ありがとうであふれる島へ。コミュニティ通貨「まちのコイン(まーる)」で石垣島の魅力を新発見

「お手伝いしてくれてありがとう」
「プレゼントをくれてありがとう」
「遊んでくれてありがとう」

“ありがとう” この言葉は、時に人を笑顔にし、時に人を励まし、あらゆる人を幸せな気持ちにしてくれる。沖縄の方言では、「にふぇー」、石垣島や竹富島などから成る八重山諸島の方言では、「にーふぁいゆー」と地域や文化によって様々な呼び名がある。

沖縄県石垣島で、8月29日、「ありがとう」で人と人をつなぐサービスがはじまった。ひと・まち・地球にうれしい体験で地域をつなげるコミュニティ通貨(電子地域通貨)サービス「まちのコイン(まーる)」だ。石垣の自然・文化・人に触れる特別な体験を通して、島の新しい魅力を発見し、ありがとうが島にまわる温かいサービスとなっている。

手がけるのは、面白法人として名を馳せる株式会社カヤックの100%子会社で、石垣島に本社を構える「株式会社カヤックゼロ」。導入日のキックオフイベントでは、石垣市中山市長と鎌倉市松尾市長の対談や、ボーダレス・ジャパン社長田口一成氏とカヤック社長柳澤大輔氏の対談などが、オンラインで行われた。

石垣島をはじめ、竹富島や西表島など8つの島から成る八重山諸島は、透明度の高い海と豊かな自然を持ち、それぞれ島ごとに独自の文化が根付く。移住者や観光客からも人気が高く、島外からの人を多く受け入れ、調和しながらつくりあげてきた地域とも言える。一方で、島に元々住む島人は、生まれた時から島にいることで島の魅力を過小評価する人も少なくない。島人が島の魅力を再発見し、より島を好きになるにはどうしたらいいか。

そんな想いから「まーる」はできた。「まーる」での体験を通して、島人が島をもっと好きになることで、環境課題などに対してもより自分ごと化して取り組めるようになり、移住者を含めたコミュニティの活性も期待できるかもしれない。住民の間にありがとうが多くめぐる島は、観光客からも魅力的な島に映るだろう。

まちのコイン「まーる」では、島人も体験したことのないような新発見や、豊かな自然や文化を感じられるローカルな体験が用意されている。例えば、農園のオーナーが作った沖縄ならではのおにぎりが食べられる体験や、ゴミ拾いをしながら島を散策する体験など、SDGsに向けた取り組みも盛んだ。現在石垣島では、全国の平均と比べても、市民から出る廃棄物の多さが課題となっている。こうした体験ができるサービスがあることで、楽しみながら環境や島のことを考えるきっかけにもなるだろう。他にも、八重山ヒト大学の学長の日課である犬の散歩に同行できるといったユニークな体験や、農家さんと近代農業について語れる体験など、島人と島人、島人と移住者、島人と観光客が自然と仲良くなれるような機会が提供されている。

「まーる」の使い方や魅力を伝える、まーる大使に就任した「きいやま商店」は、こうコメントしている。

きいやま商店

この度、「まーる大使」に就任しました『きいやま商店』です。僕たち自身どうやって『まーる』を活用したら楽しく石垣のみなさんが使えるか模索中です(笑)。例えば、よく釣りに行って食べきれないから海に逃す魚を『まーる』でおすそ分けしたり、『まーる』でしか買えない『きいやま商店』のライブチケットを用意したり。お金で買えない特別な体験を色々考えています。ぜひみなさんからのアイデアもいただき、一緒に『まーる』で石垣島を盛り上げて行きましょう!

また、まーるアンバサダーに起用された、食肉加工、卸、販売を行う八重山食研のスーパー営業マンである桴海 功一郎(ふかい・こういちろう)さんも、「まーる」の魅力をこう述べている。

八重山食研のスーパー営業マン 桴海 功一郎氏

まちのコインを通して、お金では買えない体験などができ、人や文化、また島を支えている産業なども知ることができる。あらためて島の良さを発見できる活動だと思っています。観光客だけでなく、島のひとにもかなりオススメです!

まちのコイン「まーる」は、石垣市市街地および北西部で利用でき、現時点(2021年8月26日現在)の加盟店舗は34件。酒造、飲食店、農園、観光会社など多岐に及ぶ。

利用方法は、コミュニティ通貨「まちのコイン」アプリをダウンロードし、利用したいスポットにチェックイン。お店のお手伝いやイベントに参加したらコインがもらえる。コインはお店でスペシャルなメニューやプライスレスな体験と交換することもできる。

もらう時も、あげる時も「ありがとう」があふれる、まちのコイン「まーる」ならではの特別な体験で、わくわく、ドキドキ、お金では買えない幸せを体感してみてはいかがだろう。

【参照サイト】まちのコイン石垣

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。