世界最大の事業用不動産サービスであり投資顧問会社であるCBREグループのCBRE日本法人(以下、CBRE)は7月26日、札幌、名古屋、福岡の供給動向を踏まえた日本のホテル市場の見通しについてまとめた特別レポート「2020年のホテルマーケット展望 – 地方都市で高まるインバウンド需要とホテル開発動向」を公表した。
レポートによると、2017年から2020年にかけ、既存客室数に対して、札幌では18%、名古屋では31%、福岡では30%に相当する新規供給が予定されており、合計で1.5万室だとしている。そして、2020年の政府目標である訪日外客数4,000万人を前提として札幌、名古屋、福岡のそれぞれの必要客室数を推計すると、2020年までの新規供給を踏まえてもなお、札幌では3,500室、名古屋では2,100室、福岡では1,400室が需要に対して不足すると推計している。
また、地方都市における新規供給は、ビジネスホテルが少なくとも55%を占め、ホテルマーケットにおける三大都市である東京、大阪、京都の43%よりも大きく、地方都市では特にホテルタイプの偏りが顕著となっている。
CBREはオリンピック後のホテルマーケットについても言及し、国際観光の増加は世界的な潮流であることから今後も続く見通しであり、これに伴い日本におけるホテル需要は東京オリンピック・パラリンピック以降も拡大すると予想する。さらに、地方都市のインバウンド需要の増加には、旅行者の嗜好が「体験」にシフトしていることが密接に関係しており、地方都市におけるホテルにも宿泊そのものの体験の質や、宿泊以外の体験といった多様性が求められるとしている。
CBREは今年1月にも日本のホテル市場の見通しについてまとめたレポートを公表し、それによると東京23区・大阪市・京都市で2017年から2020年にかけて既存客室数の38%に相当する新規供給が予定されているものの、それでも2020年には東京で3,500室程度の客室数が不足する見込みだと予測した。
いずれにしても2020年の政府目標である訪日外客数4,000万人の受け皿としての宿泊施設は不足する見通しであり、引き続き、宿泊施設の十分な供給に向けた各種の取り組みが課題となりそうだ。
【関連ページ】CBRE、2020年の日本ホテル市場の見通し公表。ホテル客室数は三大都市で38%増加の見込み
(Livhubニュース編集部)
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