サウジアラビア、自然を生かした再生型観光プロジェクト「コーラル・ブルーム」のコンセプト発表

ザ・レッド・シー・デベロプメント・カンパニー(TRSDC)の会長を務めるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、再生可能な高級リゾート「コーラル・ブルーム・プロジェクト」のコンセプトを発表した。設計は、世界的に有名なイギリスの建築設計事務所フォスター・アンド・パートナーズが担当する。

プロジェクトは、サウジアラビアの西海岸に沿う28,000㎢の土地と水域で開発が進められており、90以上の島々からなる広大な群島が含まれる。島には、山間の渓谷や休火山、古代の文化遺産などが存在し、プロジェクトの中心となる島は「シュライラ島」となる。

イルカの形をしている美しいシュライラ島には、壮大なマングローブや数多くの絶滅危惧種が生息する。それらの自然を破壊しないよう、砂浜の自然浸食も最小限にとどめる配慮をしながら、ホテルをはじめ住宅物件やレジャー施設、商業施設などを建設していく。これらは、再生可能エネルギーを利用し、水の保全と再利用を重視したインフラをサポートする施設にもなる。

現在、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた観光業では、新たな旅行の形態を促す取り組み「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」が注目されている。TRSDCは、再生型観光に積極的に取り組んでおり、「コーラル・ブルーム・プロジェクト」の開発もその一環で行われる。なお、同社はサウジアラビアの公的投資基金が100%出資する非公開の株式会社として、プロジェクトを推進するために設立された。

島には、現在11軒のホテルが建ち並ぶ。いずれも世界で有数のホテルブランドが運営しており、すべてのホテルとヴィラは、島の自然の景観をドラマチックに演出し、景観の中に溶け込むように配置している。高い建物は排除し、壮大な景色を思う存分楽しめ、島ならではのゆったりとした時の流れとともに、ゲストを神秘的な世界に誘う。

同社のCEOジョン・パガーノ氏は「サウジアラビアでしか見られない素晴らしい動植物からインスピレーションしたコーラル・ブルームに訪れる人々は、目にするものすべてに心を揺さぶられ、贅沢な体験を存分に楽しんでいただけるだろう」と述べている。

ホテルのデザインは、ポストコロナ時代に適応するべく、広いスペースを確保し、廊下を配置しないなど、昨今の宿泊客の要望に沿った設計も取り入れている。

ウェルカムラウンジ

ウェルカムラウンジ

そして何よりも「リジェネラティブ=再生」をテーマとする自然に配慮した取り組みが最大の特徴だ。リゾートには軽量で熱量の少ない素材を使用し、素材は離れた場所で製造することでエネルギー効率を高め、環境負荷を低減する。ほかにも、新しく作られるビーチやラグーンで、土地の高さを上げることで、世界的な海面上昇の脅威に対する防衛策に貢献する。これは、生き物の貴重な生息地や海岸の自然を損なうことなく、島にすでにあるものを維持し強化することにつながる。

フォスター・アンド・パートナーズのスタジオ責任者であるジェラルド・エベンデン氏は「私たちが使用する素材や環境への影響を最小限に抑えたデザインは、島の自然環境の保護を保証する。それと同時に、加えられるものは、すでにそこにあるものを引き立てるように設計されている。よって、コーラル(珊瑚)・ブルーム(咲く)という名が付いたのだ」と述べている。

ホテルイメージ

ホテルイメージ

TRSDCは、2040年までに希少種保全効果30%UPの実現を図る。具体的には、世界最大規模の地域冷房プラントを建設し、24時間体制で再生可能エネルギーを利用することで、観光地全体を効率的に集中冷房することを目指す。これは、世界最大の蓄電システムに支えられ、観光地全体が再生可能エネルギーでまかなわれることを意味する。

コーラル・ブルーム・プロジェクトでは、2022年末までに国際空港と初めの4軒のホテルをオープンし、2023年には第1段階として計画されている残りの12軒のホテルを開業する予定だ。2030年の完成後には、コーラル・ブルーム・プロジェクトは50のリゾートで構成され、22の島々と6つの内陸部の敷地には、最大8,000室のホテルと約1,300軒の住宅物件、そして高級マリーナやゴルフコースなどを整備する予定だ。

TRSDCのCEOジョン・パガーノ氏は「世界の模範となるべくシュライラ島は、コーラル・ブルームの玄関口として、画期的な建築とサステナブルなデザインの世界的なスタンダードとなることを目指す。これは、単に環境を保護するだけでなく、リジェネラティブなアプローチを適用することによって達成される」としている。

【ウェブサイト】ザ・レッド・シー・デベロプメント・カンパニー

(Livhubニュース編集部)