町長の家に泊まり、朝食をいただく。北海道清水町町長がAirbnbのホストに!

清水町 町長

「一泊ではございましたが、町長が羨ましいという気持ちになりました。今朝、朝食をいただいたのですが、お庭で採れたお野菜のサラダだったり、レストランのような朝食でした。ご自宅もすごく素敵で、本当によい時間を過ごさせていただきました」

6月29日、北海道清水町と世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームAirbnbの日本法人は、民泊を活用した地域経済の活性化に向けて連携協定を締結した。Airbnbが自治体や観光関連の公的機関と協定を結ぶのは今回で10件目となる。

冒頭のコメントはAirbnb Japan 代表取締役 田邉泰之さんのコメントだ。今回の連携を踏まえ、清水町は全国初の取り組みの一つとして、町長自らがAirbnbのホストとなることを発表した。現状、本件の実施に向けて住宅宿泊事業法の届出をしており、近日中にAirbnbに町長の自宅が登録される見込みだ。

清水町 町長 ご自宅

画像:清水町 阿部町長ご自宅

登録に先立ち、6月28日の夜、清水町の町長である阿部一男さんのご自宅に、登録前ではあるがゲストお試し第一号として宿泊したのが、Airbnb Japan 田邉社長。

連携協定発表の記者会見時、司会に「町長、初めてホストをした感想はいかがでしたか?」と聞かれ、阿部町長はこう答えていた。

「そうですね。本当に町長になってから5年が経つんですけれども、この展開は全く予想していないような展開でした。昨夜は外食の後、田邉さんや皆さんに家にきてもらって、色々なことをお話させていただきました」

「朝食は、なるべく新鮮なものをと思い、帽子をかぶって自宅の庭に朝早くから野菜を採りに行きまして、春菊の天ぷら、サラダ菜、ほうれん草、小松菜など出させていただきました。これからもシーズンにあえば、自分の家の野菜を出したいなと思っています」

「それなりに大変なところもありましたけれども、楽しい時間を過ごさせていただきました。友人を招くような形で、普通のホテルとは違った、家庭的なところも出せればと思っております。色々とありがとうございました」

こうした取り組みが行われることになった背景には、清水町の長年の課題が関係していた。

円山展望台

画像:円山展望台

北海道清水町は、北海道のほぼ中央に位置し、今後、国立公園化が予定されている日高山脈から、十勝平野に広がる美しい農村風景が広がる町。しかし、全国的な人口減少の波には逆らえず、ピーク時には約18,000人いた人口も、現在は約9,200人と減少の一途をたどっており、様々な要因から商店の閉店や、空き家等の遊休不動産が増加し、社会問題化している。

「北海道清水町は、以前は『通過型』の観光地といわれていました。私が町長になってからは、『休憩型』の観光にしようと、移動の途中に寄ってもらえるように整備を行い、結果ドライブインなどに移動の休憩時に立ち寄って頂けるようになりました」

「しかし宿泊施設が清水町には不足していることもあり、宿泊者は別の地域に行ってしまい、限られた金額しか地元には落ちていかないという問題点が現状もあります」

清水町でホテルや旅館など、観光客向けに稼働している宿は4軒。その中でインターネットで予約できる宿は1軒しかない。清水町に泊まりたいと思っても、宿の情報に辿り着けず、宿の有無を確認するために役場に電話で問い合わせが来ることもあるという。

「Airbnbと連携を行い、宿泊機能を整備・強化することで、清水町に泊まりに来てくれる人が増えてくれればと思っております。かなり迷いましたが、自分が旗振り役になれればと思い、ホストに挑戦するという決断をしました」

阿部町長 ご自宅

清水町は、町長自らがAirbnbのホストとなることに加え、こちらも全国で初めて、自治体職員が副業として自宅を民泊活用しAirbnbホストとなること、そして自治体が運営する移住体験住宅をAirbnbに掲載することを発表した。

私たちの頭にぱっと浮かぶ有名観光地以外にも、日本全国に素敵な場所があることをAirbnbは気づかせてくれる。町長や自治体職員自らが旗を振り、地域を盛り上げようとするそんな素敵な地域、北海道十勝清水町。ぜひ、訪れてみてほしい。

【参照サイト】Airbnb
【参照サイト】北海道十勝清水町 ホームページ

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飯塚彩子

“いつも”の場所にずっといると“いつも”の大切さを時に忘れてしまう。25年間住み慣れた東京を離れ、シンガポール、インドネシア、中国に住み訪れたことで、住・旅・働・学・遊などで自分の居場所をずらすことの力を知ったLivhub編集部メンバー。企画・編集・執筆などを担当。