障がいのある人たちが思い描く、クラフトの世界へ。体験型鑑賞展「五感のとびらをひらく旅」東京・竹芝にて開催

世代、ハンディキャップ、文化、宗教、民族。
悲しくも世の中には “分断” しているものがたくさんある。

しかし、そういった垣根を越えて人と人が出会い、対話することで、
少しでもそれぞれの考えや描く世界に近づけたらどうだろう。

新たなとびらが開けるかもしれない。

テーマは「障がいのある人たちの手仕事と、たわむれる。」

1999年以降、“たがいを認め、助けあう社会” を実現するためのフラッグシッププロジェクトを、数々開催している「一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ」。2020年8月には、東京・竹芝に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」をはじめとしたプログラムを体験できる、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」がオープン。これまで約28万人もの人たちが、プログラムに参加している。

今回は、「障がいのある人たちの手仕事と、たわむれる。」をテーマに、全国の障がい者施設のクラフトパーソンたちの作品に五感で触れることができる体験型鑑賞展「五感のとびらをひらく旅」が開催される。期間は、9月14日から10月1日まで、開催場所は、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」となる。

全国300か所の福祉現場で出会った作品群を、8つの部屋に展示

本展は、書籍『ウェルフェアトリップ~福祉の場をめぐる小さな旅』の著者・羽塚順子氏と、ソーシャルエンターテイメント・プログラムを提供する一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティとのコラボ企画だ。五感をひらくことで先入観から距離を置き、知られざる才能や可能性に出会い、関心を持ってもらうことが目的だという。

展示の特徴は3つ。まず、天井から吊るす大掛かりな和紙作品や長さ15mの神楽の大蛇など、クラフトパーソンの手仕事による多様な展示品が並ぶ。次に、参加する全国約20の福祉事業所の中から、いくつかの現場のクラフトパーソンとオンラインでつなぎ、職人技の作業の様子をリアルタイムで「見学」できる。そして、8つの部屋それぞれにコンセプトがあり、五感で手仕事に触れる旅ができる点も魅力だ。

羽塚氏は、これまで300か所以上の福祉現場を訪問してきた。そこでは、「一般の方やクリエイターを連れて福祉現場を訪問すると『社会では働けない(就職はできない)』とされる障がいのある人たちが、『自分のやりたい作業に没頭して無心になる姿』『自分のペースを当たり前に曲げない姿』に衝撃を受けたという。その理由は、「障がいのあるなしに関係なく普遍的な『その人の特性が活かされる幸せ』『ありのままでいられる人としての喜び』がそこにあり、訪問者側の既成概念が打ち破られるからだ」と羽塚氏は語る。

「さわる、かおる、ねころがる」五感のとびらをひらく旅へ

今回の展示では、作品に触ったり、香ったり、寝転んだりと、五感をひらきながら全国の障害者施設のクラフトパーソンたちとの出会いを楽しむことができる。

まず、頭を空っぽにして、ゆっくり深呼吸。そして、会場のとびらを開け足を踏み入れる。すると、どこか懐かしい記憶を呼び覚ますような匂いがしたり、見たこともないような大蛇にお出迎えされたり。

「旅の始まり」から「旅の終わり」まで、8つの部屋で各部屋の気になるものを “触ったり、香ったり、眺めてみる”。「どんな人がつくっているのだろう?」と、つくる人に思いを馳せてみることで何かを感じとれるかもしれない。

背中を丸め黙々と手を動かし続ける人、
歌いながらリズミカルに作業を繰り返す人、
時々大声で叫んでしまう人。

「人里離れた地方の山間部でゆったり創作活動をしたのかな?」「古い機械が並ぶ工場で無心で作業に没頭していたのかな?」など、いろいろな想いが頭の中に浮かんでくる。

会場を出る頃にはきっと五感がゆるやかに開き、小さな旅の感触が心地よいひだまりのように残っているだろう。

「 五感のとびらをひらく旅」開催概要
開催期間:2024/9/14(土)~10/1(火)
開館時間:11:00~19:00(最終入場時間 18:30 / 最終日のみ最終入場時間 17:30、18:00 終了)
開催場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝)
東京都港区海岸1丁目10−45 アトレ竹芝 シアター棟 1F
体験時間:開館時間内に、ご自身のタイミングとペースでご覧ください。目安60〜90分。
※時間枠の設定はありません。ご自由に8つの部屋を回っていただきます。
料金:一般 1,100円(税込)※小学生以下無料。保護者要同伴。
ご予約:WEBサイトよりチケット購入可能。会場にて当日券も販売。

【参照サイト】ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®」
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