中国の大手OTAであるCtrip(シートリップ)は8月26日、外国人旅行者誘致の促進を目的に、愛知県と協定を締結したことを発表した。同社が都道府県と連携協定を締結するのは、北海道、横浜市、高知県に続き、今回が4番目であり、中部地方では愛知県が初となる。
Ctrip(シートリップ)は、中国発のOTAであり会員数3億人という世界第3位の規模を誇る中国国外向けOTA「Trip.com」を運営する企業だ。「Trip.com」は、世界中の23の市場をカバーする19ヶ国語対応のウェブサイトとアプリを通じて、旅行商品のワンストップ予約サービスを提供。現在、提携ホテルは世界200ヶ国120万軒、フライトは200万ルート、5,000都市を網羅しており、中国でもっとも有名な旅行ブランドとして知られている。
このたびの協定締結に至った経緯には、団体から個人へと変化する中国人旅行者の旅行スタイルと、中部エリアの玄関口として多くの国際線が乗り入れる中部国際空港の存在がある。
中国では現在、上海や北京といった大都市を中心に、団体旅行から個人旅行へと旅行スタイルが変化。さらにインターネット上で航空券やホテル等を予約する旅行者が増加している。また、愛知県にある中部国際空港・セントレアは現在、中国をはじめタイやシンガポール、ベトナムなど、数多くの国際線が運行しており、訪日外国人観光客にとって愛知県はアクセスしやすい県だと言える。現に、昨年愛知県を訪問した外国人旅行客のうち、約55%を中国人旅行者が占めたという。
今回の連携協定により両者は、中国市場等での愛知県の観光情報の発信やプロモーション、中国市場等に訴求できる愛知県の観光コンテンツの開発など、計5つの取組みを実施する。
シートリップ最高マーケティング責任者である孫波(ソン・ハ)氏は「トヨタ自動車で有名な愛知県ですが、中国人旅行者にはまだ馴染みがない。今回の協定を通じて、愛知県ならではの旅行プラン等を提供することで、中国人旅行者の増加につなげたい」とコメントした。

左:Ctripグループ 日本代表 蘇俊達(ソ・シュンタツ)氏、中:愛知県知事 大村秀章氏、右:Ctrip CMO 孫波(ソン・ハ)氏
日本政府観光局(JNTO)が発表した「訪日外客数(総数)」によると、中国からの訪日客数は2019年7月の単月で100万人を突破するなど過去最高を記録した。今後も中国人観光客は拡大するとみられることからも、中国最大手OTAの同社と自治体が連携することで、地方の集客拡大は十分に見込めるだろう。
今後も同社と自治体との連携が広がり、都市部だけでなく地方にインバウンドニーズがさらに拡大することにも期待がかかる。
【ウェブサイト】Trip.com
【ウェブサイト】Ctrip
【ウェブサイト】2019年 訪日外客数(総数)
(Livhubニュース編集部)


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