かつての秋山郷で何があったのか。7月11日〜12日、廃村の地をめぐる食の旅ツアー開催

“秋山郷”

長野県と新潟県の2県から成り、苗場山麓の湧水と自然の恵みが豊かな里山。日本の秘境と呼ばれるほど美しい自然が色濃く残る地域だ。

そんな美しき秋山郷には、1700年代からの食料飢饉により廃村となった集落が存在する。

かつてこの地で生き抜くために、人々は山菜やキノコ、野生肉を採取し、「食の保存」という手段を使い越冬していた。しかし環境変化と天候不順により農作物が収穫できず、自然の恵みに頼れない年が続き、食糧難によって村は消滅した。

越冬を前にして食料が足りなくなり、飢えに耐える心境はどのようなものだったのか…。

秋山郷に生きる人々の忍耐強さ、日本人の気質、自然の豊かさを垣間見る旅が、この廃村の地で、7月11日(月)から7月12日(火)の2日間開催される。飢饉によって廃村となった地をめぐり、当時の食を探しながら雪国に伝えられてきた食文化、マタギ文化に耳を傾ける1泊2日の旅だ。

1日目は、天保の飢饉において2軒の家が消滅し、廃村になった「甘酒村跡」へ。当時の食をつないだ栗の木を直に目にし、天明の飢饉は乗り越えたものの、天保の飢饉は乗り越えることができなかった謎に迫る。

夕食は、「マタギの宿 出口屋」にて。宿を営む福原さんは、代々マタギ(厳しいしきたりを守りながら集団で狩猟を行う者)を受け継いでおり、苗場山の登山ガイドまでこなす秋山郷の山を知り尽くしている人だ。

自然に向き合い、山と呼吸を合わせ、山の恵みをいただく。そうした食べることの本質をマタギの話を聞きながら感じ入る。

夜は、「小赤沢温泉楽養館」へ。豊富な鉄分が含まれている赤褐色の温泉で、里山らしい鄙びた雰囲気のつくりに、心がホッと落ち着く。温泉の濃さが感じられるごつごつとした浴槽に浸かり、自然と湧き出る出湯を心ゆくまで堪能して。

2日目は、天池・布岩の景勝地散策や、天明の飢饉により8軒の家が消滅し、廃村となった「大秋山村跡」をめぐる。ランチは、長野県栄村で暮らす「地層食堂」にて。食材が手元に届くまでのストーリーをコンセプトにしており、地域の食と美を地層のように表現した食事をいただける。​

参加費は、大人1名36,000円(税込)。宿泊費と、夕食・朝食・ランチ代が含まれる。往復の交通費と温泉代は自費。なお、宿泊先は周辺民宿へ分散される。

当時の秋山郷で何があったのか。廃村を通して、飢えに耐える人々の力強さや自然の豊かさを垣間見れる、食の旅へ出かけてみては?きっと、現代の私たちに大切なメッセージが残されているはず。

残席わずかなので、気になる方はお早めに。

【参照サイト】「廃」を巡る食の旅 | サスティナブルツーリズム秋山郷実行委員会|HAPPY COMPANY

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明田川蘭

大の旅好き&温泉好き。一人で海外へ、一人で車を走らせて日本の名湯へ。アフリカ大陸と北極南極以外に降り立ち、行った国は30を越え、巡った温泉地は100を超える。沖縄観光メディアの編集者やホテルメディアの立ち上げ経験あり。「旅は人の心を豊かにする」と本気で思い、記事を執筆している。