観光は問題ではなく解決策になりえる。再生型旅行のアワードにバリ島のエコホテル「Mana Earthly Paradise」が選出

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観光という二文字からどのような景色を想像するだろうか。浅草の雷門、ハワイのワイキキビーチ、バリのウルワツ寺院、パリのエッフェル塔。現在は新型コロナの影響もあり人流に落ち着きが見られるものの、それ以前まではどこも多くの人で溢れ、皆どこか日常とは異なる景色にワクワクしながら、名所の前で写真を取るなどしていたことと思う。しかし楽しげなその景色から視線を少しずらすと、道端のゴミ箱には多くのゴミが捨てられ、近隣住民は観光客がもたらす騒音や交通渋滞、混雑に悩まされるなど、観光に起因する多くの問題が目に入る。

観光は社会や環境に対して、問題の側面がどうしても強くなってしまうものなのだろうか。答えは否。昨今世界中で、観光を問題を解決する方法としていくために、様々な取り組みが行われているのだ。その一つの方法として言われているのが「リジェネラティブトラベル/ツーリズム 再生型旅行/観光」だ。再生の名の通り、旅を通じて環境や社会を積極的に再生していくといったものである。

リジェネラティブなホテルや体験の情報を取り扱うプラットフォームである「Regenerative Travel」が9月1日、「The Regenerative Travel Impact Awards 2021」と題してリジェネラティブな精神を体現する人々やプロジェクトを表彰するアワードのファイナリストを発表した。

アワードには、Regenerative Hotel of the year(リジェネラティブホテル)、Community(コミュニティ)、Health and Wellness(ヘルス&ウェルネス)、Education(教育)、Climate(気候)、Conservation(保護)、Food and Agriculture(食べ物と農業)、Regenerative Travel Initiative of the Year(リジェネラティブトラベル主導)、Regenerative Activist of the Year(リジェネラティブ活動家)と、9個の部門がある

この中でもRegenerative Hotel of the year部門において、インドネシア バリ島を拠点とする濱川 明日香さん、濱川 知宏さんが共同設立し、2人が創設した一般社団法人Earth Companyが運営する「Mana Earthly Paradise(以下、Mana)」がファイナリストに選出された。

最終選考に残ったホテルは、社会や環境に良い影響を与えるために、ホスピタリティにイノベーションを起こし、変化の触媒となっているといった理由から選出されている。

Manaの運営団体であるEarth Companyでは、次の世代に残せる未来を創造するといったビジョンのもと、社会変革を起こす人と団体を支援・育成する事業を現在4つ行っている。そのうちの一つが、バリ島エコホテル事業であり、泊まるだけで社会貢献ができる次世代のエコホテル「Mana Earthly Paradise」だ。

バリ島では、観光客は1日に2,500リットルの水を使い、3.7kgのゴミを出すのに対して、地元の人々は1日に水を180リットルしか使わず、0.7kgしかゴミを出さないという。観光によってバリ島に住む人々は水不足そしてゴミの処理に悩まされているのだ。Manaは、持続可能なアクションと革新的なエコテクノロジーを駆使することで、観光はこのような社会・環境問題を引き起こす要因ではなく、解決策になりうると信じている。そして2019年、問題ではなく解決策の一部になることを目指して、観光産業が80%を占めるバリ島の経済における持続可能性を再考、再定義するために設立された。

Manaはできうる限り全ての点において、リジェネラティブな取り組みを行っているとRegenerative Travelでは紹介されている。ホテルの施設は全て、インドネシア中から集めた廃材と竹を利用し、木を新たに一本も切ることなくアースバック方法と呼ばれる自然な建築方法で建設。100%太陽光発電による照明、自然換気、節水シャワーヘッドや節水トイレ、シャンプーなどソープ類は環境に配慮したものを使用している。

また、地元の貴重な水資源を奪わないよう、施設内で使う水は全て、雨水を貯水しタンクで濾過して循環させており、キッチンや浴室から出た廃水は、施設内の植物の栽培に活用している。レストランでは主にManaが管理するパーマカルチャーガーデンで、次世代に生命をつなぐエネルギーを持つ在来種の種を自然農法で育てた食材を使用しており、食べ残しなどは農園の肥料にし、「Farm-to-Tabel-to-Farm 農場から食卓そして農場へ」という循環型の仕組みを実現している。

Regenerative Hotel of the year部門の他のファイナリストとしては、カナダの小さな島フォゴ島の社会的、経済的、生態学的な回復を促進するためのソーシャルビジネスとしてスタートした「Fogo Island Inn」、ルワンダとウガンダでゴリラやチンパンジーなどの野生生物を保護する活動を観光やロッジの事業を通して行ってきた「Volcanoes Safaris」、​​ジャマイカのネグリルという町に位置する「Rockhouse Jamaica」、アンデス山脈の自然保護区にある熱帯雨林を森林破壊から守るために作られた「ChocóMashpi Lodge」が選出されている。

Manaが言うように、観光が問題ではなく解決策の一部となるように、世界中のこうした取り組みを学びながら、旅行者として私たちにできること考えていきたい。

【参照サイト】Regenerative Travel Impact Awards 2021
【参照サイト】Regenerative Travel The Regenerative Travel Impact Awards 2021 — Regenerative Hotel of the Year ​
【参照サイト】Earth Company
【参照サイト】Mana Earthly Paradise

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飯塚彩子

“いつも”の場所にずっといると”いつも”の大切さを時に忘れてしまう。25年間住み慣れた東京を離れ、シンガポール、インドネシア、中国に住み訪れたことで、住・旅・働・学・遊などで自分の居場所をずらすことの力を知ったLivhub編集部メンバー。企画・編集・執筆などを担当。

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