「チキン オア フィッシュ?」
飛行機に乗る度に耳にしてきたその言葉の裏側で、日々食べられなかった機内食が廃棄されている……。
気候変動の原因を思い浮かべるとき、真っ先に浮かぶのは燃料や電力という人が多いかもしれない。ただ実際は、「食料」も生産・輸送・加工・流通・廃棄の過程で大量の温室効果ガスを発生する。TRAVEL WEEKLYによると、観光業における年間食料生産量の約40%が廃棄されており、なかでも航空会社は年間約40億米ドル(約6000億円)相当の手つかずの食品・飲料を焼却または埋め立て処分しているという。(※1)
そうした機内食のフードロスを削減するため、各航空会社がさまざまな取り組みを始めている。
AIでフードロスを63%削減!
まず紹介したいのは、KLMオランダ航空(以下、KLM)。KLMはAIプログラムを導入のうえ、フライトを予約したすべての人が飛行機に搭乗するわけではなく、3〜5%は乗り遅れなどの諸事情により飛行機に乗らないというKLM内の過去蓄積データなどに基づき、本当に必要な機内食数を決定している。
機内食数の予測は、各フライト及び各クラスごとに行われ、出発の17日前から始まりなんと出発20分前まで続く。
3ヶ月間の分析によると、この取り組みの結果、予約客全員分の機内食を提供した場合と比較して、廃棄される食品量の63%の削減を実現している。(※2)
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「機内食、今回はスキップします」
KLMのように航空会社の運営努力により、フードロスの削減に取り組む事例があると同時に、私たち一人ひとりに出来ることもある。
機内食をできるだけ残さずに食べるということもそうだが、食べるつもりがない場合には「事前に機内食を断る」ことができるのだ。
JAL(日本航空)では、「Meal Skip Option」と題した取り組みにて、出発前に機内食の事前キャンセルが可能。このオプションを選択することで、開発途上国で進む飢餓や栄養不足の問題と、先進国が抱える肥満や生活習慣病の問題の同時に解決に向けて活動する「TABLE FOR TWO」に一定額が寄付される。飢えに苦しむ開発途上国の子どもたちの学校給食事業に充てられる。
またJALは、「JAL Food Loss & Waste 4R プログラム」と題してMeal Skip Optionに加えて、機内食の調理過程で出る生ごみのリサイクル可能なものの堆肥化や、その堆肥を使用して生産された循環型野菜を用いた機内食メニューの導入、発生する食品廃棄量をカテゴリーごとに毎月分析し、廃棄を減らす調理の工夫や食材在庫管理、予約数の分析などの取り組みを行なっている。
ANA(全日空)においても、国際線のフライトの予約時に「No Thank you Option」に申し込み可能だ。JAL同様にANAも調理時に出る生ごみの堆肥化や、堆肥を使用して育てたケールを機内食のサラダに提供するといった取り組みも行なっている。
「機内食を食べ切ることができない…」
「飛行機に乗ったら映画を見て、ひたすら寝たい…zzz」
「これから数日間、日本食食べられないし、空港でラーメン、うどん、お寿司でも食べてから行こうかな!」
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空港に行くと旅前のワクワクや旅後の名残惜しさから、空港内の飲食店でご飯を食べたくなることもあるだろうし、現地に到着してすぐにローカルフードを楽しみたいから機内食はスキップしたいという人もいるだろう。
「フードロスをなくさなくては…!」という考えのもと行動するのも素晴らしい。
「そこまで考えられない…」という人も、より自分がしたい旅をするための有効な一手として、機内食の有無を事前に選択してみてもいいかもしれない。
次の旅、スキップミールしてみる?それとも、機内食を楽しんでみる?
(※1)TRAVEL WEEKLY/TRAVEL TAKES ON FOOD WASTE
(※2)KLM/KLM deploys artificial intelligence to combat food waste
【参照サイト】KLM deploys artificial intelligence to combat food waste
【参照サイト】KLM Has Wasted 60% Less Inflight Food, Thanks to AI
【参照サイト】“できるだけサステナブルに飛行機に乗りたい” CO2排出量を抑えて空を飛ぶには?
【参照サイト】生ごみを循環。コンポストを導入しているサステナブルな宿11
拓馬
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