民泊運用代行サービスを行う株式会社SQUEEZE(以下、SQUEEZE)と楽天コミュニケーションズ株式会社(以下、楽天コミュニケーションズ)は2月1日の記者会見で業務提携したことを発表し、同日より宿泊事業者に向け、民泊運営を支援する新サービス「あんしんステイIoT」の提供を開始した。
あんしんステイIoTは、民泊物件におけるチェックイン時の本人確認、入室時の解錠、問い合わせ対応、騒音対策、退室時のチェックアウトまでに必要な業務の工数を、タブレットやスマートロックなどのデバイスを連携し、IoTを活用することで減らし、効率化を図るサービスだ。
両社は、昨年1月よりアイデアを出し合い、実証実験を行ってきた。SQUEEZEが運営する宿泊施設「Minn」にて実証実験を行った結果、手動での本人確認、鍵の管理、問い合わせ対応をふくめて1回あたり80分だった運用時間が、およそ3分の1となる約27分にまで短縮されたという。
まず、2月1日より本人確認や問い合わせ対応などを遠隔で行う「タブレット」を用いたサービスを開始する。そして、7月にもパスコードやカードキーにより解錠できる「スマートロック」の実装や、音量レベルを数値で確認できる「騒音検知」のサービスを開始する予定だ。

あんしんステイIoT 使用デバイス
今回、楽天コミュニケーションズは民泊市場に参入した理由として、訪日外国人増加にともない民泊をふくむ宿泊施設の需要が増加しており、民泊運用代行事業社の重要性が高まっていることを挙げた。同社は独自調査において、2018年には8万室、2019年に12万室、2020年には19万室まで宿泊施設の需要が拡大すると推計している。
こうした想定のもと宿泊施設が課題とする「運用工数の増大」解消に向けた「IoTソリューション」をSQUEEZEと共同開発するに至った。今回のサービス展開においては、SQUEEZEが強みとするクラウドソーシングを用いた運用ノウハウと、楽天コミュニケーションズが強みとする通信やインフラサービス、それに基づき培われたセキュリティに関する知見、そして楽天がもつブランド力を組み合わせることで、業界No.1の宿泊事業者向けIoTサービスを目指すという。
さらに楽天コミュニケーションズは将来の構想として、楽天がもつブロックチェーンの技術を使った「Rakuten KYC Platform」(以下、楽天KYCプラットフォーム)との連携について言及した。「KYC」とはKnow Your Customerの略で「顧客の本人確認」を意味する。今後、楽天KYCプラットフォームは、あんしんステイIoTのみならず、楽天グループの各種サービスをつなぐ、データ交流のプラットフォームの中心となる可能性を示唆した。
かねて同社は2016年8月に北アイルランドのベルファースト市に研究開発組織「楽天ブロックチェーンラボ」を設立しブロックチェーン技術の研究を進めてきた。その楽天ブロックチェーンラボがもつ楽天KYCプラットフォームを活用することで、楽天会員らの本人確認済みのステータスを楽天グループの他のサービス間で再利用することが可能となる。
これにより、楽天会員は「あんしんステイIoT」を導入している施設に宿泊する際、本人確認の手続の一部を省略することができるため、さらなる効率化を図ることができるようになる。ブロックチェーン技術を用いることであんしんステイIoTと楽天グループの他のサービスとの協業が推進され、さらなるシナジーが生まれるという。
一方、SQUEEZEは宿泊施設運営における「ペーパーレス、キャッシュレス、キーレス」の実現を目標としてきた。今回本格的にサービスをリリースすることにより、3点が備わった宿泊施設の普及に向けて大きな一歩を踏み出すこととなる。IoT導入により運営を効率化することで、小規模な宿泊施設は運営にゆとりができ、同時に人でなければならない地域案内や交流といった「おもてなし」に注力することができるようになる。
今回のサービスが普及することにより、さらにゲストに喜ばれる宿泊施設が増えていくことに期待したい。
【公式ページ】あんしんステイIoT
【関連ページ】「事業多角化の裏にある戦略とは?」株式会社SQUEEZE・舘林 真一氏
(Livhubニュース編集部)


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