「タバコの吸い殻が落ちてた!ラッキー!」
令和元年度の日本のごみの年間総排出量は約4,274万トン。これは東京ドーム約115杯分もの量で、1日1人あたりに換算すると918gのごみを捨てている計算だ。(※)どうにかして、ごみを減らし、ポイ捨てをなくしたいとはいえ、ポイ捨て禁止!環境のためにもごみを拾おう!とただ問題を訴えても、なかなか行動変容を促すのは難しい。
そこで生まれたのが、フジテレビの人気番組「逃走中」と「ごみ拾い」を融合させた、「清走中」というイベント。
街中のごみを集めながらLINEで通達されるミッションをクリアして、攻略を目指すゲーム感覚のごみ拾いイベントだ。街に落ちているごみがアイテムに変わり、街全体がゲーム空間となるような体験をすることができる。その体験の中で聞こえてきたのが冒頭の発言「タバコの吸い殻が落ちてた!ラッキー!」である。過去のそのイベントにおいては、タバコの吸い殻は、ごみ拾いが便利になる道具をゲットするための通貨として機能していたのだ。

これまで長野県内で計11回開催され、参加者は延べ700名を超え、累計400kgを超えるごみを回収してきた。イベントに参加した子供たちは、夢中になってごみを拾い、「こんなごみを拾ったよ!」と楽しく語る姿も見られた。
清掃中の主催となる北斗優斗さんは、現在18歳。ごみ拾いの楽しさを広めるために、自身が高校2年生の頃に学生団体を立ち上げた。清掃中の立ち上げのきっかけとなったのは、偶然テレビで見た「海洋ごみの問題」についてだ。世界中の海がごみだらけになっている惨状を知り、さらには、幼少期を過ごした神奈川県の江ノ島のビーチが一面ごみだらけになっていることに衝撃を受けた。
そこで、彼はひとりでゴミ拾いを始めた。ある時は、草むらの中に落ちているゴミを見つけ、ペットボトルやお惣菜のパックなど大きなゴミを拾えたときはなんだかワクワクした。ゴミ拾いの楽しさに目覚めたのだ。そんな彼は、わずか高校生ながら学生団体を立ち上げ、長野県では地元メディアでも多く取り上げられることとなる。しかし、そこで違和感を感じる。
「ゴミ拾いしてるなんて偉いね!」
誰かに褒められたくてやっているわけではない。そんなモヤモヤを抱え、何とか多くの人を巻き込んでごみ拾いの “楽しさ” を広められないか。そして生まれたのが、昔から大好きだった「逃走中」とごみ拾いを組み合わせた「清走中」なのだ。
現在、彼は長野県内だけでなくもっと多くの地域でごみ拾いの楽しさを届けたいと、クラウドファンディングに挑戦中だ。活動資金300万円を目標に、日本全国で清走中を開催したいと考えている。
【18歳の挑戦】ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」を、全国に広めたい!|GoodMorning
「清掃中のゲーム性にピッタリな地域がたくさんある。日本全国をゲームエリア化し、清走中を開催し続ければ、街がきれいになるだけでなく、将来ポイ捨てをしてしまう人を少しでも減らせるのでは無いかと思っている」と北斗さんは言う。
清走中は、各テレビ番組でも取り上げられており、 環境省 独立行政法人環境再生保全機構 国連大学サステイナビリティ高等研究所主催の「全国ユース環境活動発表大会」にて特別章を受賞した。大学教授や環境活動家、プロゴルファー、画家など各界で活躍されている人たちから応援コメントももらっている。
ゲーム感覚で楽しくごみ拾いができ、地球もきれいになる「清走中」。これから開催されるイベントを通じて、ワクワク楽しんでごみを拾ってみてはどうだろうか。
【参照サイト】清走中
【参照サイト】(※)一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について|環境省

明田川蘭

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