2024年2月、世界最大の祭りと言われるブラジルのカーニバルを体験するためにリオデジャネイロを訪れた。4日間みっちり、カーニバルを堪能した記録を残していく。
ストリートカーニバル「blocos」でローカル体験
blocosとは、リオをはじめ、様々な都市の街中で行われるストリートカーニバルのことだ。
地元の人曰く「私たちはわざわざチケットを買ってスタジアムになんて行かない!無料でblocosを楽しむ!」のだという。
当日、朝6時。眠い目をこすりながら一緒にblocosに行く予定の友人の家に向かう。blocosにはいろいろな種類があるが、早いものの開始はなんと朝8時。その前にコスプレやメイクアップを済ませなければならない。友人2人が可愛らしいバニー姿のコスプレに着替えるなか、私とパートナーも顔中にラメを塗ったり、耳付きのカチューシャをつけたりと準備をした。
blocosの行われるストリートに向かっている途中、目に入ってきたのは水着同然の露出度で外を歩く人々。確かにリオは真夏の気温とはいえ、若者からおばあちゃんまでみんな下着同然の服装でいることに驚く。昨日まで多くの人が普通に服を着て電車に乗り、道を歩いていたというのに…。
リオの街だけでもblocosは無数に存在する。それぞれのblocosには方向性やコンセプトがあるらしく、それらを参考に人々は参加するblocosを選ぶらしい。我々が選択したのは、貧富の差に関係なく多くの人が参加する伝統的なものだったが、他にも子ども向けやLGBTQ+フレンドリー、富裕層向けなども存在するそうだ。
blocosに近づくと、バンド隊の大きな音楽が耳に入る。どうやらこのblocosは、道を行進しながら歌ったり踊ったりするスタイルらしい。多すぎるくらいの人々の波に飛び込み、灼熱の太陽光を浴びながら練り歩く。大きな太鼓の音とともに、底なしに明るい音楽が心臓に響く。
朝8時だと言うのに、片手にジン、ビールを持つ人々で溢れていた。バンドに合わせて歌を歌いながら踊る。狭い道をぎゅうぎゅうになって歩くため、隣の人との距離はまるで東京の朝の満員電車のようだ。これは確かに暑すぎて服は着ていられない。
2時間ほど行進し続けて我々が疲労困憊しても、まだblocosは終わらない。およそ2〜3時間、ときにはもっと続くこともあるそうだ。そして1つのblocosが終わると、また別のものに移動する…と言うことを夜まで繰り返す。
パートナーが突然ふらふらと私の肩にもたれかかってきた。どうやら目の前が真っ白になり、立っていられなくなったらしい。熱中症だ。友人たちに別れを告げ、11時ごろ早々にホテルまで退散した。
ブラジルの方々の底なしのエネルギーを見せつけられたのだった。
朝焼けまで続く!?カーニバルのパレード
複数のblocosを何日かにわたり体験した後、サンボードロモというスタジアムで行われるカーニバルのパレードに参加した。
各チームには数千人のチームメンバーが存在し、装飾や舞台装置、衣装や踊りまでチームメンバーで賄う。優勝したチームには数億円とも言われる賞金が与えられるため、メンバーは1年間カーニバルのために時間をかけて準備をするそうだ。
カーニバルの開始は夜9時。座席エリアは決まっているが、自由席形式のため7時に入場する。
席の周りには日本人のツアー客と思われる人や、外国人も多く座っていた。
パレードが始まり、花火と大音量の音楽と共に、最初のチームがやってくる。私が想像していたパレードはディズニーランドのエレクトリカルパレードのようなものだったが、実際はその10倍とも言えるボリュームと派手さだった。パレードは1チームあたり60分続く。その間ずっと音楽は鳴り止まず、踊りとパフォーマンスが続く。
これでもかと言うほど派手さを詰め込んだパレード。60分経ったところでお腹いっぱいだと思ったが、なんとこれがあと6組分も続く。つまり、このパレードが全て終わるのは午前4時なのだ。
3組が終了したあたりで深夜1時を迎え、連日blocosを体験していた私の体力は限界に達していた。最初の方は楽しんでいたものの、ついに座りながらうとうとするようになってしまった。
隣の席にいた、ブラジルの南方エリアから毎年このパレードを観に来ていると言うおばあちゃんの様子を観てみる。おそらく50代くらいの方だと思うが、1組目の時から全く変わらない様子で楽しそうにパレードを応援している。若者だけでなく、どの年代も信じられないほどの体力を抱えている国、ブラジル。
時間が押しに押して、ようやく最後のチームが出場する頃には、空が明るくなっていた。全てが終わったのは朝6時ごろ。他の国にも祭りはあるが、ブラジルのカーニバルが世界最大の祭りと言われる理由がわかった気がした。
「私はまたこの国に滝のようなエネルギーを浴びに帰ってくるだろうな」とブラジルを離れる飛行機の中で思ったのだった。
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本記事ライターは、世界中のローカルなヒトと体験に浸る世界一周旅中。
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