荒々しくも押し寄せる海を眺めながら、その背景には富士の絶景。
そして、何本も何百本も生い茂る松の木の大群。
ここは富士山世界文化遺産の構成資産に登録されている「三保松原」。
天女が舞い降りたと言い伝えられる「羽衣伝説」としても名高い景勝地だ。
この三保松原の美しい景観を守るために、新たな観光の形が芽吹き始めた。
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世界各国の様々なツアーを提供するベルトラ株式会社は、2025年1月8日から一般社団法人三保松原3ringsプロジェクトと共同で、世界遺産「三保松原」での松葉かき体験付きガイドツアーの販売を開始した。
このツアーは、静岡産業大学との産学連携プロジェクトの第一弾として企画されたもので、観光客が単に景色を楽しむだけでなく、地域の保全活動に直接参加できる新しい形の体験型観光を提案している。

富士の絶景が望める「三保松原」
三保松原は静岡県清水区の三保半島に位置し、その美しさから日本初の名勝に指定された景勝地だ。日本新三景や日本三大松原の一つに数えられ、2013年にはユネスコ世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉-」の構成資産として登録された。古くから和歌や絵画の題材として親しまれ、日本文化の象徴的な景観として国内外から多くの観光客を魅了している。
松葉かきで世界遺産を守るツアー
ベルトラが掲げる三保松原のツアーは、単なる観光にとどまらない、地域貢献型の体験を提供する。参加者はまず、ガイド付きで三保松原の景観を散策し、その歴史や文化的意義について学ぶ。その後、地元の人々と共に松葉かきなどの保全活動に参加。これにより、訪れるだけでは知ることのできない松林が抱える課題や、景観保護の重要性を体感できる。
ツアー参加者は、以下のようなアクティビティを楽しむことができる。
1)三保松原の散策
地元ガイドの案内で三保松原を散策。この散策中に、三保松原の歴史や、世界遺産の構成資産となっている理由、羽衣伝説などについて学ぶことができる。羽衣の松や浜の見学、写真撮影も可能だ。

2)松葉かき体験
ツアーのメインアクティビティとして、参加者は実際に松葉かきを体験。実は、松は痩せた土地で育つことができるが、自らの落ち葉によって足元の土壌が豊かになると、その役割を終えて次第に枯れていってしまう。そのため、松葉かきは松を守るためにもとても大切な作業となる。

3)静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」見学
三保松原の玄関口の施設として建つ、「みほしるべ」。ここでは、名勝及び世界文化遺産「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産としての価値や魅力、松原保全の大切さを知ることができる。

ツアーは毎週土曜日の午前中に開催され、所要時間は約2時間。参加費は3,500円。静岡産業大学の学生たちもツアー内容の企画や販売ページの作成に協力しており、若い世代の視点も取り入れられている。
また、ツアーでは松葉かき体験を通じて、地元の人々と交流できるのも魅力だ。
一般社団法人三保松原3ringsプロジェクトとは
2022年に設立された一般社団法人三保松原3ringsプロジェクトは、「1000人のチカラで1000年先まで三保松原の景観を守る」ことを目指している。この団体は、三保松原の景観保護に必要な保全活動に多くの人が継続的に参加できる仕組みづくりに取り組んでいる。

白砂と松林、そして富士山の絶景が織りなす名勝「三保松原」。ここを訪れる人々は、この類い稀のない美しい景観に魅了され、何百年も何千年先もこの景色を守りたい、そんな気持ちになるだろう。
ぜひ自分の手で未来をへとつなぐ体験をしてみてはいかがだろう。
【参照サイト】ベルトラ、一般社団法人三保松原3ringsプロジェクトと共同企画ツアー「三保松原」松葉かき体験付きガイドツアーを販売開始|PRTIMES
【参照サイト】ずっと残したい!日本が誇るこの景色 ~世界遺産・三保松原を守る一員になりませんか~ <午前半日 / 三保の松原観光・保全活動 / お土産付き>|【VELTRA-ベルトラ】
【参照サイト】一般社団法人三保松原3ringsプロジェクト 公式HP
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