宮崎県児湯郡新富町の一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(以下、こゆ財団)が12月1日から同町への移住を検討している人を対象とした「お試し移住サービス」を開始している。定住人口とは別に地域と関わりを持つ「関係人口」の増加を主眼にしており、希望者はJR日向新富駅から徒歩1分の民泊施設を無料で利用することができ、同町での暮らし方や働き方を探ることができる。
こゆ財団は2017年4月に同町が旧観光協会を法人化して設立した地域商社だ。「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンのもと、行政では成し得なかったスピード感で「特産品販売」と「起業家育成」を行い、地域経済の創出に取り組んでいる。これまでに1粒1,000円の国産ライチのブランディング・販売や、起業家育成事業などを実施。12月1日時点で事業を通じて同町へ14人が移住しており、他の自治体からも注目されている。
宿泊施設「新富ノ家」は12月に民泊としてオープンしたばかり。2つの和室にキッチン、バスルームを備えた一軒家だ。駅前にはバス停や無料駐車場があり、エリア内にある財団のオフィスではサイクルシェアも実施し、電動自転車を手軽に利用できる。徒歩圏内にはコンビニや温泉施設もあり、不慣れでも町内の移動は便利だ。移住希望者の最優先の関心事である働き方・暮らし方、町のありようなどについて、短期間の滞在でも多くの情報が得られるよう配慮している。
財団の設立から2018年12月までの間、関係人口創出や人財育成などを目的に、東京都内で計16回の講座やイベントを開催し、のべ456名が参加した。実際に来訪し、滞在した例も数多くある。毎月第三日曜に開催している「こゆ朝市」に合わせて来訪するケースが増えており、朝市を通じた関係人口は1年半で8000人以上に増加している。一方、宿泊施設が限られている町ではイベントとの日程重複や、宿泊施設の都合などによって制限もあった。このため民泊を活用し、課題を緩和することを目的に今回のサービス開始に至った。
現在は移住者と連携し、丘陵地域にある古民家をゲストハウスとして利活用するプロジェクトも進んでいる。一帯は日本遺産に認定された新田原(にゅうたばる)古墳群や、全国茶品評会で農林水産大臣賞に三年連続で選出された茶園などが点在しており、ゲストハウスを新たな拠点として、インバウンドニーズの増加にも対応すべくサービスの拡充を図る。2019年には10名の地域おこし協力隊員の採用を予定しており、協力隊制度を使って移住や起業希望者に利用を勧めていく考えだ。
【ウェブサイト】地域商社こゆ財団 | 特産品のブランディング・販路開拓
【関連ページ】宮崎県の民泊・旅館業簡易宿所に関する条例・法律・規制
(Livhubニュース編集部)
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