある賞を受賞した「雨庵 金沢」の内装は、土地性を最大限に取り込み、木質化し、エクスクルーシブな体験を提供する閉じられた設計を意識して作られている。ホテルに泊まるという行為自体が、金沢観光における文化体験価値になる。そんなホテルを目指し、建築からインテリア、アート、サービス、名称、ロゴ、サインに至るまで、クリエイティブディレクションを全て一貫して実現した。

雨庵 金沢の外観

企画・ブランディング・設計を手がけたのは、デザイン・ブランディング事業を行っている「株式会社セイタロウデザイン」と、商業空間やオフィス・店舗の建築及びデザイン事業を行っている「株式会社セイタロウデザイン金沢」の2社。運営は、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社が担っている。

今回の受賞に伴い、セイタロウデザインの代表は、「先日、久しぶりに雨庵に伺いましたが、現在の難しい市況間においても、安定した集客と評価を得られていること、宿泊客の満足度もSNSでの評判もとても高いことを聞きました。コンセプトを研ぎ澄まし、それを空間やサービスといった体験価値まで一貫して落としきったホテルのメッセージ性が広く社会に広がり受け入れてもらっていることを実感しました。加えて今回、改めてデザインとしても高い評価をいただき、とても嬉しく思っています」とコメントしている。

また、セイタロウデザイン金沢 代表は、「『C-IDEA Gold Award in 2020』受賞の知らせを聞き、金沢という雨の多い都市の特性を、観光の魅力として建築・デザインやサービスとして提供するこのホテルが、国境を越え、様々な方々に評価をいただいたことを大変嬉しく思っています。今後も建築はもちろん、その他、地域にまつわる魅力を十分に伝えられる建築やデザイン業務に真摯に取り組んでいきたいと思います」と述べた。

世界的にも稀有の文化的景観を築いている金沢は、美術館も多いことから、文化成熟度も高い。伝統文化に寄り添いながら、これからの文化を築く「雨庵 金沢」に、雨の日の旅を求めに出向いてはいかがだろう。

雨庵 金沢
住所 石川県金沢市尾山町6-30
電話番号 076-260-0111
予約 予約ページ

【参照サイト】雨庵 金沢
【参照サイト】C-IDEA Gold Award in 2020

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。