木々が茂る森林。豊かな緑と土。自然と深く息を吸い、徐々に身体が木々の中に溶けていく。
原材料の100%に国産の野生香木を利用して作られた「フォレストジン」。一口飲むと、部屋にいながらして深い森のなかにトリップする。ヒノキの枝葉から抽出する鼻を抜ける青いフレッシュな香りや、杉の林檎を思わせるたおやかな芳香、神事でも利用される高野山の霊木コウヤマキの酸味ある後味が体をめぐる。
都市部に住む人は忘れてしまうこともあるかもしれないが、日本の国土の約7割は「山」だ。一方で日本の木材自給率は41.8%(※1)。こんなにも山があり、木があるにも関わらず約60%は輸入木材を利用していることになる。なぜ、そうした状況になっているのか。
高度経済成長期、国内の木材需要増加に伴い木材輸入が自由化された。結果、外国産の安価な木材が流通し、高価な国産材は需要が減少。それ以降現在まで、日本の林業は国の補助なしでは産業が成り立たないほどに採算性が悪化している。(※2)人工林は森林を守り育て、木を成長させるため間伐を行う必要があるが、人手などの不足に伴い間伐も適切に進まない森林も多く、間伐が仮にされたとしてもその価格の低さ故に市場に出ることなく放置されていることも。国産木材の需要を創出し、日本の林業の本来的な意味での活性化を目指すにはどうすればよいのか。
軽井沢・岐阜・高知をはじめ各地に研究拠点を持ち、全国の里山に眠る植生の可能性の発掘を行い、おいしい価値化を試行する研究をしている「日本草木研究所」は立ち上がった。余剰間伐を正規価格で取引することで林業従事者を支援し、日本の林業の本来的な意味での活性化を目指すべく市場に出ていない木材を有効活用して、木のお酒を開発した。その名も「フォレストジン」。
原材料は、すべて国産野生香木を使用。内訳はスギ・ヒノキ・ナラ・ネズミサシ・ハイビャクシン・コウヤマキ・カラキ(琉球シナモン)。この7種の香木のうち、約60%が間伐材となる。それぞれ山梨県、和歌山県、埼玉県、沖縄県の山の木材を利用し、材料の一部は日本草木研究所が自ら収穫している。
ベースとなるお酒には、ジン発祥の地であるオランダから輸入された蒸留器を使用し、6種類の香木を最適な状態で蒸留している。酒造りは、佐賀県の楠乃花蒸溜所とともに行っている。
商品は、大きいサイズと小さいサイズの2種類。価格は、大500ml 5,500 円、小100ml 1,980 円となる(税別)。2022年4月27日より、公式のオンラインストアで予約販売を開始している。
絶妙な森林感に浸れる、香木酒 「フォレストジン」。日本の林業の活性化にも貢献しながら、“木で酔う”新しい体験をぜひ、自宅であじわってみてはいかがだろう。
【参照サイト】日本草木研究所(合同会社山伏)
(※1)参照:「令和2年木材需給表」の公表について|林野庁
(※2)参照:森林・林業・木材産業の現状と課題|林野庁
明田川蘭
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